各種族に転生した僕らの異世界ライフ

黎明期

第69話 実戦③

[鉱石洞窟]から“モンスター集団”が続々と飛び出してくる。

完全にパニックに陥っているみたいだ。

こうしたところで、“魔術師のレオディン”が、

「万物を畏怖させし霹靂へきれきよ。」
「空間を裂いて、荒ぶれ。」
「我に仇なす者に、汝なんじの存在を刻め。」

自身の正面に[直径1Mの魔法陣]を構築して、

「ライトニング・シェル！！」

直径20㎝といった【雷の砲弾】を、25コ発射する。

その【中級魔法】が直撃した先頭あたりの魔物たちが、感電して倒れた。

これらの後ろにいたモンスターらは、突然のことに驚いたようで、動きを止める。

抜剣ばっけんした“片目のベルーグ”が、

「連中が正気に戻る前に、行きましょう。」

“魔物の群れ”へと進みだす。

僕らとモンスター達の距離は、現在、50Mといったところだろう。


▽
僕たちが近づいた事で〝ハッ！〟と我に返った魔物らが、戦闘態勢に移る。

今までの授業で僕が得た知識によれば“ゴブリン／ビッグラット／シェイディバット”だ。

背丈1.2M前後の“ゴブリン”と、50㎝大×尻尾15㎝ぐらいのネズミである“ビッグラット”は、約25数ずつだった。

平均身長1Mのコウモリこと“シェイディバット”は、およそ50数いるみたいだ。

まだ【雷魔法】の影響で痺れて動けないものも含めての計算だけれど…。

ともあれ。

バトルが繰り広げられていく。

前線に足を運んだ僕とヴァイアに先生は、【神法しんぽう】を扱いながら、武器を振るう。

なお、先生は[小型で片刃のバトルアックス戦斧]を用いている。

祖父にあたる“トラヴォグ公爵”は[銀製の戦槌せんつい]だ。

なんでも[ウォーハンマー]というらしく、割と大きい。

“竜人双子さん”は、どちらも[剣]だった。

兄の“ドッシュさん”は[ツーハンデッドソード両手剣]で、妹の“ラッスさん”は[ロングソード長剣]だ。

……、一進一退となるなか、感電が解けたモンスター達が立ち上がる。

ゴブリンは、柄が木製の[石槍]を所持していた。

ビッグラットに噛まれると【毒】にやられてしまう。

シェイディバットが発する【超音波】は、眩暈めまいを引き起こす。

【光属性の神法】も備えている先生とヴァイアが、その都度、【解毒】や【状態異常の回復】を行なってくれていた。

更には、僕らの後方で、アシャーリーもまた施してくれる。

こうしたなか、[遠戦えんせんチーム]である“ハーフエルフのリィバ”が、

「清らかなる光群こうぐんよ。」
「此処ここに集いて、敵を打つべし。」
「ホーリー・ボール！！」

直径10㎝といった【光の玉】を、50コ放つ。

その【低級魔法】は、宙に浮いているコウモリグループを狙ったものだ。

悉ことごとくが命中し、ふらつくシェイディバットたちに、僕の側にいる“細長眼鏡のマリー”が左手を向け、

「彼処かしこに揺蕩たゆたう力よ。」
「我がもとに集まりて、敵を射いるべし。」
「ウィンド・アロー！」

【風の矢】を50コ飛ばした。

これによって、体や翼を負傷したコウモリ達が、落下する。

そうした流れで、[接近戦メンバー]が魔物らを殲滅してゆく…。


▽
息絶えたモンスターたちを眼前に、吐き気を催した僕と先生が、ほぼ同時に自分の口に手を当てた。

戦いが終わるなり〝命を奪った〟という生々しさの実感が湧いたからだ。

二人とも、どうにかリバースせずに済んだけど。

ちなみに、先生は、前世と同様に“左利きサウスポー”だった。

ま、おいといて……。

「一旦、後方部隊がいる所まで退さがりましょう。」
「“第二波”が来るかもしれませんから、体勢を整え直しておいたがよろしいかと。」

そのようにベルーグが提案する。

これによって、僕らは、アシャーリーなどのもとへ足を運ぶ。

見れば、彼女も顔色を悪くしていた。

幾度か[光属性の神法]に[矢]を敵にヒットさせていたからだろう…。


▽
ほどなくして、ベルーグの読み通り[鉱石洞窟]から新たに魔物が出てくる。

やはり正気を失っているみたいだ。

それらのモンスターは、だいたいだけれども“アルミラージ×50／シャドードッグ×50／シェイディバット×100”という数だった―。