GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第296話 防衛戦・其之拾参

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平原で[南陸なんりく第十一神国しんこく]と激突しているのは[ヒーゴン]だ。

小雨はみ、雲は風に流れゆき、空は晴れ渡りつつある。

“総帥の清虎きよとら”と“近衛兵このえへい”は、さすが獅子奮迅の活躍ぶりであった。

そこから少し離れた前方にて、ある“男神おがみ”が、数十人を相手に戦っている。

なかなかきらびやかな[甲冑]をまとっているので、“王”に違いない。

ただ、装備品は少なからず破損しており、至る箇所から流血していた。

明らかに追い詰められている。

こうした神に、20㎝大といった[氷のつぶて]が100個ほど、ヒットした。

凍り付いたそれらが一斉に割れ、

「ぐあッ!!」

王が右膝を着く。

「むッう~ッ。」

左手の[槍]を杖代わりにして立とうとする男神に、〝オレンジ色で直径80㎝の球体〟が放たれる。

それが顔に当たるなり【爆発】した。

[大剣]による【武器伝導】の一撃にて、王はうつ伏せに倒れる。

これらの光景が視界に映った清虎は、

「ぬおッ?!」
「先を越されたか!!」

少なからず悔しがるも、

「ふッ。」
凛琥りく永虎ながとらも気合が入っておったようだのぉ。」

孫たちの成長に微笑んだ。

侍王のそばにいた近衛兵の一員である“剣士の千代ちよ”が、

「おそらくは、紫蓮しれん…国主に再会したのが刺激になったのでしょう。」

目を細めた。

先程、【氷の礫】は凛琥が、【爆発の玉】は永虎が、それぞれに扱ったものである。

なお、凛琥のほうは【スキル】で。

……、ともあれ。

男神を確認した永虎が、

「敵将! 討ち取ったぁ―ッ!!」

そう宣言した事で、味方の兵士達が「ぅお――――ッ!!!!」と盛り上がった。

敵どもは、一瞬だけ呆然とするも、すぐ我に返り、こぞって退却しだす。

味方が追いかけ始めたなか、

「悪かったな。」
「俺が倒しちまって。」

永虎に声をかけられ、

「いや、別に問題ない。」

このように述べる凛琥だった…。


別の場所では、[チークゥゴーン]と[南陸第六神国]がバトルになっている。

晴天の下、4M級の神が、負傷していた。

どうやら“女王”らしい。

その神もまた、数十人の兵によって窮地に陥っている。

こうした女王が、翼を使って空へ逃げだす。

永美香えみか!」

声をかけた“幸永歌さえか”に、

「はいはい。」

軽く応じた“クレリック”が【水の矢】を100本ぐらい発した。

幸永歌が魔法陣を構築するなか、永美香の【スキル】がことごとく神に刺さって消える。

「がはッ!!」

吐血して、落ちだす女王に、

「これでもくらいなさい!」

幸永歌が〝最大幅40㎝×長さ2.5Mで三日月状〟といった【風の刃】を10コ放った。

それらの全てがヒットした神は、地面に叩き付けられ、ピクリともしない。

こうした状況で、

「私たちの勝ちよ!!」

幸永歌が告げた事によって、[チークゥゴーン軍]も勢いづく……。


[イッワミー&ヒーゼン]は[第二&第五]と、 [ブンゴ―&ヒューガー]は[第三&第七]と、一進一退の攻防を繰り広げている。

正直なところ、人間のほうが神々に押されていた。

しかしながら、どちらも、三ヶ国ずつ援軍が到着した事で、一気に逆転していく形勢であった―。
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