Arousal of NPC‘s

猫ノ謳

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Chapter 1/最初の国

№20 望外

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 [Teamチーム Sエス]は、防具屋から少し離れた路上で、次の方針を決めようとしていた。
「それぞれHPやMPが減っていることだし…、ここで先にポーション類で回復してから道具屋に渡るか?」
[男性シールダー]たるシリウスが提案したところ、
「悪くないけど……、飲食・・というものを体験してみたい。」
「それにも治癒などの効果があるらしいから。」
このようにシューラが告げたのである。
「いいね!」
「そうしよう!!」
嬉しそうな[少年黒魔術士]のソソに、
「ふむ。」
「面白そうだねぇ。」
[女性召喚士]たるサキが賛成した。
シリウスが「じゃあ、まずは食堂に」と言いかけたタイミングで、彼らの側に〝シュンッ!〟と何者かたちが【テレポート】してきたのである。
 
その集団も[Team S]と同じで、10歳ぐらいから60代ほどまでの男女12人組だった。
また、身長や体型はもとより、肌・目・髪の色も、さまざまだ。
なお、全員が[初期装備]であった。
 
双方がなんとなく観察し合う。
この流れで、10代後半くらいの女性が、
「…………。」
「へぇー。」
「あなたも“女神様の愛子まなご”みたいね。」
シューラに喋った。
背丈は160㎝といったところだろう。
ボブショートは黒く、瞳が緑で、肌は褐色だ。
スレンダーであり、“イケメン女子”といった印象を受ける。
おそらくは【アサシン】であろう彼女に、
「そっちも、私と一緒。」
そう返すシューラだった。
「リーダーなの?」
“イケジョ”に問われ、
「ううん。」
首を横に振ったシューラが、
「私じゃない。」
無表情で答える。
「あら?? そう?」
「ふぅ~ん…。」
一応に納得して、
「ま、なんにしても、“厄難やくなんの日”を乗り越えられれば良いわね。」
「お互いに。」
「私たちは、そこの防具屋に用があるから、これで。」
左手を軽く挙げて挨拶した女性は、“木の扉”を開け、仲間と共に店内へと入っていく。
「うちら以外のチーム・・・に初めて会ったな。」
[男性武闘家]のサイザーが呟き、誰もが頷いた。
「……。」
「さ、行きましょ。」
[女性アーチャー]たるサザミンに促され、
「ああ、そうだな。」
シリウスが“画面”をオープンしたのである…。
 
 

シューラ達は、改めて、町の[南西地区]に訪れた。
目的は、勿論、ここに在る“大衆食堂”だ。
建物は“石造り”であり、カウンター席とラウンドテーブル円卓は“木製”である。
[Team S]は、男女に分かれて円卓に腰掛けた。
何を頼むべきか迷った彼女らは、とりあえず、気になる品々を注文したようだ。
 
テーブルには、パン/ガレット/ムニエル/オニオンスープ/かものコンフィ/ジビエ/オニオンスープ/クリームプリュレ/赤ワイン/白ワイン/グレープジュース/アップルジュースが並べられている。
「では、乾杯!!」
シリウスの音頭で、
「かんぱぁーいッ!」
パーティーメンバーが“銅のコップ”を掲げたのであった…。
 
「うぅ~むッ!!」
「どれこもれも美味・・だな!」
サイザーが感動していたら、
「“びみ”って、なぁに??」
ソソが尋ねたのである。
「“おいしい”て事だよ。」
[男性騎士]のサーガに教えてもらい、
「あー、うん!!」
「オイシイね!」
満面の笑みとなる少年だった。
隣のテーブル席では、いろんな料理を〝バクバク〟と頬張っていき、
「うッ。」
喉を詰まらせて苦しそうにする[少女剣士]に、
「シューラちゃん!!」
「早くジュースを飲んで!」
[女性白魔術士]たるセイランが焦りながら勧める。
〝ゴキュ ゴキュ ゴキュ ゴキュ〟とグレープジュースで流し込み〝ぷはぁ――ッ〟と息を吐いた“金髪の少女”が、
「これが、飲食……。」
「まさに、至福。」
瞳を〝キラキラリ~ン☆〟と輝かせて喜んだ。
ちなみに、支払いは、総額で金貨1枚&銀貨2枚だったらしい…。
 
 

[北東地区]でポーションなどを買い揃えたシューラ達は、“南門”に【テレポーテーション】している。
リーダーのシリウスが、“団長”に声をかけたところ、
「準備は済んだかの?」
「まだのようなら、もう暫く待つが??」
このように確認してきた。
「いや、大丈夫だ。」
シリウスが伝えたら、
「ふむ。」
「それならば、遺跡に赴くとしよう。」
「場所は南西で、二日あたりで辿り着くじゃろうからして、よろしく頼む。」
そう告げた団長である。
 
 

[イッチューズ]は、新たなバトルになっていた。
お馴染みの“ダークドック.JR/ダークマウス.Jr/スライム/食人花”が2体ずつの、計8数みたいだ。
もはやテンプレの如く[食人花]が“ピンク色の霧”を散布さんぷする。
ツートップのヤト&ニケや、トップ下のセブンが、急ぎ、片手で鼻と口を塞ぐ。
この間に、二匹の[黒い子犬]が直径20㎝の【ファイヤーボール火の玉】を放射したのであった。
それらが腹部にヒットしてダメージを負った“最前線の男子たち”へと、二体の[紫色のネズミ]が“木槍きやり”で攻撃すべく走って来る。
右の[ダークマウス.Jr]にカリンが矢をったところ、左肩に刺さった。
「氷の精霊!!」
エイトにばれ、身長20㎝ほど・全体的に青い・ふんわりショートヘアーの“人型”が、宙に現れるなり、左側の魔物めがけて〝ビュンッ!〟と飛行したのである。
可愛らしい感じの精霊が、ネズミの“右まぶた”あたりに、両のてのひらを当てたところ、直径10㎝ぐらいの範囲が〝ビキビキッ!!〟と凍り付いた。
[氷の精霊]が〝シュッ!〟と消えるなか、凍った部分が〝バリンッ!!〟と割れた敵が“エフェクト加工の血”を噴く。
これらで負傷して動きを止めたモンスター達に、ヤトやニケが武器を振るう。
一方で、跳ねながら迫ってくるスライムどもを、忍術で迎え撃とうとしているセブンだった―。
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