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Chapter 1/最初の国
№6 初陣・後編
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シューラの腹部に当たった【火の玉】が〝ボウッ!〟と燃えて、消えた。
ダメージをくらった本人は、
「くッ。」
軽く表情を歪める。
服が焦げたりしていないのは、ゲームならではだ。
いずれにしろ、隙が生じたシューラの胸元を、一匹の[ダークマウス.Jr]が“木製の短槍”で突きに掛かった。
反応が遅れて、防げそうにも躱せそうにもなく焦るシューラの、右斜め後ろから〝パンッ!!〟という音が聞こえるなり、
「ピギィーッ!」
左目から流血したネズミが、よろめく。
それは、【ガンナー】の射撃によるものだった。
「ありがと、スイ。」
お礼を述べたシューラに、
「どういたしまして。」
40代前半で、銀髪ロング・瞳は緑・黒肌の女性が、微笑む。
この間に、シューラの脚に噛み付こうと、[ダークドック.Jr]が襲ってくる。
それよりも早く、直径15㎝の魔法陣を構築したソソが、
「アイスボール!!」
魔法陣と同じ直径で“歪な球体の氷”を放った。
これが鼻付近に直撃したドックは、
「キャインッ!」
悲鳴を上げて、地面で仰向けになったのである。
「ナイス、ソソ。」
シューラに褒められた[少年黒魔術士]が〝へへへっ〟と嬉しそうにした。
周囲に気を配るシューラの左横から飛び出した[初老の武士]が、先程の“ダークマウス.Jr”へと、木刀を横に払うも、槍の柄で〝ガツッ!!〟と受け止められてしまう。
互いに武器を押し合うなか、
「こっちは儂に任せて、お主は“犬っころ”を倒せ、シューラ!」
そのように伝えたのである。
「うん、分かった、ソリュウ。」
〝後部で束ねているセミロングヘアーと、鼻の下&顎の髭は、白髪交じり〟といった60代半ばの男性に応じた[金髪セミロングの少女剣士]が、態勢を整えた“ダークドック.Jr”へと駆けてゆき、[木の中剣]を振り下ろす…。
〝グッ〟と身を低くした一羽の[アルミラージ]が、〝ブンッ!〟と上体を起こすなり、角から最小直径10㎝×最大直径20㎝×長さ50㎝の[竜巻]が発生したのである。
いや、寧ろ、[つむじ風]と言ったほうが正しいかもしれない。
この“風の渦”が、スライムに止めを刺したばかりのサーガの左側面にヒットして、消滅した。
20代前半でショートの髪&瞳がブラウンの[爽やかイケメン騎士]が、少しフラついたところを、赤色のチューリップみたいな“食人花”が呑み込もうと、口を広げる。
だが、ソイツの茎に、【武闘家】が“右の回し蹴り”を見舞ったことで、難を逃れたのであった。
「すまない、サイザー。」
軽く会釈した【騎士】に、
「なぁに、さっき助けてもらったから、これで“お相子”だ。」
銀色の短髪/顎髭/緑の瞳/黒肌という“40代半ばの男性”が穏やかに返す。
そこへ、[食人花]が尖らせた口から“ピンク色の霧”を〝ぷしゅぅ――ッ〟と噴出したのである。
「むッ?!」
サイザーは、咄嗟に左手で、自分の鼻と口を塞いだ。
左に居たサーガ・シューラ・ソリュウは、まともに吸ってしまい、膝を着いたり、しゃがんだりして、眠ってしまった。
この好機に、アルミラージがサーガに体当たりしたのである。
他にも、シューラの左頬をドッグが爪で引っ搔き、ソリュウの頭をネズミが槍で叩く。
それらによって目を覚ました最前線の三人であったが、どれもが“クリティカルダメージ”だったようで、[ヒットポイント]を大幅に削られてしまったみたいだ。
なお、人であれモンスターであれ、どの血も本物ではなく、エフェクトらしい。
サイザーが“右のアッパー”で、花を殴る。
立とうとするシューラ達を、残りの魔物らが攻撃しようとしていた。
サザミンが[木製で短い弓]の弦を引いたところ、ホワイトに輝く“一本の矢”が自動的に形成されたのである。
50歳前後で、金髪ロング/青い瞳/白肌の[女性アーチャー]が矢を射った。
これがアルミラージの左頭に刺さるなか、スイが“弾丸”をネズミの左肩に、ソソが直径10㎝の【エクスプロージョンボール】を子犬の右腹部に、ヒットさせる。
更には、シエルが“右の大外”から前方へとダッシュした。
銀髪ショート・緑の瞳・黒肌で“サウスポー”の[女性アサシン]が、もう一体のスライムに[木の短剣]を繰り出す。
攻守が入れ替わっていくなかで、金髪オールバック&瞳が青い【シールダー】たる30代前半のシリウスが、
「セイラン!!」
「回復魔法を!」
右斜め後ろの【白魔術士】に促したのである。
「一人ずつしか無理ですけど、まずは、どなたを??」
ゆるふわライトブラウンロングヘアー/黒い瞳/白肌で20歳ぐらいの彼女が尋ねたら、
「シューラだ!!」
「あいつだけは死なすわけにはいかねぇ!」
そのように答えたシリウスに、
「危ない!!」
真後ろのサキが告げた。
白髪交じりのヘアーを“お団子”にしている60代前半の【召喚士】による知らせに、〝ハッ!!〟としたシリウスが、前を向いたところ、元気なほうの[ダークドック.Jr]が飛び掛かってきていたのである。
回避が間に合いそうにないシリウスの左斜め後ろで、
「土よ。」
ある男が呟くなり、直径15㎝程の範囲で道が1Mせり上がり、犬の胴体を捕らえたのだった。
「ありがとよ、ソウヤ。」
感謝したシリウスが、〝ジタバタ〟もがいているドッグの額を、[木製大楯]の外枠で叩くモーションへと移行する。
50代前半の男性である“ソウヤ”は、背丈170㎝かつ細身で、セミロングヘアーと瞳が黒い。
長袖と長パンツの甚平みたいな和装&足袋はホワイトで、草履を履いていた。
そんな彼は、【陰陽師】との事である。
ちなみに、“土”とは異なる自然も扱えるのだそうだ。
一方、セイランは、 “杖”の先端で直径30㎝の魔法陣を展開していく。
この流れで、
「ソロヒール!」
と、彼女が唱えたら、全身を“空色の淡い光り”に包まれたシューラが【治癒】されていった。
ほぼ同時に、サーガとソリュウが、
「HP回復ポーション!!」
こう発言したところ、それぞれの眼前に[透明の小瓶]が〝シュン!〟と転送されてきたのである。
それは、初回ログインの特典として[アイテムBOX]に幾つか納められている“品物”の一つらしい。
この瓶を片手で掴み、栓を抜いて、中に入っている“スカイブルー色の液体”を飲み干していく騎士&武士であった―。
ダメージをくらった本人は、
「くッ。」
軽く表情を歪める。
服が焦げたりしていないのは、ゲームならではだ。
いずれにしろ、隙が生じたシューラの胸元を、一匹の[ダークマウス.Jr]が“木製の短槍”で突きに掛かった。
反応が遅れて、防げそうにも躱せそうにもなく焦るシューラの、右斜め後ろから〝パンッ!!〟という音が聞こえるなり、
「ピギィーッ!」
左目から流血したネズミが、よろめく。
それは、【ガンナー】の射撃によるものだった。
「ありがと、スイ。」
お礼を述べたシューラに、
「どういたしまして。」
40代前半で、銀髪ロング・瞳は緑・黒肌の女性が、微笑む。
この間に、シューラの脚に噛み付こうと、[ダークドック.Jr]が襲ってくる。
それよりも早く、直径15㎝の魔法陣を構築したソソが、
「アイスボール!!」
魔法陣と同じ直径で“歪な球体の氷”を放った。
これが鼻付近に直撃したドックは、
「キャインッ!」
悲鳴を上げて、地面で仰向けになったのである。
「ナイス、ソソ。」
シューラに褒められた[少年黒魔術士]が〝へへへっ〟と嬉しそうにした。
周囲に気を配るシューラの左横から飛び出した[初老の武士]が、先程の“ダークマウス.Jr”へと、木刀を横に払うも、槍の柄で〝ガツッ!!〟と受け止められてしまう。
互いに武器を押し合うなか、
「こっちは儂に任せて、お主は“犬っころ”を倒せ、シューラ!」
そのように伝えたのである。
「うん、分かった、ソリュウ。」
〝後部で束ねているセミロングヘアーと、鼻の下&顎の髭は、白髪交じり〟といった60代半ばの男性に応じた[金髪セミロングの少女剣士]が、態勢を整えた“ダークドック.Jr”へと駆けてゆき、[木の中剣]を振り下ろす…。
〝グッ〟と身を低くした一羽の[アルミラージ]が、〝ブンッ!〟と上体を起こすなり、角から最小直径10㎝×最大直径20㎝×長さ50㎝の[竜巻]が発生したのである。
いや、寧ろ、[つむじ風]と言ったほうが正しいかもしれない。
この“風の渦”が、スライムに止めを刺したばかりのサーガの左側面にヒットして、消滅した。
20代前半でショートの髪&瞳がブラウンの[爽やかイケメン騎士]が、少しフラついたところを、赤色のチューリップみたいな“食人花”が呑み込もうと、口を広げる。
だが、ソイツの茎に、【武闘家】が“右の回し蹴り”を見舞ったことで、難を逃れたのであった。
「すまない、サイザー。」
軽く会釈した【騎士】に、
「なぁに、さっき助けてもらったから、これで“お相子”だ。」
銀色の短髪/顎髭/緑の瞳/黒肌という“40代半ばの男性”が穏やかに返す。
そこへ、[食人花]が尖らせた口から“ピンク色の霧”を〝ぷしゅぅ――ッ〟と噴出したのである。
「むッ?!」
サイザーは、咄嗟に左手で、自分の鼻と口を塞いだ。
左に居たサーガ・シューラ・ソリュウは、まともに吸ってしまい、膝を着いたり、しゃがんだりして、眠ってしまった。
この好機に、アルミラージがサーガに体当たりしたのである。
他にも、シューラの左頬をドッグが爪で引っ搔き、ソリュウの頭をネズミが槍で叩く。
それらによって目を覚ました最前線の三人であったが、どれもが“クリティカルダメージ”だったようで、[ヒットポイント]を大幅に削られてしまったみたいだ。
なお、人であれモンスターであれ、どの血も本物ではなく、エフェクトらしい。
サイザーが“右のアッパー”で、花を殴る。
立とうとするシューラ達を、残りの魔物らが攻撃しようとしていた。
サザミンが[木製で短い弓]の弦を引いたところ、ホワイトに輝く“一本の矢”が自動的に形成されたのである。
50歳前後で、金髪ロング/青い瞳/白肌の[女性アーチャー]が矢を射った。
これがアルミラージの左頭に刺さるなか、スイが“弾丸”をネズミの左肩に、ソソが直径10㎝の【エクスプロージョンボール】を子犬の右腹部に、ヒットさせる。
更には、シエルが“右の大外”から前方へとダッシュした。
銀髪ショート・緑の瞳・黒肌で“サウスポー”の[女性アサシン]が、もう一体のスライムに[木の短剣]を繰り出す。
攻守が入れ替わっていくなかで、金髪オールバック&瞳が青い【シールダー】たる30代前半のシリウスが、
「セイラン!!」
「回復魔法を!」
右斜め後ろの【白魔術士】に促したのである。
「一人ずつしか無理ですけど、まずは、どなたを??」
ゆるふわライトブラウンロングヘアー/黒い瞳/白肌で20歳ぐらいの彼女が尋ねたら、
「シューラだ!!」
「あいつだけは死なすわけにはいかねぇ!」
そのように答えたシリウスに、
「危ない!!」
真後ろのサキが告げた。
白髪交じりのヘアーを“お団子”にしている60代前半の【召喚士】による知らせに、〝ハッ!!〟としたシリウスが、前を向いたところ、元気なほうの[ダークドック.Jr]が飛び掛かってきていたのである。
回避が間に合いそうにないシリウスの左斜め後ろで、
「土よ。」
ある男が呟くなり、直径15㎝程の範囲で道が1Mせり上がり、犬の胴体を捕らえたのだった。
「ありがとよ、ソウヤ。」
感謝したシリウスが、〝ジタバタ〟もがいているドッグの額を、[木製大楯]の外枠で叩くモーションへと移行する。
50代前半の男性である“ソウヤ”は、背丈170㎝かつ細身で、セミロングヘアーと瞳が黒い。
長袖と長パンツの甚平みたいな和装&足袋はホワイトで、草履を履いていた。
そんな彼は、【陰陽師】との事である。
ちなみに、“土”とは異なる自然も扱えるのだそうだ。
一方、セイランは、 “杖”の先端で直径30㎝の魔法陣を展開していく。
この流れで、
「ソロヒール!」
と、彼女が唱えたら、全身を“空色の淡い光り”に包まれたシューラが【治癒】されていった。
ほぼ同時に、サーガとソリュウが、
「HP回復ポーション!!」
こう発言したところ、それぞれの眼前に[透明の小瓶]が〝シュン!〟と転送されてきたのである。
それは、初回ログインの特典として[アイテムBOX]に幾つか納められている“品物”の一つらしい。
この瓶を片手で掴み、栓を抜いて、中に入っている“スカイブルー色の液体”を飲み干していく騎士&武士であった―。
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