62 / 113
黎明期
第62話 各個の主観④
しおりを挟む
▽
僕は“フリント=ロデール”です。
ドワーフ族が形成する王国で、生まれ育ちました。
なお、僕の血筋は“ハイドワーフ”です。
そうした僕の住む国は、[サウスト大陸]の最西端に位置しています。
北東に“人間の国”が、この更に北東には“竜人の国”が、在るそうです。
サウスト大陸そのものは、[惑星ガーア]の南東になります。
……、さて。
僕は、これまで、祖父が長を務める町で暮らしてきました。
そして、今から一ヶ月ほど前、10歳になったときに、かつての記憶が甦ったのです。
これによれば、僕は、“竹村良鉄”という名で、ある高校の教師でした。
享年は34歳です…。
あの落石の衝突が原因で亡くなってしまったり、生まれ変わったのは、僕だけでしょうか??
受け持っていたクラスの子達が心配でなりません。
気を病むようになって二週間くらいが過ぎた頃、僕の伯母さんの一人が、数名の職人と共に、帰ってきました。
そうして、語ったのです。
“チキュウビストロ・ルワーテ”に関することを……。
僕は驚きました。
しかし、喜びも込み上げてきたのです。
(これは間違いなく日本人が携わっている。)
(もしや、僕の生徒だったヒトでは?)
こう推測した結果、意を決して、その場に居た親族に、転生について話していきました。
誰もが、目を丸くしたり、耳を疑うなか、「お店に連れて行ってください」と頼んだ次第です。
これによって、先日 [チキュウビストロ]に訪れた伯母さんの【瞬間移動】で、[スブキィ]の北門あたりへと渡りました。
祖父母も一緒に…。
町に入ってからは、[馬車]で目的地に向かったのです。
伯母さんによれば「早くしないと行列ができて品切れになってしてしまう」との事で……。
カラアゲ/フライドポテト/鯵のチーズパン粉焼き/アサリのバター焼き/プレーンオムレツ/ロール型のセミハードパン/冷製オニオンスープ。
そうしたものを口に運んでは、「ぬッはぁ―ッ!!」と感激する祖父です。
僕ではありません。
ま、僕も、懐かしい品々に嬉しくなっていますが。
「あらあら、まぁまぁ、どれも美味しいわねぇ~。」
幸せそうな祖母に、
「でっしょぉ~。」
〝ニコニコ〟する伯母さんです…。
全て食べ終えたところで、側にいた店員さんへ、
「すみません。」
「これらを作った方にお会いさせていただけませんか??」
こう尋ねてみたら、僕を〝じっ〟と見た“馬の獣人さん”が、
「もしかして。」
何かを察したらしく、
「どうぞ、こちらへ。」
[別室]に案内してくれました……。
暫くして現れた“店長さん”が、[銀のカード]を取り出します。
なんだか[名刺]みたいです。
それに刻まれていた文字に、
「“日之永君”と“嶋川さん”ですか!」
いささか興奮してしまったところ、
「やはり、読めましたか。」
「では、裏面もご覧ください。」
“狼の獣人さん”に勧められました。
こうして、彫られている地図をもとに、[大公の館]へと赴いたのです。
[港町スブキィ]の“服屋さん”で幾つかの着替えを買い求めてから…。
[タケハヤの中央都市]に辿り着くまで、ユニコーン車で半月ぐらい掛かりました。
道中、魔物に一度も遭遇しなかったので、とても良かったです。
余談になるかもしれませんが、中央都市の宿屋にて、“石鹸”と“灌水浴装置”で汚れを落としています。
そこら辺はおいといて……。
正面門でユニコーン車を降り、館の扉へと敷地内を歩いていたら、日之永君に再会できました。
「ちなみに、こちらは“城宮くん”ですよ。」
日之永君に紹介され、僕は改めてビックリしたのです。
他にも生まれ変わった人がいたのだ、と…。
[広間]にて。
数分が経ち、ある少女が入室してきました。
「嶋川さんです。」
このように日之永君に伝えられ、
「お久しぶりですね。」
声をかけたところ、
「本当に、先生、ですか?」
半信半疑で聞かれたので、「ええ」と頷いて肯定したのです……。
それぞれに状況を語り合い、いろいろなことが判明しました。
ここから、ルシム大公の発注を、僕の祖父が受けたのです。
〝報酬の一部を地球の料理にしてもらう〟といった条件で。
僕と祖母が気恥ずかしくなるなか、伯母さんは〝うしっ!!〟とガッツポーズしていました。
そうした流れで、
「フリントよ。」
「お前も実戦に参加してみたらどうだ??」
「儂などが補佐してやる故。」
祖父が提案してきます。
争い事が苦手な僕は、
「いや、その…。」
躊躇したものの、“元教え子たち”を放っておけなかったので、
「分かりました。」
良い意味で諦めたのです。
こうしたところ、
「そう言えば、お前の両親が亡くなり、引き取ってからというもの、職務が忙しくて、戦闘の術を教えておらんかったな。」
「とりあえず、“能力開示”と唱えてみろ。」
「ラルーシファ王子がたによれば、お前にも“神法”が備わっておるらしいからな。」
祖父に促されました。
そのようにやってみたら、脳内に詳しいことが浮かんできたのです。
これらを知らせたところ、
「うむッ。」
「では、今後、主だった者で交替しつつ、お前を鍛えていくとしよう!」
祖父に方針を固められてしまいました。
なんだか前途多難な予感がします。
僕は文系のため、そういうのはかなり厳しいと思われるからです。
……、ともあれ。
三人が元気そうで何よりでした―。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
現時点での[フリント=ロデール]
【神法】
・光/闇の属性を使用可能
※どちらも低級
【スキル】
・亜空間収納(アイテムボックス)
※小規模
【特殊スキル】
・お取り寄せ
※地球の書物を購入できる
ただし漫画や卑猥なものは不可
【戦闘スキル】
・打撃術
※段階は[壱]
前世での名前は[竹村良鉄]
僕は“フリント=ロデール”です。
ドワーフ族が形成する王国で、生まれ育ちました。
なお、僕の血筋は“ハイドワーフ”です。
そうした僕の住む国は、[サウスト大陸]の最西端に位置しています。
北東に“人間の国”が、この更に北東には“竜人の国”が、在るそうです。
サウスト大陸そのものは、[惑星ガーア]の南東になります。
……、さて。
僕は、これまで、祖父が長を務める町で暮らしてきました。
そして、今から一ヶ月ほど前、10歳になったときに、かつての記憶が甦ったのです。
これによれば、僕は、“竹村良鉄”という名で、ある高校の教師でした。
享年は34歳です…。
あの落石の衝突が原因で亡くなってしまったり、生まれ変わったのは、僕だけでしょうか??
受け持っていたクラスの子達が心配でなりません。
気を病むようになって二週間くらいが過ぎた頃、僕の伯母さんの一人が、数名の職人と共に、帰ってきました。
そうして、語ったのです。
“チキュウビストロ・ルワーテ”に関することを……。
僕は驚きました。
しかし、喜びも込み上げてきたのです。
(これは間違いなく日本人が携わっている。)
(もしや、僕の生徒だったヒトでは?)
こう推測した結果、意を決して、その場に居た親族に、転生について話していきました。
誰もが、目を丸くしたり、耳を疑うなか、「お店に連れて行ってください」と頼んだ次第です。
これによって、先日 [チキュウビストロ]に訪れた伯母さんの【瞬間移動】で、[スブキィ]の北門あたりへと渡りました。
祖父母も一緒に…。
町に入ってからは、[馬車]で目的地に向かったのです。
伯母さんによれば「早くしないと行列ができて品切れになってしてしまう」との事で……。
カラアゲ/フライドポテト/鯵のチーズパン粉焼き/アサリのバター焼き/プレーンオムレツ/ロール型のセミハードパン/冷製オニオンスープ。
そうしたものを口に運んでは、「ぬッはぁ―ッ!!」と感激する祖父です。
僕ではありません。
ま、僕も、懐かしい品々に嬉しくなっていますが。
「あらあら、まぁまぁ、どれも美味しいわねぇ~。」
幸せそうな祖母に、
「でっしょぉ~。」
〝ニコニコ〟する伯母さんです…。
全て食べ終えたところで、側にいた店員さんへ、
「すみません。」
「これらを作った方にお会いさせていただけませんか??」
こう尋ねてみたら、僕を〝じっ〟と見た“馬の獣人さん”が、
「もしかして。」
何かを察したらしく、
「どうぞ、こちらへ。」
[別室]に案内してくれました……。
暫くして現れた“店長さん”が、[銀のカード]を取り出します。
なんだか[名刺]みたいです。
それに刻まれていた文字に、
「“日之永君”と“嶋川さん”ですか!」
いささか興奮してしまったところ、
「やはり、読めましたか。」
「では、裏面もご覧ください。」
“狼の獣人さん”に勧められました。
こうして、彫られている地図をもとに、[大公の館]へと赴いたのです。
[港町スブキィ]の“服屋さん”で幾つかの着替えを買い求めてから…。
[タケハヤの中央都市]に辿り着くまで、ユニコーン車で半月ぐらい掛かりました。
道中、魔物に一度も遭遇しなかったので、とても良かったです。
余談になるかもしれませんが、中央都市の宿屋にて、“石鹸”と“灌水浴装置”で汚れを落としています。
そこら辺はおいといて……。
正面門でユニコーン車を降り、館の扉へと敷地内を歩いていたら、日之永君に再会できました。
「ちなみに、こちらは“城宮くん”ですよ。」
日之永君に紹介され、僕は改めてビックリしたのです。
他にも生まれ変わった人がいたのだ、と…。
[広間]にて。
数分が経ち、ある少女が入室してきました。
「嶋川さんです。」
このように日之永君に伝えられ、
「お久しぶりですね。」
声をかけたところ、
「本当に、先生、ですか?」
半信半疑で聞かれたので、「ええ」と頷いて肯定したのです……。
それぞれに状況を語り合い、いろいろなことが判明しました。
ここから、ルシム大公の発注を、僕の祖父が受けたのです。
〝報酬の一部を地球の料理にしてもらう〟といった条件で。
僕と祖母が気恥ずかしくなるなか、伯母さんは〝うしっ!!〟とガッツポーズしていました。
そうした流れで、
「フリントよ。」
「お前も実戦に参加してみたらどうだ??」
「儂などが補佐してやる故。」
祖父が提案してきます。
争い事が苦手な僕は、
「いや、その…。」
躊躇したものの、“元教え子たち”を放っておけなかったので、
「分かりました。」
良い意味で諦めたのです。
こうしたところ、
「そう言えば、お前の両親が亡くなり、引き取ってからというもの、職務が忙しくて、戦闘の術を教えておらんかったな。」
「とりあえず、“能力開示”と唱えてみろ。」
「ラルーシファ王子がたによれば、お前にも“神法”が備わっておるらしいからな。」
祖父に促されました。
そのようにやってみたら、脳内に詳しいことが浮かんできたのです。
これらを知らせたところ、
「うむッ。」
「では、今後、主だった者で交替しつつ、お前を鍛えていくとしよう!」
祖父に方針を固められてしまいました。
なんだか前途多難な予感がします。
僕は文系のため、そういうのはかなり厳しいと思われるからです。
……、ともあれ。
三人が元気そうで何よりでした―。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
現時点での[フリント=ロデール]
【神法】
・光/闇の属性を使用可能
※どちらも低級
【スキル】
・亜空間収納(アイテムボックス)
※小規模
【特殊スキル】
・お取り寄せ
※地球の書物を購入できる
ただし漫画や卑猥なものは不可
【戦闘スキル】
・打撃術
※段階は[壱]
前世での名前は[竹村良鉄]
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始


転生してモンスター診療所を始めました。
十本スイ
ファンタジー
日本で普通の高校生として日常を送っていた三月倫斗だったが、ある日、車に引かれそうになっていた子犬を助けたことで命を落としてしまう。
気づけばそこは地球ではない異世界――【エテルナ】。
モンスターや魔術などが普通に存在するファンタジーな世界だった。
倫斗は転生してリント・ミツキとして第二の人生を歩むことに。しかし転生してすぐに親に捨てられてしまい、早くもバッドエンディングを迎えてしまいそうになる。
そこへ現れたのは銀の羽毛に覆われた巨大な鳥。
名を――キンカ。彼女にリントは育てられることになるのだ。
そうして時が経ち、リントは人よりもモンスターを愛するようになり、彼らのために何かできないかと考え、世界でも数少ないモンスター専門の医者である〝モンスター医〟になる。
人とのしがらみを嫌い、街ではなく小高い丘に診療所を用意し腕を揮っていた。傍には助手のニュウという獣人を置き、二人で閑古鳥が鳴く診療所を切り盛りする。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

ペット(老猫)と異世界転生
童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる