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Chapter 1/最初の国
№8 横柄な輩・前編
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▽▼▽▼
話しは少し前に遡る――。
“フルダイブMMRORPG”たる[Wonder World]が、オンライン配信を開始して間もない頃だ。
AM09:00を回り、帝都の“中央広場”から、プレイヤー達が、あちらこちらに[テレポート]していくなか、
「絶対に認めねぇ!」
「リーダーはオレ様に決まってんだろうが!!」
といった具合に、わめき散らす者がいた。
場所は、広場の中心より北東あたりのようだ。
荒れているのは〝ボサボサ赤髪〟の[男性戦士]である。
身長180㎝ぐらいのソイツは、30代前半といった感じだった。
「いや、だから、女神さまが〝最も相応しいのはザイラだ〟って…。」
背丈155㎝あたりで〝サラサラ茶髪ショート〟の少年が、ビビりながら返す。
痩せ型の本人は【白魔術士】らしく、年齢は10代の半ばみたいだ。
「けどよー、そのとおりにしなくてもいいんだろ?!」
「女神のヤツが言うには!?」
「だったら、このゾース様こそが、“Team Z”を率いても問題ねぇだろうがよ!」
「寧ろ、最も相応しいんじゃねぇか?!」
「あぁッ!? コラぁあ!!」
ヒートアップする【戦士】に、
「だったら、アンタと、ザイラで、ひと勝負したら?」
「闘技場で。」
「それで〝文句なし〟にすれば??」
こう提案したのは[女性武闘家]であった。
彼女は、身長170㎝くらいで、細マッチョである。
セミロングの金髪を“三つ編み”にしている本人は、20代半ばといった印象だ。
「あぁー、悪くねぇな。」
納得した様子のゾースが、[横長の超薄型画面]を操作して、
「“果たし合い”に応じろ!」
「ザイラ!!」
相手を睨みつける。
軽く〝ふぅー〟と息を吐いて、自分の“スクリーン”を開いた[男性剣士]は、
「いいだろう!」
「受けて立つ!!」
毅然とした態度で[許可]をタッチした。
それによって、二人が“コロッセウム”へと一瞬で転送されたのである。
「私らも行くよ、ゼシュー。」
「見届けに。」
武闘家に促され、
「う、うん。」
「そうだね、ジリ―。」
焦りながら応じる白魔術士だった。
いささか南に離れた位置では、
「えぇ~?」
「私には無理だよぉー。」
「クーガこそがリーダーになるべきなんじゃなぁい??」
「だってぇ、“女神様の愛子”なんだしぃ~。」
〝金髪ロングあざとかわいい系〟の[女性アーチャー]が述べたのである。
これに、
「いやいやぁー。」
「その女神さまが〝キエラが一番いい〟って仰られているんだから、そうしなよぉ~。」
〝茶髪ショート〟たる[男性ガンナー]が伝えた。
どちらも10代後半であろう。
クーガが、
「皆も、それでいいよね?」
ニコニコしつつ仲間に確認したところ、
「まぁ、儂らは、どっちでも構わんよ。」
「お前さんがたの好きにするがええ。」
長めの白髭といった70歳ぐらいの[男性黒魔術士]が微笑んだのであった……。
▽
帝都の“北西地区”に設けられている[闘技場]は、四階建てのようだ。
試合を行う場は“砂地”になっており、[ゾース]と[ザイラ]が対峙している。
観戦席には、彼らの仲間である10人が[テレポート]してきた。
武器を構えている二人の眼前には、直径50㎝で極薄の“サークル”が出現している。
その“円”のなかで、〝5〟〝4〟〝3〟と、カウントダウンが進んでいく。
黒髪ショートのザイラは、背丈175㎝といったとこだ。
スレンダーながらも筋肉質な彼は、20代後半あたりである。
二人の間にある表示が〝GO!!〟と告げて、消えた。
いきなりダッシュして距離を詰めたゾースが、[木の棍棒]を縦横無尽に振るう。
ザイラは[木製の中剣]で防ぐものの、次第に押されていき、
「くッ!」
「ぬッ!!」
厳しそうな顔つきになったのである。
客席にて。
「ザイラが追い込まれてるわね。」
こう呟いたのは[女性の陰陽師]だった。
「…………。」
何やら考えた素振りの[白魔術士のゼシュー]が、
「どうやら、戦士のほうが剣士よりもパワーがあるみたいだよ、ゼン。」
そのように知らせたのである。
華奢な体型の【陰陽師】は、身長160㎝で、〝黒髪サラ艶セミロング〟だ。
年齢は20代前半のようだ。
このゼンが、
「〝ゾースが有利〟って事ね。」
忌々しそうにしたのであった。
防戦一方のなか隙を窺っていたザイラは、右の爪先で、相手の左脛を、〝ガツンッ!〟と蹴ったのである。
「つッ!!」
眉間にシワをよせて、よろめいたゾースの胸元に、
「もらったぁあ!」
ザイラが[木剣]を突き出す。
ゾースは、
「舐めんなッ!!」
かろうじて左に躱わすのと同時に、右膝を、ザイラの腹部にヒットさせた。
「ぐふッ!」
背中を丸めて苦しそうにしたザイラの動きが止まる。
そういった好機を逃がすまいと、ゾースが、
「うおらぁッ!!」
「おりゃッ!!」
「うらぁッ!!」
「おらぁあッ!!」
ザイラの後頭部を何度となく棍棒で〝ゴンッ! ゴンッ!〟と殴打していく。
まだ“LV.1”のため、ただでさえ低めの[ヒットポイント]を、かなり削られたザイラが、
「が、ぁッ?!」
耐え切れずに両膝を着いたタイミングで、ゾースの目の前に“YOU WIN!!”との文字が現れたのだった。
ザイラのほうは“YOU LOSE”となっているみたいだ。
いずれにせよ、〝ニィ~〟と口元を緩めたゾースが、
「ざまぁみやがれ、身のほど知らずがッ!」
「ふはははははははは!!」
あからさまに勝ち誇ったのである。
こんな状況に、
「私が決闘を勧めてしまった所為で〝最悪なパーティー〟になってしまいそうね。」
〝ギリィッ!〟と歯ぎしりする[武闘家のジリ―]であった―。
話しは少し前に遡る――。
“フルダイブMMRORPG”たる[Wonder World]が、オンライン配信を開始して間もない頃だ。
AM09:00を回り、帝都の“中央広場”から、プレイヤー達が、あちらこちらに[テレポート]していくなか、
「絶対に認めねぇ!」
「リーダーはオレ様に決まってんだろうが!!」
といった具合に、わめき散らす者がいた。
場所は、広場の中心より北東あたりのようだ。
荒れているのは〝ボサボサ赤髪〟の[男性戦士]である。
身長180㎝ぐらいのソイツは、30代前半といった感じだった。
「いや、だから、女神さまが〝最も相応しいのはザイラだ〟って…。」
背丈155㎝あたりで〝サラサラ茶髪ショート〟の少年が、ビビりながら返す。
痩せ型の本人は【白魔術士】らしく、年齢は10代の半ばみたいだ。
「けどよー、そのとおりにしなくてもいいんだろ?!」
「女神のヤツが言うには!?」
「だったら、このゾース様こそが、“Team Z”を率いても問題ねぇだろうがよ!」
「寧ろ、最も相応しいんじゃねぇか?!」
「あぁッ!? コラぁあ!!」
ヒートアップする【戦士】に、
「だったら、アンタと、ザイラで、ひと勝負したら?」
「闘技場で。」
「それで〝文句なし〟にすれば??」
こう提案したのは[女性武闘家]であった。
彼女は、身長170㎝くらいで、細マッチョである。
セミロングの金髪を“三つ編み”にしている本人は、20代半ばといった印象だ。
「あぁー、悪くねぇな。」
納得した様子のゾースが、[横長の超薄型画面]を操作して、
「“果たし合い”に応じろ!」
「ザイラ!!」
相手を睨みつける。
軽く〝ふぅー〟と息を吐いて、自分の“スクリーン”を開いた[男性剣士]は、
「いいだろう!」
「受けて立つ!!」
毅然とした態度で[許可]をタッチした。
それによって、二人が“コロッセウム”へと一瞬で転送されたのである。
「私らも行くよ、ゼシュー。」
「見届けに。」
武闘家に促され、
「う、うん。」
「そうだね、ジリ―。」
焦りながら応じる白魔術士だった。
いささか南に離れた位置では、
「えぇ~?」
「私には無理だよぉー。」
「クーガこそがリーダーになるべきなんじゃなぁい??」
「だってぇ、“女神様の愛子”なんだしぃ~。」
〝金髪ロングあざとかわいい系〟の[女性アーチャー]が述べたのである。
これに、
「いやいやぁー。」
「その女神さまが〝キエラが一番いい〟って仰られているんだから、そうしなよぉ~。」
〝茶髪ショート〟たる[男性ガンナー]が伝えた。
どちらも10代後半であろう。
クーガが、
「皆も、それでいいよね?」
ニコニコしつつ仲間に確認したところ、
「まぁ、儂らは、どっちでも構わんよ。」
「お前さんがたの好きにするがええ。」
長めの白髭といった70歳ぐらいの[男性黒魔術士]が微笑んだのであった……。
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帝都の“北西地区”に設けられている[闘技場]は、四階建てのようだ。
試合を行う場は“砂地”になっており、[ゾース]と[ザイラ]が対峙している。
観戦席には、彼らの仲間である10人が[テレポート]してきた。
武器を構えている二人の眼前には、直径50㎝で極薄の“サークル”が出現している。
その“円”のなかで、〝5〟〝4〟〝3〟と、カウントダウンが進んでいく。
黒髪ショートのザイラは、背丈175㎝といったとこだ。
スレンダーながらも筋肉質な彼は、20代後半あたりである。
二人の間にある表示が〝GO!!〟と告げて、消えた。
いきなりダッシュして距離を詰めたゾースが、[木の棍棒]を縦横無尽に振るう。
ザイラは[木製の中剣]で防ぐものの、次第に押されていき、
「くッ!」
「ぬッ!!」
厳しそうな顔つきになったのである。
客席にて。
「ザイラが追い込まれてるわね。」
こう呟いたのは[女性の陰陽師]だった。
「…………。」
何やら考えた素振りの[白魔術士のゼシュー]が、
「どうやら、戦士のほうが剣士よりもパワーがあるみたいだよ、ゼン。」
そのように知らせたのである。
華奢な体型の【陰陽師】は、身長160㎝で、〝黒髪サラ艶セミロング〟だ。
年齢は20代前半のようだ。
このゼンが、
「〝ゾースが有利〟って事ね。」
忌々しそうにしたのであった。
防戦一方のなか隙を窺っていたザイラは、右の爪先で、相手の左脛を、〝ガツンッ!〟と蹴ったのである。
「つッ!!」
眉間にシワをよせて、よろめいたゾースの胸元に、
「もらったぁあ!」
ザイラが[木剣]を突き出す。
ゾースは、
「舐めんなッ!!」
かろうじて左に躱わすのと同時に、右膝を、ザイラの腹部にヒットさせた。
「ぐふッ!」
背中を丸めて苦しそうにしたザイラの動きが止まる。
そういった好機を逃がすまいと、ゾースが、
「うおらぁッ!!」
「おりゃッ!!」
「うらぁッ!!」
「おらぁあッ!!」
ザイラの後頭部を何度となく棍棒で〝ゴンッ! ゴンッ!〟と殴打していく。
まだ“LV.1”のため、ただでさえ低めの[ヒットポイント]を、かなり削られたザイラが、
「が、ぁッ?!」
耐え切れずに両膝を着いたタイミングで、ゾースの目の前に“YOU WIN!!”との文字が現れたのだった。
ザイラのほうは“YOU LOSE”となっているみたいだ。
いずれにせよ、〝ニィ~〟と口元を緩めたゾースが、
「ざまぁみやがれ、身のほど知らずがッ!」
「ふはははははははは!!」
あからさまに勝ち誇ったのである。
こんな状況に、
「私が決闘を勧めてしまった所為で〝最悪なパーティー〟になってしまいそうね。」
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