Arousal of NPC‘s

Chapter 1／最初の国

№44 フラルン要塞奪還戦・急

「ダクドニア！！」
「リン！」
「ラウス！！」
サキが続けざまに召喚するなかで、[Teamチーム Sエス]が速やかに陣形を整えていく。
この間に、兵士らは魔物たちとの戦闘を開始している。
ただし、半数の15体ぐらいは、シューラなどの前線メンバーへと向かって来ていた。
[陰陽師のソウヤ]が七連続で「石よ」と唱え、動きを封じる。
残りの８匹とシューラ達がバトルになっていくなか、２体の[魔人]は余裕そうに待機していた。
そうした状況で、モンスターの１匹に、ソソが構築したマジックサークル魔法陣から直径15㎝といった【爆発の玉】を飛ばす。
更には、別の魔物らへと、サザミンが矢を放ち、スイが“リボルバー銃”を発砲する。
後衛が援護するなかで、シューラなどの“一列目”は、石に捕らえられているモンスターどもを攻撃していく……。
 
数分が過ぎ、兵士の6人くらいが討ち取られていた。
逆に、こちらは、20体の魔物を倒している。
奥に控えていた魔人たちが、形勢が悪くなったことで、ついに動きだす。
男子は左手で“サーベル”を、女子は右手で“レイピア”を、ほぼ同時に抜いた。
その魔人らが、宙に浮いたままで近づいて来る。
ふと気づいたスイが【スロー】のスキルを用いてトリガーを引く。
腹部に弾丸が当たった少女魔人は、スピードが二割ほど遅くなった。
サザミンもまたスキルを発動しながら、少年魔人へと、矢を射いる。
これ・・が右太腿に刺さった男子は、【混乱】に陥ったようだ。
それによって、[Team S]は、他のモンスター達に集中していった…。
 
数秒が経ち、ステータスが正常化した魔人らが、“マジックサークル”を出現させる。
この流れで、女子による直径15㎝の【ファイヤーボール】がシューラに、男子の【ウィンドカッター】がソリュウに、ヒットした。
すかさず、１匹の[ダークマウス.Jr]が、シューラの胸元を“槍”で突く。
ソリュウは、[ゴブリン]が払った“棍棒こんぼう”が左太腿に直撃する。
二名が若干ふらつくなか、魔人たちが詰めてきた。
[アサシンのシエル]が、飛び出すのと共に、スキルを使いながら“短剣ダガー”を前方へと振るう。
虚を衝かれた少女魔人は回避しようとするも、シエルのほうが素早かったので、左膝を切られる。
結果、女子が【毒】に侵された。
そうした少女の左側面に、〝ドスッドスッドスッドスッ〟と走ってきたシリウスが、“大楯”ごとタックルしたのである。
少年魔人へは、[騎士のサーガ]が“ロングソード”で斬り掛かった。
しかし、サーベルにて、いなされてしまう。
よろめいたサーガへと、[ダークマウス.Jr]が槍を繰り出そうとする。
この左頬を“ヌンチャク”で殴って、阻止したのは、サイザーだ。
どちらの魔人も、一旦、後ろへと退がってゆく。
追いかけようとするシューラ達を、まだ生き残っている５体の魔物が邪魔してくる。
なお、兵士らは、またしても数が減っているみたいだ。
シューラたちがモンスターどもと戦うなかで、魔人らが次々と魔法を扱う。
いささか苦しまされながらも、全ての魔物を滅していく[Team S]だった……。
 
兵士は、総指揮官を含めて、5名となっている。
ちなみに、男性が3人で、女性は2人だ。
シューラなどは、あれから何度かダメージを負ったものの、[白魔術士のセイラン]による【ソロヒール】で回復してもらっていた。
なにはともあれ。
リキャストタイムを終えたサキが、再びサーヴァント達を喚よんでゆく。
ひと呼吸置いて、“遠距離型”を除いた面子がダッシュする。
魔人らは、既にマジックポイントが尽きているらしく、それぞれに武器を構えた。
[Team S]はというと、専用のポーションでMPもSPも回復している。
さて。
女子には“シエル・シューラ・シリウス・リン”が、男子には“ダクドニア・ソリュウ・サーガ・サイザー”が、迫った。
魔人たちは、数的不利になりながらも、攻撃を躱したり、受け止めていく。
かなり、しぶとい。
こうした魔人どもの隙を、兵士らが窺っている。
「あれ、参加されても足手まといになるだけなんじゃ？」
スイの呟きに、
「一理あるな。」
「連中が余計な事する前に、仕留めたがいいだろう。」
そのように応じたソウヤが、
「ソソ、あっちの魔人に“雷”を。」
と指示して、
「石よ！」
男子のほうの自由を奪った。
ソソは直径15㎝の【サンダーボール】を、女子の左腕に当て、感電させる。
これを逃がさす、止めを刺しにゆく“最前線のグループ達”であった―。