74 / 113
黎明期
第74話 来訪③
しおりを挟む
翌朝となっている。
この日は、“ハーフエルフのリィバ”と鍛錬に勉学を行なう予定だ。
モンスターの解体は順調らしいけど、全て終えるまではまだ掛かるらしい。
ご飯を済ませ、小一時間が経とうとしている。
稽古のため外に向かおうとしていたところ、次々と客人が現れた。
まずはヴァイアだけど、彼は定期的なものなので、別に不思議ではない。
ただ、今回は、“双子の兄妹さん”ではなく、“ラドン竜王”が一緒だった。
政務が一段落したらしく、息抜きに来たそうだ。
続いて【テレポーテーション】してきたのは、先生と“トラヴォグ公爵”だった。
アシャーリーが以前お願いしていた[製麵機]が完成したらしい。
トラヴォグ公は、ラドン陛下を紹介されるなり、興奮していた。
竜王は[サウスト大陸]で勇名を馳せているそうだ。
こうしたところへ、お抱えの魔術士さんによって【テレポート】してきたのは、ルシム大公の長男にあたる“ルーザーさん”だった。
なんでも、“コーヒーの実”をゲットしたらしい……。
▽
“アシャーリーの伯父さん”が[亜空間収納]に入れてきた“麻袋”を、厨房で取り出す。
そうして、ルーザーさんが袋を開けたら、
「確かにコーヒーですね。」
先生が述べた。
果実を見るのが初めてだった僕とヴァイアは、〝へぇー〟と興味を示す。
一方で、
「ん?」
「“カッフェア”ではないのか??」
ラドン陛下が首を傾げる。
これに、
「日本では“コーヒー”と言います。」
孫のヴァイアが伝えたところ、
「ほぉう。」
「成程な。」
納得してくれたようだ。
「豆を挽く道具があればラクなんだけど…、とりあえず“すり鉢”でいいかな?」
ふと呟いたアシャーリーに、
「あぁ、“コーヒーミル”ですね。」
「それは、今度、ドワーフの職人達に頼んでみましょう。」
先生が提案する。
ちなみに、[すり鉢]は、“地球の西洋風”といった物だ。
いずれにしろ。
「お願いします。」
会釈したアシャーリーが、
「あとは、紅茶用のティーストレーナーと、“漉し布”で、やってみるしかないか。」
「でも、上手くいくのかしら??」
「せめて、フィルターがあればなぁ。」
〝ん~?〟と悩みだす。
「それなら、リィバが代用品を持っているかも。」
ふと思い出した僕に、
「はい?」
「なんです??」
ハーフエルフが瞼を〝パチクリ〟させる。
「ポーションとかを生産する際に使っている紙だよ。」
「薬草などを濾過する。」
そう説明したら、〝あー〟と理解して、
「それならば、幾らでも有りますよ。」
微笑んだリィバが、
「アイテムボックスよ、小さく開きたまえ。」
このように唱えた。
なお、本人は、[亜空間収納]を“特大”まで出現させる事ができる。
要は〝調整が利く〟のだ。
さて。
そうした流れで、アシャーリー母子に料理人たちが作業するため、僕らは邪魔にならないよう退散してゆく……。
▽
僕は、当然、庭で鍛錬することにした。
これに、ヴァイアが付き添う。
トラヴォグ公が、
「折角だ。」
「お前も御一緒させてもらえ。」
そのように勧めたので、先生も参加する…。
▽
休憩となり、輪になって雑談していたところ、急に、ヴァイアが〝ビクゥッ!!〟と反応し、先生&トラヴォグ公が後ろを振り返った。
リィバは深々と頭を下げる。
更に、竜王が跪き、
「ご無沙汰しております。」
こう挨拶した。
その方角に視線を送った僕が、
「あ。」
「カティーア様。」
「お久しぶりです。」
一礼したら、
「なッ?!」
「まさか、武神様で、あらせられますか??」
トラヴォグ公が目を丸くする。
次の瞬間、地面に膝を着き、
「お初に、お目にかかります。」
「儂、あ、いや、自分は、ハイドワーフの、“トラヴォグ=ロデール”です。」
「“ヴェルン王国”の公爵で、ございます。」
いささか震えつつ自己紹介した。
ヴァイアは〝ブルブル ガクガク〟になっており、先生は硬直している。
これらの光景に、
「全員ラクにしてくれ。」
「私は何も脅しに来たわけではないのだから。」
少なからず困り顔となる“カティーア様”だった―。
この日は、“ハーフエルフのリィバ”と鍛錬に勉学を行なう予定だ。
モンスターの解体は順調らしいけど、全て終えるまではまだ掛かるらしい。
ご飯を済ませ、小一時間が経とうとしている。
稽古のため外に向かおうとしていたところ、次々と客人が現れた。
まずはヴァイアだけど、彼は定期的なものなので、別に不思議ではない。
ただ、今回は、“双子の兄妹さん”ではなく、“ラドン竜王”が一緒だった。
政務が一段落したらしく、息抜きに来たそうだ。
続いて【テレポーテーション】してきたのは、先生と“トラヴォグ公爵”だった。
アシャーリーが以前お願いしていた[製麵機]が完成したらしい。
トラヴォグ公は、ラドン陛下を紹介されるなり、興奮していた。
竜王は[サウスト大陸]で勇名を馳せているそうだ。
こうしたところへ、お抱えの魔術士さんによって【テレポート】してきたのは、ルシム大公の長男にあたる“ルーザーさん”だった。
なんでも、“コーヒーの実”をゲットしたらしい……。
▽
“アシャーリーの伯父さん”が[亜空間収納]に入れてきた“麻袋”を、厨房で取り出す。
そうして、ルーザーさんが袋を開けたら、
「確かにコーヒーですね。」
先生が述べた。
果実を見るのが初めてだった僕とヴァイアは、〝へぇー〟と興味を示す。
一方で、
「ん?」
「“カッフェア”ではないのか??」
ラドン陛下が首を傾げる。
これに、
「日本では“コーヒー”と言います。」
孫のヴァイアが伝えたところ、
「ほぉう。」
「成程な。」
納得してくれたようだ。
「豆を挽く道具があればラクなんだけど…、とりあえず“すり鉢”でいいかな?」
ふと呟いたアシャーリーに、
「あぁ、“コーヒーミル”ですね。」
「それは、今度、ドワーフの職人達に頼んでみましょう。」
先生が提案する。
ちなみに、[すり鉢]は、“地球の西洋風”といった物だ。
いずれにしろ。
「お願いします。」
会釈したアシャーリーが、
「あとは、紅茶用のティーストレーナーと、“漉し布”で、やってみるしかないか。」
「でも、上手くいくのかしら??」
「せめて、フィルターがあればなぁ。」
〝ん~?〟と悩みだす。
「それなら、リィバが代用品を持っているかも。」
ふと思い出した僕に、
「はい?」
「なんです??」
ハーフエルフが瞼を〝パチクリ〟させる。
「ポーションとかを生産する際に使っている紙だよ。」
「薬草などを濾過する。」
そう説明したら、〝あー〟と理解して、
「それならば、幾らでも有りますよ。」
微笑んだリィバが、
「アイテムボックスよ、小さく開きたまえ。」
このように唱えた。
なお、本人は、[亜空間収納]を“特大”まで出現させる事ができる。
要は〝調整が利く〟のだ。
さて。
そうした流れで、アシャーリー母子に料理人たちが作業するため、僕らは邪魔にならないよう退散してゆく……。
▽
僕は、当然、庭で鍛錬することにした。
これに、ヴァイアが付き添う。
トラヴォグ公が、
「折角だ。」
「お前も御一緒させてもらえ。」
そのように勧めたので、先生も参加する…。
▽
休憩となり、輪になって雑談していたところ、急に、ヴァイアが〝ビクゥッ!!〟と反応し、先生&トラヴォグ公が後ろを振り返った。
リィバは深々と頭を下げる。
更に、竜王が跪き、
「ご無沙汰しております。」
こう挨拶した。
その方角に視線を送った僕が、
「あ。」
「カティーア様。」
「お久しぶりです。」
一礼したら、
「なッ?!」
「まさか、武神様で、あらせられますか??」
トラヴォグ公が目を丸くする。
次の瞬間、地面に膝を着き、
「お初に、お目にかかります。」
「儂、あ、いや、自分は、ハイドワーフの、“トラヴォグ=ロデール”です。」
「“ヴェルン王国”の公爵で、ございます。」
いささか震えつつ自己紹介した。
ヴァイアは〝ブルブル ガクガク〟になっており、先生は硬直している。
これらの光景に、
「全員ラクにしてくれ。」
「私は何も脅しに来たわけではないのだから。」
少なからず困り顔となる“カティーア様”だった―。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。


悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた
こばやん2号
ファンタジー
とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。
気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。
しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。
そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。
※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる