各種族に転生した僕らの異世界ライフ

ネコのうた

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黎明期

第71話 ダンジョン探索①

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ルシム大公たちが[アイテムボックス]に魔物と魔獣を収納し終えた。

それによって、僕らは[鉱石洞窟]へと向かう……。



出入口である[穴]は、最大幅3M×最大高さ5Mといったところで、いびつなドーム型だ。

こうした洞窟へと僕達は足を踏み入れた。

そこから、薄暗いなかを暫く進む。

すると、次第に明るくなってきた。

地面から幾つかの鉱石がまばらに突き出していたからだ。

もしくは〝タケノコみたいに生えている〟といった表現のほうが、しっくりくるだろうか?

高さは1㎝~15㎝くらいで、“白/赤/青/黄/緑/紫”と、さまざまだった。

これらが光を放っているのだ。

一本道を歩きつつ、

「こっちの世界の鉱石って、どれもこんな感じで光っているの??」

誰ともなく素朴な疑問を口にした僕に、

「あー。」
「そこら辺に関しては、まだ授業していませんでしたね。」

〝ふむ〟と頷いたマリーが、

「では。」
「良い機会ですので、お教え致します。」

右手の中指で、眼鏡の中央を〝スチャッ〟と上げる。

そうして、

「普通の鉱石は、自然に発光したりはしません。」
「一方で、この洞窟のような魔鉱石・・・は〝魔素を含んだことで起きる現象〟と、昔から伝えられてきました。」
「ですが、詳細はいまだ解明されていないため、真偽のほどは分からないのです。」
「ただ…、こうした魔鉱石は、純度が高くなっています。」
「そのため、宝石に加工した際には、結構なが付くのです。」
「また、粉々にした魔鉱石を混ぜて作った武器や防具は、強度が増します。」
「当然、そうした完成品も値段が高くなりますけどね。」
「あと、魔鉱石はギルドが買い取ってくれるので、冒険者などにとっての資金源になります。」

このように語ったのだ……。



あれから、ひらけた場所に来た。

先程までとは違って、高さ5㎝~30㎝あたりの[魔鉱石]が割と存在している。

そのため、より明るい。

僕とアシャーリーやヴァイアに先生は〝おぉー〟と少なからず感動した。

こうした僕らに、“ハーフエルフのリィバ”が、

「下の階層へ行くほど、魔鉱石は大きくなりますよ。」

〝ニコニコ〟と微笑む。

僕たちが〝へぇー〟と興味を示していたところ、

「さて、どうするかのう。」

トラヴォグ公爵が呟いた。

何故ならば、奥へと続く道が“二又”になっているからだ。

「分かれて進むしかないでしょうなぁ。」

大公が述べた事で、僕らは相談していく…。



僕と“教育係”や“お世話係”に、先生&トラヴォグ公は、となった。

他のメンバーは、勿論、左だ。

モンスターに遭遇する危険性は無いに等しいみたいだけど、もしもに備えて数のバランスを考えたからだった。

それだけでなく、万が一、強敵にバッタリ出会ってしまったときは、[大公の館]に【瞬間移動】することになっている。

詠唱している最中に攻撃されでもしたなら、まずい事態になりかねない。

しかし、ヴァイアと先生は【闇属性の神法しんぽう】も使えるので、無詠唱で済む。

こうした理由で、チームを決めたのだった。

そのような経緯で、

「前方はわたくしどもにお任せください。」

“黒猫の獣人”こと“ユーン”が立候補する。

彼女達は、耳が良い種族のため、異変を察知しやすい。

こうして、慎重を期す僕らだった……。



新たな一本道を進んでゆく。

魔鉱石は、また少量になっている。

5分ぐらい歩いただろうか?

下への階段が見受けられた。



地下2階は、若干ながら複雑な造りになっている。

ちょっとした迷路だ。

左に曲がっては、行き止まりとなって、来た道を戻り、右に曲がっては――、というのを何度か繰り返す。

そのような状況で、

「どこか怖い気もしますが、〝ワクワク〟のほうが勝りますねぇ~。」

楽しそうにしているのは、先生だった…。



約20分が経ち、地下3階に出る。

僕らの対面に在る階段から、大公たちが下りてきた。

おそらくだけれども、このエリアの北側に僕らがいて、アシャーリー&ヴァイアの一同は南側だと思われる。

そうした仮定でいくと、東側は壁になっており、西側で崩落が起きていた。

リィバが西へと視線を送りつつ、

「この規模であれば、ダンジョンブレイクでしょう。」
「きっと、代替わりしたばかりの“触手目玉”が改築に失敗したのであって、自然災害ではありませんよ。」
「ここの“ダンジョンマスター”は、あれらの崩れた岩の下敷きになって、既に息絶えているかと。」

こう喋った事で、僕とアシャーリーやヴァイアに先生が〝ん~??〟と首を傾げる。

そうした流れにて、

「まぁ、話しは後にしよう。」
「取り敢えず、崩落の影響で散らばったのであろう魔鉱石を、回収したい。」
「ギルドの依頼を受けなくなっておる冒険者どもを動かすため、儂に考えがある故。」

このように告げる大公だった―。
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