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黎明期
第17話 初めての島にて・承
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ダイワ王都もそうだけど、“タケハヤの都市”も四方に[大通り]がある。
王都の場合は“中央”にお城が建っていて、こちらの都は[広場]になっているとのことだった。
なお、“東西南北の門”から[中央広場]までは、徒歩だと早くて二日半くらいだそうだ。
それは、馬車であれば一日といったところで、ユニコーン車だと半日ほどの距離らしい。
ちなみに、“通りの真ん中”は[馬車]と[ユニコーン車]が行き交っている。
両脇を人間や獣人が往来していた。
この他には、数こそ少ないものの、ドワーフにエルフが見受けられる。
そうした光景のなか、僕らは、途中で“大食堂”に寄ったり小休止を挟んだりしながら、[島長の館]へと向かっていた。
なんでも、〝館は都市の北東地区にある〟との事だ。
島長自身は、初代ラダーム様の次男の子孫らしい。
ラダーム様が[ダイワ]を建国なさり王位に就いた際、〝ジャルクの家督は弟に譲る〟と宣言したそうだ。
更に、この次男に[大公]の位を授けた。
それによって、弟君の血筋で“島長”になる人は、代々に亘って[大公]を継承している。
このため、“タケハヤ島”は[ダイワの大公国]とも呼ばれているとのことだった。
▽
PM17:30頃。
一同は[宿屋]に赴いている。
補足になるけれど、この世界にはアナログの“柱時計”や“懐中時計”が存在していて、地球と同じ[十二進法]だった。
さて…。
「大部屋を二つ頼みたいのだが、空いておるかね??」
レオディンが[受付]で尋ねる。
「生憎、本日は埋まっております。」
「一人部屋と二人部屋であれば、割と余裕がございますが、如何いたしましょう?」
そのように返したのは、40代前半らしき“豊満な女性”だった。
困ったレオディンが、後ろに待機している僕らを、〝うぅ~む??〟と窺う。
「二人部屋を5つ利用するのがいいかもね。」
「最も避けるべきは一人になる状況を作ってしまう事だろうから。」
リィバの主張に、
「ふむ。」
「そうですな。」
納得したレオディンが、
「では、そのように手配してくれ。」
“受付の女性”に改めて声をかける。
「はい、かしこまりました。」
女性が会釈したタイミングで、ユニコーン車を運転していた三人の御者が訪れた。
この宿屋の裏には[馬房]が設けられているそうで、ユニコーン達を入れてきたようだ。
そんな彼らは、各自で“一人部屋”に泊まるらしい。
余談になるかもしれないけど、ユニコーンは[戦闘スキル]を有しており、角から【雷】を放てるそうだ。
いずれにせよ。
鍵を受け取り、僕と“教育係”に“お世話係”が階段を上っていく……。
廊下で、周りに誰も居ないことを確認して、割り振りを相談する。
これによって、“僕とベルーグ”“レオディンとリィバ”“マリーとユーン”に、お世話係は〝二人ずつ〟となった。
▽
懸念していた襲撃は無く、翌日を迎えている。
AM08:00となり、僕たちは再出発した。
またもや、昼食を摂ったり、ちょっと休憩したりして、ユニコーン車は[中央広場]を通過して行く。
そうして、PM14:00前に、僕らは[館]に到った。
なんか…、印象としては〝中くらいのお城〟といった感じだ。
規模は[ダイワ王城]の半分あたりだと思う。
ユニコーン車が“正面の庭”に停まろうとするなか、ワイシャツ姿の僕を、
「ラルーシファ王子。」
「例のベストを着用してください。」
マリーが促す。
「うん。」
「分かった。」
彼女に応じて、[アイテムボックス]を出現させる僕だった…。
▽
“御者の代表”に、レオディンが運賃を支払ったようだ。
彼らが去っていくなか、“木製の扉”に付属している[鉄のドアノッカー]をレオディンが叩く。
数十秒が経ち、扉を開けて外に出て来たのは、50代半ばの“紳士”だった。
“七三分けの髪”と“鼻髭”に“タキシード”は黒い。
彼の背後に続いていたのは、メイド服姿の二人だ。
おそらく、この館の[執事]と[侍女]だろう。
そのように僕が考えていたところ、
「失礼ですが、どちら様がたでしょうか??」
紳士が質問してきた。
「我々は、“ライザー=イズモ王陛下”の指示にて参った一団である。」
「大公殿下に取り次いでいただきたい。」
こう告げたレオディンに、紳士が〝はぁ?〟と眉をひそめる。
どうやら疑っているみたいだ。
それを察してか、
「こちらの御方は“ダイワの第二王子殿下”であらせられる!」
レオディンが毅然とする。
僕を〝じぃ―ッ〟と見た紳士は、ベストの左胸元に金糸で刺繍されている[王家の紋章]に気づいたらしく、
「これは、とんだ無礼を!!」
「平に御容赦くださいませ!」
深々と頭を下げた。
一瞬だけ〝キョトン〟とした侍女達も、すぐに、お辞儀する。
「いえ、気にしてませんから、いいですよ、別に。」
こう僕が伝えたら、
「ありがとうございます。」
「それでは、私どもの主のもとへ御案内させていただきますので、どうぞ、中へ。」
そのように述べる紳士だった―。
王都の場合は“中央”にお城が建っていて、こちらの都は[広場]になっているとのことだった。
なお、“東西南北の門”から[中央広場]までは、徒歩だと早くて二日半くらいだそうだ。
それは、馬車であれば一日といったところで、ユニコーン車だと半日ほどの距離らしい。
ちなみに、“通りの真ん中”は[馬車]と[ユニコーン車]が行き交っている。
両脇を人間や獣人が往来していた。
この他には、数こそ少ないものの、ドワーフにエルフが見受けられる。
そうした光景のなか、僕らは、途中で“大食堂”に寄ったり小休止を挟んだりしながら、[島長の館]へと向かっていた。
なんでも、〝館は都市の北東地区にある〟との事だ。
島長自身は、初代ラダーム様の次男の子孫らしい。
ラダーム様が[ダイワ]を建国なさり王位に就いた際、〝ジャルクの家督は弟に譲る〟と宣言したそうだ。
更に、この次男に[大公]の位を授けた。
それによって、弟君の血筋で“島長”になる人は、代々に亘って[大公]を継承している。
このため、“タケハヤ島”は[ダイワの大公国]とも呼ばれているとのことだった。
▽
PM17:30頃。
一同は[宿屋]に赴いている。
補足になるけれど、この世界にはアナログの“柱時計”や“懐中時計”が存在していて、地球と同じ[十二進法]だった。
さて…。
「大部屋を二つ頼みたいのだが、空いておるかね??」
レオディンが[受付]で尋ねる。
「生憎、本日は埋まっております。」
「一人部屋と二人部屋であれば、割と余裕がございますが、如何いたしましょう?」
そのように返したのは、40代前半らしき“豊満な女性”だった。
困ったレオディンが、後ろに待機している僕らを、〝うぅ~む??〟と窺う。
「二人部屋を5つ利用するのがいいかもね。」
「最も避けるべきは一人になる状況を作ってしまう事だろうから。」
リィバの主張に、
「ふむ。」
「そうですな。」
納得したレオディンが、
「では、そのように手配してくれ。」
“受付の女性”に改めて声をかける。
「はい、かしこまりました。」
女性が会釈したタイミングで、ユニコーン車を運転していた三人の御者が訪れた。
この宿屋の裏には[馬房]が設けられているそうで、ユニコーン達を入れてきたようだ。
そんな彼らは、各自で“一人部屋”に泊まるらしい。
余談になるかもしれないけど、ユニコーンは[戦闘スキル]を有しており、角から【雷】を放てるそうだ。
いずれにせよ。
鍵を受け取り、僕と“教育係”に“お世話係”が階段を上っていく……。
廊下で、周りに誰も居ないことを確認して、割り振りを相談する。
これによって、“僕とベルーグ”“レオディンとリィバ”“マリーとユーン”に、お世話係は〝二人ずつ〟となった。
▽
懸念していた襲撃は無く、翌日を迎えている。
AM08:00となり、僕たちは再出発した。
またもや、昼食を摂ったり、ちょっと休憩したりして、ユニコーン車は[中央広場]を通過して行く。
そうして、PM14:00前に、僕らは[館]に到った。
なんか…、印象としては〝中くらいのお城〟といった感じだ。
規模は[ダイワ王城]の半分あたりだと思う。
ユニコーン車が“正面の庭”に停まろうとするなか、ワイシャツ姿の僕を、
「ラルーシファ王子。」
「例のベストを着用してください。」
マリーが促す。
「うん。」
「分かった。」
彼女に応じて、[アイテムボックス]を出現させる僕だった…。
▽
“御者の代表”に、レオディンが運賃を支払ったようだ。
彼らが去っていくなか、“木製の扉”に付属している[鉄のドアノッカー]をレオディンが叩く。
数十秒が経ち、扉を開けて外に出て来たのは、50代半ばの“紳士”だった。
“七三分けの髪”と“鼻髭”に“タキシード”は黒い。
彼の背後に続いていたのは、メイド服姿の二人だ。
おそらく、この館の[執事]と[侍女]だろう。
そのように僕が考えていたところ、
「失礼ですが、どちら様がたでしょうか??」
紳士が質問してきた。
「我々は、“ライザー=イズモ王陛下”の指示にて参った一団である。」
「大公殿下に取り次いでいただきたい。」
こう告げたレオディンに、紳士が〝はぁ?〟と眉をひそめる。
どうやら疑っているみたいだ。
それを察してか、
「こちらの御方は“ダイワの第二王子殿下”であらせられる!」
レオディンが毅然とする。
僕を〝じぃ―ッ〟と見た紳士は、ベストの左胸元に金糸で刺繍されている[王家の紋章]に気づいたらしく、
「これは、とんだ無礼を!!」
「平に御容赦くださいませ!」
深々と頭を下げた。
一瞬だけ〝キョトン〟とした侍女達も、すぐに、お辞儀する。
「いえ、気にしてませんから、いいですよ、別に。」
こう僕が伝えたら、
「ありがとうございます。」
「それでは、私どもの主のもとへ御案内させていただきますので、どうぞ、中へ。」
そのように述べる紳士だった―。
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