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Chapter 1/最初の国
№10 ひと悶着
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40代前半の女性騎士・40代後半の男性アサシン・50代半ばの男性アーチャーを連れたゾースが、
「ザイラ!」
「そっちはテメェに任せてやっから、負けんじゃねぇぞ!!」
10Mほど後方へと走っていく。
これを受けた[剣士のライザ]は、
「近距離型は前へ!」
「他は、それを支援してくれ!!」
急ごしらえながらも陣形を整えていった。
[小太りの男性NPC]を襲っていた魔物らが、標的を変えようとしている。
残りの三人は、
「ひぃッ!」
「こっちに来るな!!」
といった感じで、うろたえていた。
そこへ、
「うぉらぁッ!」
[戦士のゾース]を筆頭とした4人が、モンスター達に攻撃していく…。
ライザたちの方は互角に渡り合っていたものの、一体の[食人花]が吐いた“ピンク色の霧”によって、3人が寝てしまったみたいだ。
しかし、魔物らにダメージを与えられたことで、目を覚ました。
ここからは、ライザが指示を出していき、どうにか連係していったのである。
ときに魔法やポーションで回復しつつ、敵を殲滅した[Team Z]が、“ノンプレイヤーキャラクター”のもとに集まったところで、
「調査員の一人が命を落としてしまったので、ここで終了じゃ。」
「当然ではあるが、報酬は支払えん。」
「儂らは帝都に戻る故、お前さんがたは好きにせい。」
「それではのッ。」
そう喋った団長が、仲間と共に[テレポーテーション]した。
怒りで〝ワナワナ〟と震えたゾースが、
「もう一回だ!」
「オレたちも都に帰るぞ!!」
パーティーメンバーに告げたのである……。
▽
[西通り]の途中で、
「あ!」
「ヤト、ほら、“ダイヤのマーク”じゃない??」
【シールダー】たるクマッシーが、“中年の女性”を指差した。
「んん~?」
これを目で追った【武士】のヤトが、
「おおー!!」
「本当だ!」
「ナイス、クマッシー!!」
満面の笑みを浮かべる。
[中学生男女6人組]は、小走りで女性に寄っていた。
「あのッ!」
「猫…、“シャトルリュー”について聞きたいんだけど。」
ヤトが声をかけたら、
「なんだい??」
「ネコだって?」
「そうだねぇ……。」
「南東地区の図書館あたりで、猫たちが集会を催しているとか、そんな噂を耳にした事があるわよ。」
そのように教えてくれたのである。
これにて、
「よし!」
「早速、テレポートしようぜ!!」
[超薄型画面]を開くヤトであった…。
▽
【白魔術士】たるゼシュー達は、ゾースの我儘によって、再び[ノースイーストギルド]に訪れている。
「改めて、遺跡調査団の護衛を受注するという事で、よろしいでしょうか?」
[受付嬢]に確認されたゾースが、
「ああ、そうだ!」
イラつきながら返す。
「それでは詳細を説明させていただきます。」
「こちらの依頼は、一度、失敗なさっていますので、報酬が半分となります。」
「内訳としましては一人につき金貨2枚です。」
「それでも、よろしいですか??」
[女性NPC]に確認されるゾースの右隣で、
「ええ~?」
「やっぱりぃ、“探し物”がいいんじゃなぁい??」
「だってぇ、遺跡に行くってことはぁ、〝冒険する〟というわけでしょぉ?」
「いきなりは危険かもよぉー。」
〝金髪ロングあざと可愛い系〟の[女性アーチャー]が述べ、
「じゃあ、キエラの意見を採用するかぁ。」
「なんてたってボクらのリーダーなんだしぃ。」
〝茶髪ショート〟たる[男性ガンナー]が応じた。
「でもぉ、クーガたちが、遺跡のほうがいいんだったらぁ、そぉうするよぉ~。」
キエラが伝えたタイミングで、我慢できなくなったらしいゾースが、窓口のカウンターを、両の掌で〝バンッ!!〟と叩き、
「さっきからゴチャゴチャうっせぇぞ!」
「迷惑だから、余所でやりやがれ!!」
ブチギレたのである。
それを、
「なぁに?? この人ぉー。」
「チョー恐いんですけどぉ。」
キエラが茶化す。
「んだとッ!?」
今にも殴りかねなさそうなゾースに、
「どこの誰かは知らないけど、やめてもらえ」と言いかけて黙ったクーガが、
「…………。」
「へぇー、君たちも、そうなんだぁ。」
〝ニィ〟と笑みを浮かべた。
「あん?!」
眉を段違いにしたゾースの背後で、
「どうやら、貴方も“女神様の愛子”のようですね。」
ゼシューが、クーガに伺ったのである。
「まぁねぇ~。」
〝ヘラヘラ〟しながら肯定したクーガは、
「うるさくしてしまったのは悪かったよ。」
「すまなかったねぇ。」
「ちゃんと謝ったから、もう、いいかい?」
肩をすくめたのだった。
「いぃーやッ、勘弁ならねぇな。」
「オメェに“決闘”を申し込むから、承諾しろ!」
「あっちでボッコボコにしてやんからよ!!」
ゾースが宣戦布告したところ、
「嫌だから断るよぉ。」
「そういう野蛮なのは、ボクは苦手だしさぁ~。」
クーガ拒否ったのである。
「なにッ!?」
「この、腰抜けが!」
「だったら、ここで、ぶっ飛ばしてやらぁあ!!」
暴力に訴えようとしたゾースに、
「これ以上はダメだよ。」
「女神様に“強制終了”させられてしまうから。」
「永眠しても構わないのであれば、無理に止めはしないけど。」
ゼシューが冷静に述べた。
「くッ!」
ゾースが眉間にシワを寄せて諦めたら、
「ボクらは、もう一つのギルドに移ってあげよう。」
「ここは獣臭くて仕方ないしね。」
クーガが仲間を先導して、屋外へと向かったのである。
この去り際に、
「いつか吠え面かかせてやっから、覚えてろよ!!」
ゾースに怒鳴られるも、視線を合わせないままで、
「はい、はぁーい。」
軽く挙げた右手を〝ひらひら〟と振る“クーガ”であった―。
「ザイラ!」
「そっちはテメェに任せてやっから、負けんじゃねぇぞ!!」
10Mほど後方へと走っていく。
これを受けた[剣士のライザ]は、
「近距離型は前へ!」
「他は、それを支援してくれ!!」
急ごしらえながらも陣形を整えていった。
[小太りの男性NPC]を襲っていた魔物らが、標的を変えようとしている。
残りの三人は、
「ひぃッ!」
「こっちに来るな!!」
といった感じで、うろたえていた。
そこへ、
「うぉらぁッ!」
[戦士のゾース]を筆頭とした4人が、モンスター達に攻撃していく…。
ライザたちの方は互角に渡り合っていたものの、一体の[食人花]が吐いた“ピンク色の霧”によって、3人が寝てしまったみたいだ。
しかし、魔物らにダメージを与えられたことで、目を覚ました。
ここからは、ライザが指示を出していき、どうにか連係していったのである。
ときに魔法やポーションで回復しつつ、敵を殲滅した[Team Z]が、“ノンプレイヤーキャラクター”のもとに集まったところで、
「調査員の一人が命を落としてしまったので、ここで終了じゃ。」
「当然ではあるが、報酬は支払えん。」
「儂らは帝都に戻る故、お前さんがたは好きにせい。」
「それではのッ。」
そう喋った団長が、仲間と共に[テレポーテーション]した。
怒りで〝ワナワナ〟と震えたゾースが、
「もう一回だ!」
「オレたちも都に帰るぞ!!」
パーティーメンバーに告げたのである……。
▽
[西通り]の途中で、
「あ!」
「ヤト、ほら、“ダイヤのマーク”じゃない??」
【シールダー】たるクマッシーが、“中年の女性”を指差した。
「んん~?」
これを目で追った【武士】のヤトが、
「おおー!!」
「本当だ!」
「ナイス、クマッシー!!」
満面の笑みを浮かべる。
[中学生男女6人組]は、小走りで女性に寄っていた。
「あのッ!」
「猫…、“シャトルリュー”について聞きたいんだけど。」
ヤトが声をかけたら、
「なんだい??」
「ネコだって?」
「そうだねぇ……。」
「南東地区の図書館あたりで、猫たちが集会を催しているとか、そんな噂を耳にした事があるわよ。」
そのように教えてくれたのである。
これにて、
「よし!」
「早速、テレポートしようぜ!!」
[超薄型画面]を開くヤトであった…。
▽
【白魔術士】たるゼシュー達は、ゾースの我儘によって、再び[ノースイーストギルド]に訪れている。
「改めて、遺跡調査団の護衛を受注するという事で、よろしいでしょうか?」
[受付嬢]に確認されたゾースが、
「ああ、そうだ!」
イラつきながら返す。
「それでは詳細を説明させていただきます。」
「こちらの依頼は、一度、失敗なさっていますので、報酬が半分となります。」
「内訳としましては一人につき金貨2枚です。」
「それでも、よろしいですか??」
[女性NPC]に確認されるゾースの右隣で、
「ええ~?」
「やっぱりぃ、“探し物”がいいんじゃなぁい??」
「だってぇ、遺跡に行くってことはぁ、〝冒険する〟というわけでしょぉ?」
「いきなりは危険かもよぉー。」
〝金髪ロングあざと可愛い系〟の[女性アーチャー]が述べ、
「じゃあ、キエラの意見を採用するかぁ。」
「なんてたってボクらのリーダーなんだしぃ。」
〝茶髪ショート〟たる[男性ガンナー]が応じた。
「でもぉ、クーガたちが、遺跡のほうがいいんだったらぁ、そぉうするよぉ~。」
キエラが伝えたタイミングで、我慢できなくなったらしいゾースが、窓口のカウンターを、両の掌で〝バンッ!!〟と叩き、
「さっきからゴチャゴチャうっせぇぞ!」
「迷惑だから、余所でやりやがれ!!」
ブチギレたのである。
それを、
「なぁに?? この人ぉー。」
「チョー恐いんですけどぉ。」
キエラが茶化す。
「んだとッ!?」
今にも殴りかねなさそうなゾースに、
「どこの誰かは知らないけど、やめてもらえ」と言いかけて黙ったクーガが、
「…………。」
「へぇー、君たちも、そうなんだぁ。」
〝ニィ〟と笑みを浮かべた。
「あん?!」
眉を段違いにしたゾースの背後で、
「どうやら、貴方も“女神様の愛子”のようですね。」
ゼシューが、クーガに伺ったのである。
「まぁねぇ~。」
〝ヘラヘラ〟しながら肯定したクーガは、
「うるさくしてしまったのは悪かったよ。」
「すまなかったねぇ。」
「ちゃんと謝ったから、もう、いいかい?」
肩をすくめたのだった。
「いぃーやッ、勘弁ならねぇな。」
「オメェに“決闘”を申し込むから、承諾しろ!」
「あっちでボッコボコにしてやんからよ!!」
ゾースが宣戦布告したところ、
「嫌だから断るよぉ。」
「そういう野蛮なのは、ボクは苦手だしさぁ~。」
クーガ拒否ったのである。
「なにッ!?」
「この、腰抜けが!」
「だったら、ここで、ぶっ飛ばしてやらぁあ!!」
暴力に訴えようとしたゾースに、
「これ以上はダメだよ。」
「女神様に“強制終了”させられてしまうから。」
「永眠しても構わないのであれば、無理に止めはしないけど。」
ゼシューが冷静に述べた。
「くッ!」
ゾースが眉間にシワを寄せて諦めたら、
「ボクらは、もう一つのギルドに移ってあげよう。」
「ここは獣臭くて仕方ないしね。」
クーガが仲間を先導して、屋外へと向かったのである。
この去り際に、
「いつか吠え面かかせてやっから、覚えてろよ!!」
ゾースに怒鳴られるも、視線を合わせないままで、
「はい、はぁーい。」
軽く挙げた右手を〝ひらひら〟と振る“クーガ”であった―。
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