各種族に転生した僕らの異世界ライフ

ネコのうた

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黎明期

第75話 展望④

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“ハーフエルフのリィバ”が姿勢を正し、“ラドン竜王”と“トラヴォグ公爵”が立ち上がる。

こうしたなか、

「し、城宮君しろみやくん、と、取り敢えず、深呼吸です、よ。」

「せ、せせ、先生、ぜ、前世での、よ、呼び方に、もも、も、戻って、ます。」

二人が冷や汗を掻きながら会話していた。

特にヴァイアのほうが大量だ。

それはおいといて…。

「今日は、どうなされたんですか?」
「何か御用でも??」

僕が尋ねてみたところ、

「いや、久々に、なんとなく下界を覗いていたら、懐かしい姿が見えたのでな。」
「ちょっと顔を出してみたのだ。」

“武神カティーア様”が、ラドン陛下に視線を送る。

これを受け、

「恐縮です。」

竜王が丁寧に頭を下げた。

そうした最中に、ヴァイアと先生は、息を〝すぅ――〟と吸っては〝はぁ――〟と吐く行為を、何度も繰り返している。

……、ま、これもまた、おいといて。

「よろしければ、カティーア様も珈琲コーヒーを飲んでいかれませんか?」
「今、アシャーリーたちが作ってくれていますので。」

僕がお誘いしてみたら、

「ふむ??」
「もしや、地球のものか?」
「だとすれば、ひとつ体験させてもらうとしよう。」

穏やかな笑みを浮かべる“武神様”だった…。



[広間]にて。

ルシム大公やアシャーリーなどに、僕の“教育係”と“お世話係”が、カティーア様に挨拶してゆく。

大公の長男である“ルーザーさん”と“お抱えの魔術士さん”は、初めて目の当たりした武神様に恐縮している。

こうしたなか、珈琲が配膳されていき、全員が席に着いた。

僕ら“転生組”の勧めで、アシャーリーが代表して、

「それでは説明させていただきます。」
「まず、現状だと、割と苦いです。」
「これを“ブラックコーヒー”と言いますが、正直、好みが分かれます。」
「ですので、お砂糖やミルクで、それぞれ調整してください。」
「例えば、私でしたら……。」
「このように、お砂糖を小さじ二杯と…。」
「ミルクをこれぐらい入れて……。」
「スプーンでかき混ぜてから、飲むようにしています。」

お手本を見せる。

多くのヒトが〝へぇー〟や〝ほぉー〟と理解するなか、

「僕は、ブラックが好きなので、このままいただきますが、皆さんは一口だけ味わってから、砂糖や牛乳の量を決めていくのがよいでしょう。」

先生が捕捉した。

どうやら、カティーア様の“神気しんき”に慣れたようで、普段どおりに戻りつつある。

まだ、いささか緊張しているみたいだけど。

とかく。

各自が試してゆく。

ちなみに、砂糖は[ガラスの小瓶]に、ミルクは[銀製の中瓶]に、入れられている。

なお、どちらも四つずつ用意されていた。

それらを順番に回していき、誰もが味の変化を楽しむ。

「そういえば、紅茶と牛乳で“ミルクティー”になりますね。」
「すっかり忘れていました。」
「次の機会にやってみて、好評であれば、コーヒーともども、チキュウビストロ関連店で提供しましょう。」
「改めて営業する際にでも。」

独り言かのように喋ったアシャーリーに、

「あ、そうだった。」
「お借りしていた本を返しますね。」

こう述べた先生が、

「アイテムボックス、開いてください。」

[小規模の亜空間収納]を出現させる。

その流れで、

「先生、新しく買いたい物があるのですが、よろしいでしょうか??」

アシャーリーが窺う。

「ええ。」
「構いませんよ。」

快諾してくれた先生に、

「では…、〝ジュースの作り方と、コーヒーミルに関して〟を、お願いします。」

こう伝えるアシャーリーだった。

それによって、先生が集中しだす。

数十秒後、

「おそらく、これらで大丈夫かと思いますけれども。」

このように先生が予想したところ、

「おいくらですか?」

再びアシャーリーが質問した。

「銀貨二枚ですね。」

先生が微笑んで答えたら、

「アイテムボックス、開いて。」

やはり[小規模の亜空間収納]からアシャーリーが通貨を取り出す。

それを貰った先生が、

「少々お待ちください。」

こう告げる。

数秒後に“二枚の銀貨”が〝フッ!〟と消え、代わるようにして“二冊の書籍”が〝シュンッ!!〟と登場した―。
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