57 / 80
黎明期
第57話 展望③
しおりを挟む
“ヴァイア三世代”が帰ってから、一週間以上が経っている。
この日の朝に、[館の一階エントランス]へ【テレポート】してきた人たちがいるそうだ。
以前、ルシム大公が[ケンタウロス便]で手紙を送った相手らしい……。
▽
僕らは、“大公家族”と一緒に、[客間]に足を運んだ。
すると、“60歳ぐらいの貴婦人”が、ソファに腰かけて、紅茶を嗜んでいた。
その後ろには、40代前半あたりの魔術士と、30代半ばといったところの給仕が、控えている。
ちなみに、どちらも女性だ。
さておき…。
大きめの“お団子ヘア”に、ドレス姿の、貴婦人が、〝スッ〟と立ち上がった。
髪は白金であり、瞳は青く、痩せ型で、凛としている。
こうした特徴の貴婦人が、
「お久しぶりです、ルシム殿下がた。」
大公家族に会釈した。
そこから、
「まぁ、大きくなられましたわねぇ、アシャーリー御令嬢。」
穏やかな表情になった流れで、僕を見つつ、
「そちらは、アシャーリー御令嬢の友人の方ですか??」
軽く首を傾げる。
「いや。」
「ダイワの第二王子、ラルーシファ殿下であらせられる。」
このように大公が紹介したところ、
「はい?」
「ご冗談ではなく??」
貴婦人が怪しんだ。
けれども、大公が真面目な感じで〝うむ〟と頷いた事によって、ほんの少しの間を置き、
「御無礼いたしましたぁあッ!!」
かなりの勢いで、頭を深々と下げる貴婦人だった。
更には、お連れの二人も、慌てた様子で、お辞儀する。
それらに対し、
「あー、うん。」
「ラクにせよ。」
こう告げる僕だった……。
▽
主だった者だけがソファに座り、話しを進めている。
なお、貴婦人は、“メリン・ハースト”という名前なのだそうだ。
大公にとって“曾祖父の妹の子孫”にあたるらしく、[北の領主]を努めているらしい。
そのため、〝港町ジィーモも管轄している〟とのことだった…。
「成程、事情は承知いたしました。」
「私の命に替えましても、王子殿下のことは、他言いたしませんし、させません。」
こう約束したメリン領主が、
「それで?」
「チキュウの料理というのは、どのようなものなのでしょうか??」
「スブキィで大盛況しているとはゆえ、私が治めさせていただいている港町で事業展開するには、具体的なことが分からなければ決断いたしかねます。」
大公に述べる。
「ま、もっともだな。」
理解を示した大公が、
「頼まれてくれるか?」
アシャーリーを窺う。
「ええ、構いませんよ。」
起立して、スカートの両端を抓み、
「それでは、早速、厨房に向かいますので、一旦、失礼します。」
挨拶したアシャーリーが、
「お母様も。」
ふと声をかけた。
それによって、一礼した“アシャーリーの母親”もまた、退室していく……。
▽
お昼となり、[食堂]に移動している。
アシャーリー達が調理した品々を口にして、
「な…んですか??! これはぁ――ッ!!?」
メリン領主が驚くのと共に瞳を輝かせた。
他の二人も〝んッふぅ―☆〟と幸せそうにしている。
これらの反応を受け、
「そうであろう、 そうであろう。」
ニコニコご満悦な大公だった…。
▽
食事が済んだところで、
「確かに、これらの料理であれば、行列ができるくらい成功して至極当然というものでしょう。」
納得したメリン領主が、
「これより、ジィーモで、お店などの候補を探します。」
「数日お待ちいただいても??」
そう尋ねてくる。
これに、
「無論だ。」
「慎重に熟慮してくれ。」
そのように大公が返す。
余談になるかもしれないけど、メリン領主は〝北の港町では生活していない〟とのことだった。
しかし、〝あちらに別宅がある〟そうだ。
このため、いつも暮らしている館に戻って準備を整え次第、[ジィーモ]に渡ってくれるらしい。
そうした経緯で、[北の港町]にも店舗を構える事になる僕らだった―。
この日の朝に、[館の一階エントランス]へ【テレポート】してきた人たちがいるそうだ。
以前、ルシム大公が[ケンタウロス便]で手紙を送った相手らしい……。
▽
僕らは、“大公家族”と一緒に、[客間]に足を運んだ。
すると、“60歳ぐらいの貴婦人”が、ソファに腰かけて、紅茶を嗜んでいた。
その後ろには、40代前半あたりの魔術士と、30代半ばといったところの給仕が、控えている。
ちなみに、どちらも女性だ。
さておき…。
大きめの“お団子ヘア”に、ドレス姿の、貴婦人が、〝スッ〟と立ち上がった。
髪は白金であり、瞳は青く、痩せ型で、凛としている。
こうした特徴の貴婦人が、
「お久しぶりです、ルシム殿下がた。」
大公家族に会釈した。
そこから、
「まぁ、大きくなられましたわねぇ、アシャーリー御令嬢。」
穏やかな表情になった流れで、僕を見つつ、
「そちらは、アシャーリー御令嬢の友人の方ですか??」
軽く首を傾げる。
「いや。」
「ダイワの第二王子、ラルーシファ殿下であらせられる。」
このように大公が紹介したところ、
「はい?」
「ご冗談ではなく??」
貴婦人が怪しんだ。
けれども、大公が真面目な感じで〝うむ〟と頷いた事によって、ほんの少しの間を置き、
「御無礼いたしましたぁあッ!!」
かなりの勢いで、頭を深々と下げる貴婦人だった。
更には、お連れの二人も、慌てた様子で、お辞儀する。
それらに対し、
「あー、うん。」
「ラクにせよ。」
こう告げる僕だった……。
▽
主だった者だけがソファに座り、話しを進めている。
なお、貴婦人は、“メリン・ハースト”という名前なのだそうだ。
大公にとって“曾祖父の妹の子孫”にあたるらしく、[北の領主]を努めているらしい。
そのため、〝港町ジィーモも管轄している〟とのことだった…。
「成程、事情は承知いたしました。」
「私の命に替えましても、王子殿下のことは、他言いたしませんし、させません。」
こう約束したメリン領主が、
「それで?」
「チキュウの料理というのは、どのようなものなのでしょうか??」
「スブキィで大盛況しているとはゆえ、私が治めさせていただいている港町で事業展開するには、具体的なことが分からなければ決断いたしかねます。」
大公に述べる。
「ま、もっともだな。」
理解を示した大公が、
「頼まれてくれるか?」
アシャーリーを窺う。
「ええ、構いませんよ。」
起立して、スカートの両端を抓み、
「それでは、早速、厨房に向かいますので、一旦、失礼します。」
挨拶したアシャーリーが、
「お母様も。」
ふと声をかけた。
それによって、一礼した“アシャーリーの母親”もまた、退室していく……。
▽
お昼となり、[食堂]に移動している。
アシャーリー達が調理した品々を口にして、
「な…んですか??! これはぁ――ッ!!?」
メリン領主が驚くのと共に瞳を輝かせた。
他の二人も〝んッふぅ―☆〟と幸せそうにしている。
これらの反応を受け、
「そうであろう、 そうであろう。」
ニコニコご満悦な大公だった…。
▽
食事が済んだところで、
「確かに、これらの料理であれば、行列ができるくらい成功して至極当然というものでしょう。」
納得したメリン領主が、
「これより、ジィーモで、お店などの候補を探します。」
「数日お待ちいただいても??」
そう尋ねてくる。
これに、
「無論だ。」
「慎重に熟慮してくれ。」
そのように大公が返す。
余談になるかもしれないけど、メリン領主は〝北の港町では生活していない〟とのことだった。
しかし、〝あちらに別宅がある〟そうだ。
このため、いつも暮らしている館に戻って準備を整え次第、[ジィーモ]に渡ってくれるらしい。
そうした経緯で、[北の港町]にも店舗を構える事になる僕らだった―。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
見よう見まねで生産チート
立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します)
ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。
神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。
もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ
楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。
※基本的に主人公視点で進んでいきます。
※趣味作品ですので不定期投稿となります。
コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。
異世界に行けるようになったんだが自宅に令嬢を持ち帰ってしまった件
シュミ
ファンタジー
高二である天音 旬はある日、女神によって異世界と現実世界を行き来できるようになった。
旬が異世界から現実世界に帰る直前に転びそうな少女を助けた結果、旬の自宅にその少女を持ち帰ってしまった。その少女はリーシャ・ミリセントと名乗り、王子に婚約破棄されたと話し───!?
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる