Arousal of NPC‘s

ネコのうた

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Chapter 1/最初の国

№5 初陣・前編

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距離を詰めて来ていた魔物らが、10Mほど手前で〝ピタッ〟と止まった。
青みがかった黒色の毛並みに、赤い瞳の、小型犬は、[ダークドック.Jr]である。
直径50㎝ほどの“水色の球体”は[スライム]であり、体内に“半透明の白いコア”を有しているようだ。
背丈165㎝くらいのチューリップみたいなものは[食人花]だ。
全長1Mあたりで、額に一本角が見受けられる兎は、[アルミラージ]に違いない。
背丈は80㎝ぐらいであり、紫色の毛並みであるものは、[ダークマウス.Jr]との事である。
 
各2数ずつの、計10体であるモンスター達が、一斉に、[Teamチーム Sエス]めがけて走りだした。
 
バトルが開始される際には、敵味方問わず、“ヒットポイントHP”や“マジックポイントMP”に“スキルポイントSP”といった[バー横棒]が表示される。
 
「サキ!!」
シューラに名を呼ばれた女性が、
「任せな!」
右手に持っている50㎝程の長さで“細い樫製”といった[魔法の杖]を突き出す。
 
身長158㎝でスレンダーなサキは、60代前半といった感じだ。
白髪交じりのヘアーを“お団子”にしている。
布製でホワイトの長袖ワンピースに、イエローのマントを羽織り、ブラウンでレザーのロングブーツを履いていた。
どうやら、彼女は、【召喚士】らしい。
 
サキの“杖”の先端に直径30㎝の[魔法陣]が構築される。
そこ・・から現れた“真っ白な小鳥”が、[Team S]たちの真上を旋回したところ、それぞれの体が〝キラキラ〟と輝く粒子に包まれたのだった。
この鳥は[カラドリウス]という名称で、プレイヤーの攻撃力&守備力を1分間だけ倍増してくれる。
なお、全ての召喚士が最初から使役できる唯一の“サーヴァント”なのだそうだ。
それ以外の霊獣や魔物は、各自で契約しない限り、扱うのは不可能となっている。
 
ちなみに、カラドリウスは、中世時代のヨーロッパにおいて〝人の病を吸い取って治してくれる〟とされていたらしい。
ただ、“WWワンワー”こと[Wonder Worldワンダーワールド]では、補助・・の役割を担っているみたいだ。
 
シューラ達のステータスを二倍にし終えたカラドリウスが、宙で〝スッ〟と消えた。
現時点での“サキ”は、[リキャストタイム]が5分のため、暫くは再召喚できない。
ともあれ。
モンスター集団が駆けてくるなか、武器や防具を構える[Team S]であった…。
 
 

その頃、[イッチューズ]は、“鉄格子門てつごうしもん”の正面に赴いていたのである。
「立派ねぇ。」
感心するカリンを余所よそに、
「じゃ、入ろうぜ。」
ヤトが“ノブ”を握った。
「え!?」
「いいの??」
「勝手に……。」
いささか不安そうにしたのは、エイトである。
「大丈夫だよ。」
「クエストを受注したりして、何かしらのミッションやイベントが発生している建物であれば、自由に行き来して良い仕組みになっているから。」
優しく述べたのは、勿論、クマッシーだ。
これに、ニケが、
「逆に言うと、そうではない家とかにはカギが掛けられていたりして、出入りできないんだよ。」
そう補足したのだった。
女性陣が〝へぇー〟と理解するなか、ヤトが、庭に設けられている“石畳の一本道”を歩いてゆく。
「あ、待ってよ、ヤト。」
カリンを軸に、パーティーメンバーが後ろに続いたのである。
 
玄関に付属している“アンティークな呼び鈴”の紐を掴んだヤトが、〝カラン カラン〟と鳴らす。
内側からドアを開けたのは、初老の女性給仕であった。
凛とした印象の彼女NPCが、
「こちらには、どんな御用でしょうか?」
このように尋ねてきたのである。
「えーっと、脱走したとかいうペットの件で…。」
ヤトが説明しようとしたら、
「まぁ!!」
「お嬢さまの猫ちゃんを探してくださる方々ですのね?!」
「旦那様にご紹介させていただきますので、どうぞ、お入りください。」
そう促してきたのだった。
彼女の頭上にある[金色のダイヤマーク]を指差したセブンが、
「何、あれ??」
素朴な疑問を呈したところ、
「あー。」
「ノンプレイヤーキャラクターたちのなかでも…。」
と、ニケが教えていったのである。
 
 

草原の土路どろにて。
〝びょーん!〟とジャンプして〝ブワッ!!〟と広がった一体のスライムが、ある男性の顔面に〝べたん!〟とくっついた。
「ぬっ、ぐッ!」
呼吸困難に陥った本人は、両手でスライムを引き離そうとするも、〝ネバネバ〟しており、剥がせずにいる。
この状況に気づいた別の男が、[木製の大剣]を振り下ろして、縦10㎝×横5㎝で楕円形の“コア”を叩いたら、そこ・・ヒビが生じたスライムが、標的を変えて襲ってきた。
「おっと。」
左へと躱した“剣の男性”が、
「大丈夫だった? サイザー。」
こう確認したところ、〝ふぅ――ッ〟と息を吐いた相手が、
「ああ、助かったぜ。」
「サンキューな、サーガ。」
微笑んで応答したのである。
 
40代半ばの“サイザー”は、背丈が180㎝で、筋肉質な体つきであった。
銀色の短髪に、顎髭あごひげを蓄えており、瞳が緑色で、肌は黒い。
ブラックを基調としたぬのの長袖&長パンツに、ブラウンでレザーのショートブーツを、装備している。
素手である事から、【武闘家】だと推測できた。
 
“サーガ”は、身長168㎝で、標準的な体型であり、20代前半といった印象だ。
ショートの髪と、瞳は、茶色で、“爽やかイケメン”である。
ホワイトを基調とした簡素な長袖&長パンツといった“旅人の服”に、ブラウンで革製のロング手袋とロングブーツを、着用していた。
彼は、きっと、【騎士】であろう。
 
二人が急いで態勢を整え直していくなか、一匹の[ダークドック.Jr]が、口から直径20㎝の【ファイヤーボール火の玉】を発射する。
だが、それ・・は、サーガの左隣に居る“シューラ”へと放たれたものだった―。
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