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黎明期

第62話 各個の主観④

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僕は“フリント=ロデール”です。

ドワーフ族が形成する王国で、生まれ育ちました。

なお、僕の血筋は“ハイドワーフ”です。

そうした僕の住む国は、[サウスト大陸]の最西端に位置しています。

北東に“人間の国”が、この更に北東には“竜人の国”が、在るそうです。

サウスト大陸そのものは、[惑星ガーア]の南東になります。

……、さて。

僕は、これまで、祖父がおさを務める町で暮らしてきました。

そして、今から一ヶ月ほど前、10歳になったときに、かつての記憶が甦ったのです。

これによれば、僕は、“竹村良鉄たけむら・よしてつ”という名で、ある高校の教師でした。

享年は34歳です…。

あの落石の衝突が原因で亡くなってしまったり、生まれ変わったのは、僕だけでしょうか??

受け持っていたクラスの子達が心配でなりません。

気を病むようになって二週間くらいが過ぎた頃、僕の伯母さんの一人が、数名の職人と共に、帰ってきました。

そうして、語ったのです。

“チキュウビストロ・ルワーテ”に関することを……。

僕は驚きました。

しかし、喜びも込み上げてきたのです。

(これは間違いなく日本人が携わっている。)
(もしや、僕の生徒だったヒトでは?)

こう推測した結果、意を決して、その場に居た親族に、転生について話していきました。

誰もが、目を丸くしたり、耳を疑うなか、「お店に連れて行ってください」と頼んだ次第です。

これによって、先日 [チキュウビストロ]に訪れた伯母さんの【瞬間移動】で、[スブキィ]の北門あたりへと渡りました。

祖父母も一緒に…。

町に入ってからは、[馬車]で目的地に向かったのです。

伯母さんによれば「早くしないと行列ができて品切れになってしてしまう」との事で……。

カラアゲ/フライドポテト/アジのチーズパン粉焼き/アサリのバター焼き/プレーンオムレツ/ロール型のセミハードパン/冷製オニオンスープ。

そうしたものを口に運んでは、「ぬッはぁ―ッ!!」と感激する祖父です。

僕ではありません。

ま、僕も、懐かしい品々に嬉しくなっていますが。

「あらあら、まぁまぁ、どれも美味しいわねぇ~。」

幸せそうな祖母に、

「でっしょぉ~。」

〝ニコニコ〟する伯母さんです…。

全て食べ終えたところで、側にいた店員さんへ、

「すみません。」
「これらを作った方にお会いさせていただけませんか??」

こう尋ねてみたら、僕を〝じっ〟と見た“馬の獣人さん”が、

「もしかして。」

何かを察したらしく、

「どうぞ、こちらへ。」

[別室]に案内してくれました……。

暫くして現れた“店長さん”が、[銀のカード]を取り出します。

なんだか[名刺]みたいです。

それに刻まれていた文字に、

「“日之永君ひのとくん”と“嶋川しまかわさん”ですか!」

いささか興奮してしまったところ、

「やはり、読めましたか。」
「では、裏面もご覧ください。」

“狼の獣人さん”に勧められました。

こうして、彫られている地図をもとに、[大公の館]へと赴いたのです。

[港町スブキィ]の“服屋さん”で幾つかの着替えを買い求めてから…。

[タケハヤの中央都市]に辿り着くまで、ユニコーン車で半月ぐらい掛かりました。

道中、魔物に一度も遭遇しなかったので、とても良かったです。

余談になるかもしれませんが、中央都市の宿屋にて、“石鹸せっけん”と“灌水浴装置シャワー”で汚れを落としています。

そこら辺はおいといて……。

正面門でユニコーン車を降り、館の扉へと敷地内を歩いていたら、日之永君に再会できました。

「ちなみに、こちらは“城宮しろみやくん”ですよ。」

日之永君に紹介され、僕は改めてビックリしたのです。

他にも生まれ変わった人がいたのだ、と…。

[広間]にて。

数分が経ち、ある少女が入室してきました。

「嶋川さんです。」

このように日之永君に伝えられ、

「お久しぶりですね。」

声をかけたところ、

「本当に、先生、ですか?」

半信半疑で聞かれたので、「ええ」と頷いて肯定したのです……。

それぞれに状況を語り合い、いろいろなことが判明しました。

ここから、ルシム大公の発注を、僕の祖父が受けたのです。

〝報酬の一部を地球の料理にしてもらう〟といった条件で。

僕と祖母が気恥ずかしくなるなか、伯母さんは〝うしっ!!〟とガッツポーズしていました。

そうした流れで、

「フリントよ。」
「お前も実戦に参加してみたらどうだ??」
「儂などが補佐してやる故。」

祖父が提案してきます。

争い事が苦手な僕は、

「いや、その…。」

躊躇ちゅうちょしたものの、“元教え子たち”を放っておけなかったので、

「分かりました。」

良い意味で諦めたのです。

こうしたところ、

「そう言えば、お前の両親が亡くなり、引き取ってからというもの、職務が忙しくて、戦闘のすべを教えておらんかったな。」
「とりあえず、“能力開示”と唱えてみろ。」
「ラルーシファ王子がたによれば、お前にも“神法しんぽう”が備わっておるらしいからな。」

祖父に促されました。

そのようにやってみたら、脳内に詳しいことが浮かんできたのです。

これらを知らせたところ、

「うむッ。」
「では、今後、主だった者で交替しつつ、お前を鍛えていくとしよう!」

祖父に方針を固められてしまいました。

なんだか前途多難な予感がします。

僕は文系のため、そういうのはかなり厳しいと思われるからです。

……、ともあれ。

三人が元気そうで何よりでした―。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

現時点での[フリント=ロデール]

【神法】
・光/闇の属性を使用可能
  ※どちらも低級

【スキル】
 ・亜空間収納(アイテムボックス)
  ※小規模

【特殊スキル】
 ・お取り寄せ
  ※地球の書物を購入できる
   ただし漫画や卑猥なものは不可

【戦闘スキル】
・打撃術
 ※段階は[壱]

前世での名前は[竹村良鉄たけむら・よしてつ]
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