70 / 77
黎明期
第70話 実戦④
しおりを挟む
アルミラージが跳ねつつ、シャドードッグは走りながら、シェイディバットが飛んで、こちらに向かって来る。
すぐさま、
「大地に刻まれし根源よ、その権能を我に授くべし。」
「深淵より出でて、全てを貫け。」
「深き底から湧き上がれ。」
“魔術師のレオディン”と、
「寒冷よ、我が呼びかけに応じて集まれ。」
「今ここに不動の形を成し、仇なす者を討て。」
アシャーリーのところの“魔女さん”が、それぞれに詠唱を行なう。
レオディンは右斜め前の地面に直径4Mの、魔女さんは左斜め前の空中に直径2Mの、魔法陣を構築した。
こうして、
「バンプ・アース!!」
レオディンが、魔法陣の範囲内で、地を幾つかに隆起させる。
高さは1M~4Mといったところで“不揃いの剣山”みたいなイメージだ。
その【極級魔法】によって、数十の魔獣が弾かれるのと共に致命傷を負う。
一方、魔女さんは、
「アイス・クリスタル!」
最大直径1M×長さ2.5Mあたりで【歪な楕円形の氷】を100個ほど降り注がせた。
これらの【高級魔法】が当たったモンスター達は、体の半分くらいが凍り付く。
次の瞬間、おもいっきり割れて、流血しながら倒れる。
「では、参りましょうか。」
“ルシム大公”に声をかけられ、僕ら[接近戦メンバー]は改めて進んでいった……。
▽
1M大のアルミラージは、ツノから【雷】を一本だけ発する。
それが直撃すると、感電してしまう。
シャドードッグは、全身がブラック色のドーベルマンといった印象で、瞳は赤い。
なお、口から直径15㎝の【火の玉】を放つ。
ヒットした部分は、当然、燃える。
とは言え、どちらも、ほんの数秒の効果でしかない。
まぁ、ダメージはあるけど…。
予備知識として。
魔獣には[光属性]の【フラッシュ】を使ってもあまり意味がない。
目を眩ませるのは可能だけれども、耳や鼻が利くため、こちらの居場所や動きを悟られやすいからだ。
いずれにせよ。
僕と先生は、一心不乱に【神法】や[武器]を扱う。
後方で援護してくれているアシャーリーも必死のようだ。
ヴァイアは余裕みたいだった。
ちなみに、彼は、[槍]を用いている。
少し余談になるけども、“双子のエレブ兄妹さん”は竜に変じれば[ドラゴンブレス]というものを吐けるらしい。
双子さんより弱い存在であれば、それに焼かれると、あっという間に“消し炭”になってしまうそうだ。
ただし、今回は、ブレスを控えてもらう事になっていた。
速攻で魔物を全滅させてしまったなら、僕などの成長に繋がらないためだ。
あと、ヴァイアは「まだ私にはドラゴンブレスは無理だ」と話していた。
……、本題に戻ろう。
僕たちは、モンスター集団とのバトルを繰り広げている。
やはり、シェイディバットの【超音波】は厄介だ。
アルミラージとシャドードッグは素早いほうだった。
経験が浅い僕などは、苦戦を強いられる。
けれど、周りのサポートもあって、どうにか対応していく…。
▽
5分ぐらいが経っている。
僕らは勝利を収めた。
“細長眼鏡のマリー”が、
「“第三波”もありえるでしょうね。」
誰ともなく述べる。
〝ふむ〟と頷いた“トラヴォグ公爵”が、
「また様子を見たがいいやもな。」
こう判断したこともあって、再び退がる僕達だった……。
▽
それぞれに体力系や魔力系の[ポーション]を飲んで、およそ2分が過ぎている。
“獣人のユーン”が集中して[鉱石洞窟]に視線を送りつつ、
「もう大丈夫みたいです。」
「足音などが聞こえてきませんので。」
このように告げた。
それによって、
「では…、念の為に内部を確認しましょうか?」
大公に提案したのは、アシャーリーの父親である“ルムザさん”だ。
「うむ。」
「それが良かろう。」
意見を受け入れた大公が、
「だがその前に!」
「アヤツラの遺体を回収するとしよう。」
「何かしらの素材を得られるからなッ。」
「あとで魔物ごとギルドに渡して、金にする。」
〝フッ〟と笑みをこぼした。
これによって、大公と、ルムザさんに、執事さんや、アシャーリーの教育係たちが、手分けして各自の[アイテムボックス]にモンスターを収納してゆく。
他の顔ぶれは、大公に「ゆっくりしておいてくだされ」と勧められたので、休憩させてもらっている。
僕とアシャーリーに先生は〝げんなり〟していたので、非常に助かった―。
すぐさま、
「大地に刻まれし根源よ、その権能を我に授くべし。」
「深淵より出でて、全てを貫け。」
「深き底から湧き上がれ。」
“魔術師のレオディン”と、
「寒冷よ、我が呼びかけに応じて集まれ。」
「今ここに不動の形を成し、仇なす者を討て。」
アシャーリーのところの“魔女さん”が、それぞれに詠唱を行なう。
レオディンは右斜め前の地面に直径4Mの、魔女さんは左斜め前の空中に直径2Mの、魔法陣を構築した。
こうして、
「バンプ・アース!!」
レオディンが、魔法陣の範囲内で、地を幾つかに隆起させる。
高さは1M~4Mといったところで“不揃いの剣山”みたいなイメージだ。
その【極級魔法】によって、数十の魔獣が弾かれるのと共に致命傷を負う。
一方、魔女さんは、
「アイス・クリスタル!」
最大直径1M×長さ2.5Mあたりで【歪な楕円形の氷】を100個ほど降り注がせた。
これらの【高級魔法】が当たったモンスター達は、体の半分くらいが凍り付く。
次の瞬間、おもいっきり割れて、流血しながら倒れる。
「では、参りましょうか。」
“ルシム大公”に声をかけられ、僕ら[接近戦メンバー]は改めて進んでいった……。
▽
1M大のアルミラージは、ツノから【雷】を一本だけ発する。
それが直撃すると、感電してしまう。
シャドードッグは、全身がブラック色のドーベルマンといった印象で、瞳は赤い。
なお、口から直径15㎝の【火の玉】を放つ。
ヒットした部分は、当然、燃える。
とは言え、どちらも、ほんの数秒の効果でしかない。
まぁ、ダメージはあるけど…。
予備知識として。
魔獣には[光属性]の【フラッシュ】を使ってもあまり意味がない。
目を眩ませるのは可能だけれども、耳や鼻が利くため、こちらの居場所や動きを悟られやすいからだ。
いずれにせよ。
僕と先生は、一心不乱に【神法】や[武器]を扱う。
後方で援護してくれているアシャーリーも必死のようだ。
ヴァイアは余裕みたいだった。
ちなみに、彼は、[槍]を用いている。
少し余談になるけども、“双子のエレブ兄妹さん”は竜に変じれば[ドラゴンブレス]というものを吐けるらしい。
双子さんより弱い存在であれば、それに焼かれると、あっという間に“消し炭”になってしまうそうだ。
ただし、今回は、ブレスを控えてもらう事になっていた。
速攻で魔物を全滅させてしまったなら、僕などの成長に繋がらないためだ。
あと、ヴァイアは「まだ私にはドラゴンブレスは無理だ」と話していた。
……、本題に戻ろう。
僕たちは、モンスター集団とのバトルを繰り広げている。
やはり、シェイディバットの【超音波】は厄介だ。
アルミラージとシャドードッグは素早いほうだった。
経験が浅い僕などは、苦戦を強いられる。
けれど、周りのサポートもあって、どうにか対応していく…。
▽
5分ぐらいが経っている。
僕らは勝利を収めた。
“細長眼鏡のマリー”が、
「“第三波”もありえるでしょうね。」
誰ともなく述べる。
〝ふむ〟と頷いた“トラヴォグ公爵”が、
「また様子を見たがいいやもな。」
こう判断したこともあって、再び退がる僕達だった……。
▽
それぞれに体力系や魔力系の[ポーション]を飲んで、およそ2分が過ぎている。
“獣人のユーン”が集中して[鉱石洞窟]に視線を送りつつ、
「もう大丈夫みたいです。」
「足音などが聞こえてきませんので。」
このように告げた。
それによって、
「では…、念の為に内部を確認しましょうか?」
大公に提案したのは、アシャーリーの父親である“ルムザさん”だ。
「うむ。」
「それが良かろう。」
意見を受け入れた大公が、
「だがその前に!」
「アヤツラの遺体を回収するとしよう。」
「何かしらの素材を得られるからなッ。」
「あとで魔物ごとギルドに渡して、金にする。」
〝フッ〟と笑みをこぼした。
これによって、大公と、ルムザさんに、執事さんや、アシャーリーの教育係たちが、手分けして各自の[アイテムボックス]にモンスターを収納してゆく。
他の顔ぶれは、大公に「ゆっくりしておいてくだされ」と勧められたので、休憩させてもらっている。
僕とアシャーリーに先生は〝げんなり〟していたので、非常に助かった―。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる