16 / 77
黎明期
第16話 初めての島にて・起
しおりを挟む
父上と母上がそれなりに離れたところで、
「では、参ります。」
レオディンが告げた。
[魔法の杖]を逆さにして“クリスタル”を床に向けたレオディンが、
「時空よ、我らに狭間の境界を越えさせ、彼方へと導け。」
こう唱えたら、僕たちの足元に直径5Mあたりの魔法陣が構築される。
そして、
「瞬間移動。」
レオディンが発するなり、視界が変わった。
僕らは草原に【テレポート】したようだ。
天気は晴れで、空が青い。
左側に割と広めな[土の道]が、この先の方には[高めの壁]が、存在している。
「あれに並びましょう。」
レオディンに促されて、道へと歩きだす僕らだった……。
▽
[壁]は、“中央都市”を囲んでいる物だ。
そこの[門]では出入りする人などを兵士らが調べている。
列の最後尾にて、
「なぜ“町の中”に瞬間移動しなかったのですか??」
「野外では魔物や賊などに襲われる危険性があるのでは?」
“獣人のユ―ン”が疑問を投げかけところ、
「世界的な規約があるからじゃよ。」
「さっき儂が用いたのは“低級”でな…。」
「“極級”ともなれば一度に1万を運べる。」
「もし他国がそれを使って、都や町であったり、城などの敷地内に、侵略目的で兵隊を送ってきたなら、どうなるかのう?」
逆にレオディンが訊ねた。
〝あ!〟と察したユーンが、
「いきなり現れたならば対応しきれませんね。」
このように理解を示す。
そうした意見に、
「うむ。」
「その通りじゃ。」
「また、そこまで大掛かりでなく少数精鋭であったとしても瞬間移動で忍び込まれてしまった場合、要人の暗殺が容易くなろう。」
「故に、世界規模で“野外”での使用しか認められておらんのじゃよ。」
「これを破ろうものなら、いろんな国々が制裁に乗り出してくる。」
「結果、“連合軍”によって滅ばされるのがオチでしかない。」
「なので〝どの国も規約を守っておる〟という訳じゃ。」
「〝今のところは〟のぅ。」
レオディンが詳しく説明してあげる。
ユーン達“お世話係”が納得したタイミングで、
「次、俺たちの順番だな。」
“片目のベルーグ”が呟いた。
▽
開かれている“南門”の右側で、一人につき銀貨1枚の通行料を支払った僕らは、都市内に入り、[石畳の大通り]を進んでいる。
かつて“細長眼鏡のマリー”が歴史の授業で〝都や町によって料金が異なる為どの国も一律ではありません〟と教えてくれたのを思い出す。
ちなみに〝冒険者や商工人は専属のギルドカードを呈示すれば世界中で無料となります〟とも言っていた。
「ねぇ、なんで、ラルーシファ王子のことを門番に知らせなかったの??」
「王族であればタダで入れたのに。」
「あと、その従者らも。」
「……、もしかして、王陛下から事前に何か命じられた?」
“ハーフエルフのリィバ”の質問に、
「ええ。」
「〝最終目的地に到着するまでは秘密裏にせよ〟〝そなた達がタケハヤ島に渡ったことが黒幕に漏洩してしまったならばすぐさま手を打ってくるであろうからな〟〝町中で襲撃されたなら全力では戦えんだろう〟〝住民などが巻き添えになるを危惧して〟との仰せでした。」
こうレオディンが答える。
それに対して、
「あぁー、成程ぉ。」
と頷くリィバだった。
▽
およそ10分後――。
僕らは[商工ギルド]に訪れている。
この[窓口]にて、銅貨三枚といった“中央都市の地図”を、レオディンが買った。
それを広げたレオディンが、
「ここから最も近い“馬車屋”と、停車場が設けられておる“食堂”に“宿屋”を、印してくれ。」
[受付]の女性に頼んだ。
「はい、かしこまりました。」
軽めに会釈した流れで、[羽ペン]を手に取った彼女は、“リスの獣人”だった…。
▽
ギルドから徒歩で約5分の所に在る[馬車屋]に、僕たちは赴いている。
ここまで来る途中に〝タケハヤ島の中央都市は40年ぶりですので少なからず街並みが変わっておりどこに何が建っているのか儂にも分からない点があります〟とレオディンが述べていた。
なにはともあれ。
三台の[ユニコーン車]を発注したようだ。
運賃は“一台につき1時間で銀貨五枚”となっており〝平均的な価格〟らしい。
いわゆる“必要経費”に関しては、レオディンによれば〝陛下より多めに戴いておりますのでご安心を〟との事だった。
▽
2分ほどが経ち、準備が整ったみたいだ。
先頭に“レオディン”と“リィバ”が乗り込む。
二列目は“僕/ベルーグ/マリー/ユーン”となっている。
最後尾は“お世話係”の残る4人だ。
そんなこんなで、[島長の館]へと向かう僕らだった―。
「では、参ります。」
レオディンが告げた。
[魔法の杖]を逆さにして“クリスタル”を床に向けたレオディンが、
「時空よ、我らに狭間の境界を越えさせ、彼方へと導け。」
こう唱えたら、僕たちの足元に直径5Mあたりの魔法陣が構築される。
そして、
「瞬間移動。」
レオディンが発するなり、視界が変わった。
僕らは草原に【テレポート】したようだ。
天気は晴れで、空が青い。
左側に割と広めな[土の道]が、この先の方には[高めの壁]が、存在している。
「あれに並びましょう。」
レオディンに促されて、道へと歩きだす僕らだった……。
▽
[壁]は、“中央都市”を囲んでいる物だ。
そこの[門]では出入りする人などを兵士らが調べている。
列の最後尾にて、
「なぜ“町の中”に瞬間移動しなかったのですか??」
「野外では魔物や賊などに襲われる危険性があるのでは?」
“獣人のユ―ン”が疑問を投げかけところ、
「世界的な規約があるからじゃよ。」
「さっき儂が用いたのは“低級”でな…。」
「“極級”ともなれば一度に1万を運べる。」
「もし他国がそれを使って、都や町であったり、城などの敷地内に、侵略目的で兵隊を送ってきたなら、どうなるかのう?」
逆にレオディンが訊ねた。
〝あ!〟と察したユーンが、
「いきなり現れたならば対応しきれませんね。」
このように理解を示す。
そうした意見に、
「うむ。」
「その通りじゃ。」
「また、そこまで大掛かりでなく少数精鋭であったとしても瞬間移動で忍び込まれてしまった場合、要人の暗殺が容易くなろう。」
「故に、世界規模で“野外”での使用しか認められておらんのじゃよ。」
「これを破ろうものなら、いろんな国々が制裁に乗り出してくる。」
「結果、“連合軍”によって滅ばされるのがオチでしかない。」
「なので〝どの国も規約を守っておる〟という訳じゃ。」
「〝今のところは〟のぅ。」
レオディンが詳しく説明してあげる。
ユーン達“お世話係”が納得したタイミングで、
「次、俺たちの順番だな。」
“片目のベルーグ”が呟いた。
▽
開かれている“南門”の右側で、一人につき銀貨1枚の通行料を支払った僕らは、都市内に入り、[石畳の大通り]を進んでいる。
かつて“細長眼鏡のマリー”が歴史の授業で〝都や町によって料金が異なる為どの国も一律ではありません〟と教えてくれたのを思い出す。
ちなみに〝冒険者や商工人は専属のギルドカードを呈示すれば世界中で無料となります〟とも言っていた。
「ねぇ、なんで、ラルーシファ王子のことを門番に知らせなかったの??」
「王族であればタダで入れたのに。」
「あと、その従者らも。」
「……、もしかして、王陛下から事前に何か命じられた?」
“ハーフエルフのリィバ”の質問に、
「ええ。」
「〝最終目的地に到着するまでは秘密裏にせよ〟〝そなた達がタケハヤ島に渡ったことが黒幕に漏洩してしまったならばすぐさま手を打ってくるであろうからな〟〝町中で襲撃されたなら全力では戦えんだろう〟〝住民などが巻き添えになるを危惧して〟との仰せでした。」
こうレオディンが答える。
それに対して、
「あぁー、成程ぉ。」
と頷くリィバだった。
▽
およそ10分後――。
僕らは[商工ギルド]に訪れている。
この[窓口]にて、銅貨三枚といった“中央都市の地図”を、レオディンが買った。
それを広げたレオディンが、
「ここから最も近い“馬車屋”と、停車場が設けられておる“食堂”に“宿屋”を、印してくれ。」
[受付]の女性に頼んだ。
「はい、かしこまりました。」
軽めに会釈した流れで、[羽ペン]を手に取った彼女は、“リスの獣人”だった…。
▽
ギルドから徒歩で約5分の所に在る[馬車屋]に、僕たちは赴いている。
ここまで来る途中に〝タケハヤ島の中央都市は40年ぶりですので少なからず街並みが変わっておりどこに何が建っているのか儂にも分からない点があります〟とレオディンが述べていた。
なにはともあれ。
三台の[ユニコーン車]を発注したようだ。
運賃は“一台につき1時間で銀貨五枚”となっており〝平均的な価格〟らしい。
いわゆる“必要経費”に関しては、レオディンによれば〝陛下より多めに戴いておりますのでご安心を〟との事だった。
▽
2分ほどが経ち、準備が整ったみたいだ。
先頭に“レオディン”と“リィバ”が乗り込む。
二列目は“僕/ベルーグ/マリー/ユーン”となっている。
最後尾は“お世話係”の残る4人だ。
そんなこんなで、[島長の館]へと向かう僕らだった―。
10
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる