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Chapter 1/最初の国
№41 裾野にて
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帝国の北西あたりに位置する[要塞]は、低山を利用して築かれていた。
“低い”といっても、標高は1‘000メートルくらいありそうだ。
この周りを幾らかの兵士が囲んでいる。
所々には“鞍を装着されている馬”が居て、それぞれに地面の草を食べていた。
何処からともなく涼しげな風が吹いてくるなか、
「あれ、“金色のダイヤマーク”みてぇだぞ。」
ふと気づいたのは、【武闘家】であるサイザーだ。
「確かに…。」
「行ってみるか。」
こう促した【シールダー】のシリウスを筆頭に、NPCへと近づく[Team S]だった……。
[ダイヤのマーク]が浮かんでいるのは、40代前半らしき“リーゼントのような髪型”に“無精髭”といった男性である。
“髪と髭はブラウン”で“瞳はグレー”の男に、
「クエストを受けて来たんだが…。」
リーダーたるシリウスが声をかける。
「もしかしてギルドで聞いてきたのか?」
「だとしたら証明書を見せてくれ。」
そう述べた男へと、シリウスが[ノースイーストギルド]で貰っていた“用紙”を渡す。
目を通した相手は、
「間違いないみたいだな。」
「よく来てくれた。」
「感謝する。」
「……、実は、あの要塞は魔王が猛威を振るっていた時代、それに対応すべく造られたのだが、平和になってからというもの価値を失っていたんだ。」
「国は、取り壊すにも予算が掛かるという事で、駐屯兵に管理させてきた。」
「しかし…、ここ百年で兵力が弱体化してしまったところを、数日前より活発になっている魔物らに制圧されてしまった次第だ。」
「恥ずかしながら。」
「我々は、どうにか要塞から脱出できた兵の報せで都より駆け付けたのだが、念の為に冒険者にも加わってもらうべく依頼したという訳だ。」
「それにしても……。」
「生存できた僅かばかりの駐屯兵が言うには、白いローブ姿の司祭らしき者がモンスター集団を先導していたとのことだったが…、何が起きているのだろうな??」
「あ、いや、すまん。」
「そろそろ作戦に移るので、準備が整ったら、また話しかけてくれ。」
このように語った。
「司祭って、もしかして“遺跡”で遭遇した?」
【白魔術士】であるセイランが首を傾げたところ、
「おそらく、そうだろうね。」
頷いて答えた【騎士】のサーガである。
「そこら辺は後にして、とりあえず、フイールドでの戦闘で消耗したHPとかを回復したがいんじゃない??」
「これからまたバトルになるんでしょ?」
そう口を開いたのは、【ガンナー】たるスイだ。
「うん、きっと。」
「だから、それぞれの数値を満タンにしておこう。」
【剣士】のシューラによる指示で、[イベントリ]からアイテムを出現させていくパーティーメンバーであった……。
先程の[男性NPC]に、
「いつでも大丈夫だぞ。」
シリウスが改めて接したら、
「申し遅れたな。」
「俺は今回の総指揮官だ。」
「それでは、作戦を伝えさせてもらう。」
「まず、要塞には北と南に門がある。」
「この二つから主力が攻めていくのと同時に、別動隊らが東西の壁を乗り越えて侵入する。」
「冒険者は、俺が率いる兵たちと共に、南側を進んでもらいたい。」
「以上だ。」
「では、始めても構わないか??」
策を説明する流れで、尋ねてきたのである。
すると、シリウスの眼前に[横長の画面]が自動的に展開された。
これには…、
突撃しますか?
・YES
・NO
そのように書かれている。
「勿論、イエスだ。」
シリウスが人差し指で押した事によって、
「よし!」
「全軍に合図を送れ!!」
[総指揮官のNPC]が部下を促したら、いたる所より“ラッパの音”が鳴り響いたのである。
こうして、総指揮官と兵達が“山の麓”へと向かいだす。
そんな彼らの後ろに付いてゆく[Team S]だった―。
“低い”といっても、標高は1‘000メートルくらいありそうだ。
この周りを幾らかの兵士が囲んでいる。
所々には“鞍を装着されている馬”が居て、それぞれに地面の草を食べていた。
何処からともなく涼しげな風が吹いてくるなか、
「あれ、“金色のダイヤマーク”みてぇだぞ。」
ふと気づいたのは、【武闘家】であるサイザーだ。
「確かに…。」
「行ってみるか。」
こう促した【シールダー】のシリウスを筆頭に、NPCへと近づく[Team S]だった……。
[ダイヤのマーク]が浮かんでいるのは、40代前半らしき“リーゼントのような髪型”に“無精髭”といった男性である。
“髪と髭はブラウン”で“瞳はグレー”の男に、
「クエストを受けて来たんだが…。」
リーダーたるシリウスが声をかける。
「もしかしてギルドで聞いてきたのか?」
「だとしたら証明書を見せてくれ。」
そう述べた男へと、シリウスが[ノースイーストギルド]で貰っていた“用紙”を渡す。
目を通した相手は、
「間違いないみたいだな。」
「よく来てくれた。」
「感謝する。」
「……、実は、あの要塞は魔王が猛威を振るっていた時代、それに対応すべく造られたのだが、平和になってからというもの価値を失っていたんだ。」
「国は、取り壊すにも予算が掛かるという事で、駐屯兵に管理させてきた。」
「しかし…、ここ百年で兵力が弱体化してしまったところを、数日前より活発になっている魔物らに制圧されてしまった次第だ。」
「恥ずかしながら。」
「我々は、どうにか要塞から脱出できた兵の報せで都より駆け付けたのだが、念の為に冒険者にも加わってもらうべく依頼したという訳だ。」
「それにしても……。」
「生存できた僅かばかりの駐屯兵が言うには、白いローブ姿の司祭らしき者がモンスター集団を先導していたとのことだったが…、何が起きているのだろうな??」
「あ、いや、すまん。」
「そろそろ作戦に移るので、準備が整ったら、また話しかけてくれ。」
このように語った。
「司祭って、もしかして“遺跡”で遭遇した?」
【白魔術士】であるセイランが首を傾げたところ、
「おそらく、そうだろうね。」
頷いて答えた【騎士】のサーガである。
「そこら辺は後にして、とりあえず、フイールドでの戦闘で消耗したHPとかを回復したがいんじゃない??」
「これからまたバトルになるんでしょ?」
そう口を開いたのは、【ガンナー】たるスイだ。
「うん、きっと。」
「だから、それぞれの数値を満タンにしておこう。」
【剣士】のシューラによる指示で、[イベントリ]からアイテムを出現させていくパーティーメンバーであった……。
先程の[男性NPC]に、
「いつでも大丈夫だぞ。」
シリウスが改めて接したら、
「申し遅れたな。」
「俺は今回の総指揮官だ。」
「それでは、作戦を伝えさせてもらう。」
「まず、要塞には北と南に門がある。」
「この二つから主力が攻めていくのと同時に、別動隊らが東西の壁を乗り越えて侵入する。」
「冒険者は、俺が率いる兵たちと共に、南側を進んでもらいたい。」
「以上だ。」
「では、始めても構わないか??」
策を説明する流れで、尋ねてきたのである。
すると、シリウスの眼前に[横長の画面]が自動的に展開された。
これには…、
突撃しますか?
・YES
・NO
そのように書かれている。
「勿論、イエスだ。」
シリウスが人差し指で押した事によって、
「よし!」
「全軍に合図を送れ!!」
[総指揮官のNPC]が部下を促したら、いたる所より“ラッパの音”が鳴り響いたのである。
こうして、総指揮官と兵達が“山の麓”へと向かいだす。
そんな彼らの後ろに付いてゆく[Team S]だった―。
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