290 / 303
― 第六章・吉凶禍福 ―
第290話 防衛戦・其之漆
しおりを挟む
ニッショウの北西部。
紫蓮たちが戦を有利に展開している。
[ニッショウ]と[オワ-リン]の軍勢は統率が執れているものの、敵は足並みが揃いきれていない。
あちらが“烏合の衆”である事は明らかだ。
その最後尾にて。
豪華な玉座から立ち上がり、
「押されているとは不甲斐なし!!」
怒りを露わにしたのは、女神である。
身長は5Mありそうだ。
これは王や女王より1M高いことになる。
銀色の甲冑を纏っているが、どうやら[ミスリル製]みたいだ。
また、翼が二対ある。
つまり〝合計で四枚〟といった計算だ。
40歳前後に見えるが、実年齢は分からない。
そうした神は、
「もし負けようものなら、大帝陛下のご不興を買うというに。」
「領土の全没収…、いや、一族の死刑もありうる。」
〝ギリッ!〟と歯軋りした。
「……、致し方なし。」
「余自ら前線に出る他あるまい。」
このように決意した女神が、宙に浮きだす。
それに、すぐ近くで待機していた者らが続く。
なお、王などの上級神と同じ4Mが二十柱と、3Mの中級神が六十柱といった数であった…。
一方、海では。
高い所から撃たれる幾つもの【光線】に、敵が戸惑っている。
勿論、これは[飛空艇]によるものだ。
更に、[連合の軍艦]が正面や横から攻めてくるため、相手は為す術が無い。
そんな一艘で、
「まさか本当に船が飛ぶとはな!!」
楽しげにしているのは、鬼王だ。
この右隣で、
「確かに驚きですわねぇ。」
王妃が〝ニコニコ〟している。
そうした背後より、
「お二人とも、そろそろ戦ってください。」
「遊びに来た訳ではないのですから。」
苦笑いしたのは、妖王だった。
「おぉ、そうであったな。」
「では、ひと暴れするか!」
誰ともなく告げた鬼王に、妻が〝ええ〟と頷く……。
小雨が降るなか、平原で激突している軍勢があった。
これを馬に跨って眺めつつ、
「して?」
「儂の出番はいつじゃ?? 虎政よ。」
侍王が尋ねる。
その左隣で、やはり馬に乗っている“ヒーゴンの国主”が、
「よほど戦いたいようですな。」
「歳も考えず。」
溜息を軽く〝はぁ〟と吐く。
「む?」
少し不機嫌そうに反応した清虎を余所に、後ろを振り向いた虎政は、
「お前達、父上を頼んだぞ。」
こう声をかけた。
ほぼ同時に〝はッ!!〟と応えたのは“総帥の近衛兵”だ。
それによって、
「よし。」
「参ろうかのッ!」
嬉々とする侍王であった―。
紫蓮たちが戦を有利に展開している。
[ニッショウ]と[オワ-リン]の軍勢は統率が執れているものの、敵は足並みが揃いきれていない。
あちらが“烏合の衆”である事は明らかだ。
その最後尾にて。
豪華な玉座から立ち上がり、
「押されているとは不甲斐なし!!」
怒りを露わにしたのは、女神である。
身長は5Mありそうだ。
これは王や女王より1M高いことになる。
銀色の甲冑を纏っているが、どうやら[ミスリル製]みたいだ。
また、翼が二対ある。
つまり〝合計で四枚〟といった計算だ。
40歳前後に見えるが、実年齢は分からない。
そうした神は、
「もし負けようものなら、大帝陛下のご不興を買うというに。」
「領土の全没収…、いや、一族の死刑もありうる。」
〝ギリッ!〟と歯軋りした。
「……、致し方なし。」
「余自ら前線に出る他あるまい。」
このように決意した女神が、宙に浮きだす。
それに、すぐ近くで待機していた者らが続く。
なお、王などの上級神と同じ4Mが二十柱と、3Mの中級神が六十柱といった数であった…。
一方、海では。
高い所から撃たれる幾つもの【光線】に、敵が戸惑っている。
勿論、これは[飛空艇]によるものだ。
更に、[連合の軍艦]が正面や横から攻めてくるため、相手は為す術が無い。
そんな一艘で、
「まさか本当に船が飛ぶとはな!!」
楽しげにしているのは、鬼王だ。
この右隣で、
「確かに驚きですわねぇ。」
王妃が〝ニコニコ〟している。
そうした背後より、
「お二人とも、そろそろ戦ってください。」
「遊びに来た訳ではないのですから。」
苦笑いしたのは、妖王だった。
「おぉ、そうであったな。」
「では、ひと暴れするか!」
誰ともなく告げた鬼王に、妻が〝ええ〟と頷く……。
小雨が降るなか、平原で激突している軍勢があった。
これを馬に跨って眺めつつ、
「して?」
「儂の出番はいつじゃ?? 虎政よ。」
侍王が尋ねる。
その左隣で、やはり馬に乗っている“ヒーゴンの国主”が、
「よほど戦いたいようですな。」
「歳も考えず。」
溜息を軽く〝はぁ〟と吐く。
「む?」
少し不機嫌そうに反応した清虎を余所に、後ろを振り向いた虎政は、
「お前達、父上を頼んだぞ。」
こう声をかけた。
ほぼ同時に〝はッ!!〟と応えたのは“総帥の近衛兵”だ。
それによって、
「よし。」
「参ろうかのッ!」
嬉々とする侍王であった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる