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黎明期
第65話 シークレット②
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▽
俺は、ヴォル・リュウス。
“狼の獣人”だ。
タケハヤ島の南に位置する[港町スブキィ]で、飲食店を経営している。
名称は[チキュウビストロ・ルワーテ]だ。
アシャーリー様がたのおかげで、大繁盛している。
なお、七日に一度は店休だ。
さて…。
ここ最近、周辺で、カラアゲなどの模造品を提供する店舗が増えた。
味としては、うちの下位互換らしい。
噂によれば〝それなりに悪くはないが、決して良くもない〟との事だ。
ま、詳しい調理法を知らずに作っているので、仕方ないだろう。
なかには「料理を教えてほしい」と懇願してくる者らもいたが、全て断った。
ルシム大公殿下と、そういう契約を交わしているので。
この店の目的は、“ラルーシファ王子殿下”と“アシャーリーお嬢様”の計画を遂行することだ。
それは、お預かりしている銀板に刻まれている“ニホン語”を読める方々を、[大公殿下の館]に導くというものである。
なので、調理に関しては「大公殿下に罰せられる」と言えば、地元のヒトたちは諦めてくれた。
大公殿下の怒りを買いたくないため。
しかし、ヒトによるが、余所者は違うみたいだ。
ある日の事、何処かの国の“20代前半らしき貿易商人”が「金ならいくらでも積むから料理の方法を伝授してくれ!!」と頼んできた。
当然、拒んだものの、あまりにもしつこかったので、“出入り禁止”にした次第だ。
ちなみに、この日は、ハイドワーフの“丸メガネの少年”に、例の銀板を、俺が渡していた……。
三日後の夕刻。
店に“男子2人組”が訪れる。
そのうちの1人が、“馬の獣人”であるエウスに、「調理したヒトに会いたい」と述べたらしい。
〝ピン!〟ときたらしいエウスが、「キミ達、トシは幾つ??」と訊いたところ、両方とも13歳だったそうだ。
エウスが、誰に依頼されたのか問いただしたら、こないだの貿易商人だった。
おそらく、〝子供であれば別室に通してもらえる〟〝そこで料理についての説明がなされている〟と思い込んでしまったのだろう。
まったくもって、そんなことはないのだが。
あと、ニホン語を解るのは、“王子殿下”に“お嬢様”と同い年の子らだ。
つまり、〝現在は10才〟である。
事前に機転を利かしたエウスが、良い判断をした。
流れで、「駄賃を貰えるのかもしれないが、こういうのは二度としないように」「次は大公殿下にお報せする」「そうなれば、死刑、もしくは、島からの永久追放、となるだろう」とエウスが真顔で喋ったところ、男子たちは怯えて反省したようだ。
翌日の…、というか、今日の昼頃。
あの貿易商人が、男性4人を連れて、店内に〝ズカズカ〟と入ってきた。
冒険者らしき20代後半の男どもは、白人と黒人が半数ずつで、ガタイがいい。
先頭の貿易商人が、
「調理法を教えろ!!」
「さもなればコイツラに暴れさせるぞ!」
こう脅してきやがった。
その無礼さが頭にきた俺は、
「上等だ!!」
「表に出やがれ!」
このように怒鳴ったのである……。
路上には、俺とエウスに、“狸の獣人:ロコ”や“リスの獣人:ルディージャ”も佇んでいた。
そこから、4人組と闘っていく。
…………。
圧勝した。
しかも、“素手のみ”で。
舐めきっていたらしい貿易商人が、呆然としている。
この男に、更なる不運が起きた。
いや、まぁ、自業自得なのだが。
大公殿下と、アシャーリー様母子が、女性魔術士を伴って、ご来店なされていたのだ。
とかく。
見物人達を押しのけて、10名ほどの兵士が現れる。
外に足を運んでおられた大公殿下が、
「丁度いい。」
「儂は“ルシム=イズモ”である!!」
巡邏兵たちに告げられた。
急ぎ敬礼した兵士集団へと、
「コヤツラを牢に入れよ!」
「他にも仲間がおるやもしれん故、残らず探しだせ!!」
「それから、捕らえた連中の人相書きを手配するように!」
そう指示なされる。
ここから、
「お前らの入島を、生涯、固く禁じる!!」
「破ったときは、その場で首を刎ねるよう流布しておく故、肝に銘じよ!」
そのように宣言なさった。
これによって、
「そんな…。」
貿易商人が膝から崩れ落ちる。
兵士達が連行してゆくなか、
「恐れながら、よろしいでしょうか?」
俺は、大公殿下に話しかけた。
「ん??」
「どうした?」
耳を傾けられたところで、
「“北の港町ジィーモ”にも、ああいった輩どもがいるかもしれません。」
「あちらの店舗は、戦闘経験がない3人の女性が営んでいるとか。」
「であれば、このようなことに巻き込まれでもしたなら、対処できないでしょう。」
「そのため、警備の者を何人か付けてあげるべきかと。」
そう提案してみる。
「うむ。」
「確かにな。」
頷かれた大公殿下が、
「すぐにでもメリン領主に伝えおこう。」
このように約束してくださった―。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
[チキュウビストロ・ルワーテの店員たち]
“馬の獣人”
名前:エウス・フェーア
容姿:痩せ型/長身
髪型:ブラックのロング
“狸の獣人”
名前:ロコ・メーレス
容姿:小太り/中背
髪型:ブラウンのベリーショート
“栗鼠の獣人”
名前:ルディージャ・ラヘリ
容姿:標準体型/小柄
髪型:ライトブラウンのサラサラショート
俺は、ヴォル・リュウス。
“狼の獣人”だ。
タケハヤ島の南に位置する[港町スブキィ]で、飲食店を経営している。
名称は[チキュウビストロ・ルワーテ]だ。
アシャーリー様がたのおかげで、大繁盛している。
なお、七日に一度は店休だ。
さて…。
ここ最近、周辺で、カラアゲなどの模造品を提供する店舗が増えた。
味としては、うちの下位互換らしい。
噂によれば〝それなりに悪くはないが、決して良くもない〟との事だ。
ま、詳しい調理法を知らずに作っているので、仕方ないだろう。
なかには「料理を教えてほしい」と懇願してくる者らもいたが、全て断った。
ルシム大公殿下と、そういう契約を交わしているので。
この店の目的は、“ラルーシファ王子殿下”と“アシャーリーお嬢様”の計画を遂行することだ。
それは、お預かりしている銀板に刻まれている“ニホン語”を読める方々を、[大公殿下の館]に導くというものである。
なので、調理に関しては「大公殿下に罰せられる」と言えば、地元のヒトたちは諦めてくれた。
大公殿下の怒りを買いたくないため。
しかし、ヒトによるが、余所者は違うみたいだ。
ある日の事、何処かの国の“20代前半らしき貿易商人”が「金ならいくらでも積むから料理の方法を伝授してくれ!!」と頼んできた。
当然、拒んだものの、あまりにもしつこかったので、“出入り禁止”にした次第だ。
ちなみに、この日は、ハイドワーフの“丸メガネの少年”に、例の銀板を、俺が渡していた……。
三日後の夕刻。
店に“男子2人組”が訪れる。
そのうちの1人が、“馬の獣人”であるエウスに、「調理したヒトに会いたい」と述べたらしい。
〝ピン!〟ときたらしいエウスが、「キミ達、トシは幾つ??」と訊いたところ、両方とも13歳だったそうだ。
エウスが、誰に依頼されたのか問いただしたら、こないだの貿易商人だった。
おそらく、〝子供であれば別室に通してもらえる〟〝そこで料理についての説明がなされている〟と思い込んでしまったのだろう。
まったくもって、そんなことはないのだが。
あと、ニホン語を解るのは、“王子殿下”に“お嬢様”と同い年の子らだ。
つまり、〝現在は10才〟である。
事前に機転を利かしたエウスが、良い判断をした。
流れで、「駄賃を貰えるのかもしれないが、こういうのは二度としないように」「次は大公殿下にお報せする」「そうなれば、死刑、もしくは、島からの永久追放、となるだろう」とエウスが真顔で喋ったところ、男子たちは怯えて反省したようだ。
翌日の…、というか、今日の昼頃。
あの貿易商人が、男性4人を連れて、店内に〝ズカズカ〟と入ってきた。
冒険者らしき20代後半の男どもは、白人と黒人が半数ずつで、ガタイがいい。
先頭の貿易商人が、
「調理法を教えろ!!」
「さもなればコイツラに暴れさせるぞ!」
こう脅してきやがった。
その無礼さが頭にきた俺は、
「上等だ!!」
「表に出やがれ!」
このように怒鳴ったのである……。
路上には、俺とエウスに、“狸の獣人:ロコ”や“リスの獣人:ルディージャ”も佇んでいた。
そこから、4人組と闘っていく。
…………。
圧勝した。
しかも、“素手のみ”で。
舐めきっていたらしい貿易商人が、呆然としている。
この男に、更なる不運が起きた。
いや、まぁ、自業自得なのだが。
大公殿下と、アシャーリー様母子が、女性魔術士を伴って、ご来店なされていたのだ。
とかく。
見物人達を押しのけて、10名ほどの兵士が現れる。
外に足を運んでおられた大公殿下が、
「丁度いい。」
「儂は“ルシム=イズモ”である!!」
巡邏兵たちに告げられた。
急ぎ敬礼した兵士集団へと、
「コヤツラを牢に入れよ!」
「他にも仲間がおるやもしれん故、残らず探しだせ!!」
「それから、捕らえた連中の人相書きを手配するように!」
そう指示なされる。
ここから、
「お前らの入島を、生涯、固く禁じる!!」
「破ったときは、その場で首を刎ねるよう流布しておく故、肝に銘じよ!」
そのように宣言なさった。
これによって、
「そんな…。」
貿易商人が膝から崩れ落ちる。
兵士達が連行してゆくなか、
「恐れながら、よろしいでしょうか?」
俺は、大公殿下に話しかけた。
「ん??」
「どうした?」
耳を傾けられたところで、
「“北の港町ジィーモ”にも、ああいった輩どもがいるかもしれません。」
「あちらの店舗は、戦闘経験がない3人の女性が営んでいるとか。」
「であれば、このようなことに巻き込まれでもしたなら、対処できないでしょう。」
「そのため、警備の者を何人か付けてあげるべきかと。」
そう提案してみる。
「うむ。」
「確かにな。」
頷かれた大公殿下が、
「すぐにでもメリン領主に伝えおこう。」
このように約束してくださった―。
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[チキュウビストロ・ルワーテの店員たち]
“馬の獣人”
名前:エウス・フェーア
容姿:痩せ型/長身
髪型:ブラックのロング
“狸の獣人”
名前:ロコ・メーレス
容姿:小太り/中背
髪型:ブラウンのベリーショート
“栗鼠の獣人”
名前:ルディージャ・ラヘリ
容姿:標準体型/小柄
髪型:ライトブラウンのサラサラショート
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