Arousal of NPC‘s

猫ノ謳

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Chapter 1/最初の国

№18 差異

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西門に【テレポート】した[イッチューズ]は、帝都からフィールドへと出たのである。
土路どろを歩きながら、
「なぁ。」
「念の為に、フォーメーションを決めとかないか?」
リーダーに訊かれて、
「うん、そうだな。」
頷いたニケが、
「まず…、オレとヤトは前線で、その後ろがセブンだろ。」
「カリンとエイトが最後尾だとして……、女性陣の間にクマッシーが入るので、どう??」
そう提案したのだった。
「おぉ、いいねぇ。」
ヤトが賛成したところで、
「その振り分けって、なんか意味があるの?」
カリンが質問する。
「あー、…、戦士と武士は“近距離型”で、しのびは“中間タイプ”なんだ。」
「で。」
「アーチャーと精霊術士は“遠隔戦型”なんだけど防御力が低いから、シールダーに護ってもらう、て感じだよ。」
ニケの説明に、女性陣が〝ほう ほう〟と理解したのであった。
なにはともあれ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
            戦士のニケ    武士のヤト
 
                 忍のセブン
 
              シールダーのクマッシー
 
        アーチャーのカリン    精霊術士のエイト
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
このようなポジションになった[イッチューズ]である。
ちなみに、ニケは、“サウスポー左利き”らしい……。
 
6人が暫く進んだら、前方から魔物たちが向かって来たのだった。
顔ぶれは、[アルミラージ]と[ダークマウス.Jr]が二匹ずつで、[食人花]が一体の、計五数である。
「皆、ストップ。」
「武器を構えろ。」
リーダーの指示にて、全員が立ち止まる流れで臨戦態勢に入った。
それぞれの[ダークマウス.Jr]が、ニケとヤトに、“木槍きやり”を払う。
二人が[木製の棍棒こんぼう]や[木刀]で防ぐなか、アルミラージ達が中央を突破したのである。
セブンが、
「え?!」
「ちょ…。」
どっちに対応すべきか戸惑ったところ、
「セブンは左を!」
「右のは僕に任せて!!」
即座にクマッシーが判断したのであった。
これで冷静になったセブンが、
水遁すいとんの術!」
そう発するのと共に“右のてのひら”を正面に出すなり、最大直径5㎝×長さ20㎝といった[水のもり]が、“アルミラージ”の眉間あたりにヒットする。
別の一匹には、クマッシーが[木の大楯]を下から上へと振るった。
どちらもの攻撃によって、バランスを崩した[一角兎いっかくうさぎ]たちではあったが、急ぎ体勢を整え直したのである。
 
ヤト&ニケは、身長80㎝ぐらいのネズミらと、一進一退になっていた。
ここへ、隙を窺っていたらしい食人花が“ピンク色の霧”を放ったのである。
それによって、二人は〝ガクンッ〟と両膝を屈しながら眠ってしまう。
左頬を槍で殴られたニケが、目を覚ます。
“ヘッドギアタイプの兜”に守られたお陰で、ダメィージは少ないようだ。
すぐに状況を把握したニケに、武器で右膝を叩かれた敵が、しゃがみ込む。
一方のヤトは、喉の下あたりを槍で突かれて意識を取り戻すも、横倒れになってしまった。
どうやら、【クリティカルダメージ致命傷】を負ったらしい。
体が動きづらくなっているヤトに、[ダークマウス.Jr]が武器を振り下ろそうとする。
これを、
「させるかぁあ―ッ!!」
ロータックル低い体当たり”で阻んだのは、ニケだった。
彼らが地面に転がるなか、
「HP、回復、ポーション。」
かろうじて呟いたヤトの眼前に、“小瓶”が転送される。
左手で掴んで、右手でふたを開けたヤトが、“スカイブルー色の液体”を飲み干していく。
 
その間に、クマッシーがアルミラージと睨み合ったままで、
「カリンとエイトは、あの花を攻撃して!」
と、促した。
「う、うん!!」
カリンが[木製で短い弓]のつるを引いたところ、ホワイトに輝く“一本の矢”が自動的に形成されたのである。
彼女が矢をるのと同時に、
「雷の精霊!」
エイトが唱えたら、背丈20㎝ほどで、全身は黄色く、ツンツンヘアーの“人型”が、宙に現れた。
目つきは悪いものの、案外かわいらしい。
その精霊が、食人花めがけて〝ビュンッ!〟と飛んで行く。
再びを吐こうとしていた敵の、顔か頭かは不明な箇所に矢が刺さる。
更に、【雷の精霊】がぶつかったことによって、[フラワーモンスター]が〝ビリビリィーッ〟と感電した。
食人花が痙攣するなか、役目を終えた精霊が〝フッ〟と消える。
 
ニケとネズミは、どちらも起立して、対峙していた。
ヤトが【治癒】されるなり、瓶が“沢山の細かい粒”となって無くなったのである。
「サンキュー、ニケ。」
「助かった。」
お礼を述べながら立ったヤトが、
「あっちは俺が引き受ける。」
膝を怪我したほうの[ダークマウス.Jr]に近づいてゆく。
このネズミも、既に起き上がっていた……。
 
 

跳び掛かってきたスライムに、
「とぉう!!」
[木の中剣]を左から右へと払ったのは、“金髪少女のシューラ”である。
それによって[コア]を破壊された敵が、“薄紫色の粒子”となって、死滅したのであった。
[Teamチーム Sエス]もまた、バトルを展開している。
前線では、シューラだけでなく、武士のソリュウ/騎士のサーガ/シールダーのシリウス/アサシンのシエル/武闘家のサイザーも奮闘していた。
黒魔術士のソソ/白魔術士のセイラン/ガンナーのスイ/陰陽師のソウヤ/アーチャーのサザミン/召喚士のサキは、援護に専念している。
この後ろに、“調査団の4人組”が待機していた。
もともと十四数いた“魔物の群れ”は半分ぐらいに減っているらしい。
それなりに結束力があるシューラ達は、戦いに割と慣れてきているみたいだった。
 
 

[Team S]や[イッチューズ]が戦闘を繰り広げている頃、都の“西門”をくぐった一同がいる。
日が暮れ始めるなか道を進むのは[Teamチーム Zゼット]であった。
振り向いて、
「トロトロしてんじゃねぇぞッ!」
味方に怒鳴ったのは、当然、“戦士のゾース”である。
「ったく、どいつもこいつも。」
ゾースが、文句を言いつつ、改めて歩きだす。
パーティーメンバーは、少し離れて付いてゆく。
「ほんと、どうにかならないかしら、アイツ。」
“女性武闘家のジリ―”が何気なく本音を口にしたところ、
「とりあえず、“厄難やくなんの日”まで耐えよう。」
「チャンスがあるとすれば、多分そこだから。」
“白魔術士のゼシュー”が告げたのだった―。
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