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― 第六章・吉凶禍福 ―
第290話 防衛戦・其之漆
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ニッショウの北西部。
紫蓮たちが戦を有利に展開している。
[ニッショウ]と[オワ-リン]の軍勢は統率が執れているものの、敵は足並みが揃いきれていない。
あちらが“烏合の衆”である事は明らかだ。
その最後尾にて。
豪華な玉座から立ち上がり、
「押されているとは不甲斐なし!!」
怒りを露わにしたのは、女神である。
身長は5Mありそうだ。
これは王や女王より1M高いことになる。
銀色の甲冑を纏っているが、どうやら[ミスリル製]みたいだ。
また、翼が二対ある。
つまり〝合計で四枚〟といった計算だ。
40歳前後に見えるが、実年齢は分からない。
そうした神は、
「もし負けようものなら、大帝陛下のご不興を買うというに。」
「領土の全没収…、いや、一族の死刑もありうる。」
〝ギリッ!〟と歯軋りした。
「……、致し方なし。」
「余自ら前線に出る他あるまい。」
このように決意した女神が、宙に浮きだす。
それに、すぐ近くで待機していた者らが続く。
なお、王などの上級神と同じ4Mが二十柱と、3Mの中級神が六十柱といった数であった…。
一方、海では。
高い所から撃たれる幾つもの【光線】に、敵が戸惑っている。
勿論、これは[飛空艇]によるものだ。
更に、[連合の軍艦]が正面や横から攻めてくるため、相手は為す術が無い。
そんな一艘で、
「まさか本当に船が飛ぶとはな!!」
楽しげにしているのは、鬼王だ。
この右隣で、
「確かに驚きですわねぇ。」
王妃が〝ニコニコ〟している。
そうした背後より、
「お二人とも、そろそろ戦ってください。」
「遊びに来た訳ではないのですから。」
苦笑いしたのは、妖王だった。
「おぉ、そうであったな。」
「では、ひと暴れするか!」
誰ともなく告げた鬼王に、妻が〝ええ〟と頷く……。
小雨が降るなか、平原で激突している軍勢があった。
これを馬に跨って眺めつつ、
「して?」
「儂の出番はいつじゃ?? 虎政よ。」
侍王が尋ねる。
その左隣で、やはり馬に乗っている“ヒーゴンの国主”が、
「よほど戦いたいようですな。」
「歳も考えず。」
溜息を軽く〝はぁ〟と吐く。
「む?」
少し不機嫌そうに反応した清虎を余所に、後ろを振り向いた虎政は、
「お前達、父上を頼んだぞ。」
こう声をかけた。
ほぼ同時に〝はッ!!〟と応えたのは“総帥の近衛兵”だ。
それによって、
「よし。」
「参ろうかのッ!」
嬉々とする侍王であった―。
紫蓮たちが戦を有利に展開している。
[ニッショウ]と[オワ-リン]の軍勢は統率が執れているものの、敵は足並みが揃いきれていない。
あちらが“烏合の衆”である事は明らかだ。
その最後尾にて。
豪華な玉座から立ち上がり、
「押されているとは不甲斐なし!!」
怒りを露わにしたのは、女神である。
身長は5Mありそうだ。
これは王や女王より1M高いことになる。
銀色の甲冑を纏っているが、どうやら[ミスリル製]みたいだ。
また、翼が二対ある。
つまり〝合計で四枚〟といった計算だ。
40歳前後に見えるが、実年齢は分からない。
そうした神は、
「もし負けようものなら、大帝陛下のご不興を買うというに。」
「領土の全没収…、いや、一族の死刑もありうる。」
〝ギリッ!〟と歯軋りした。
「……、致し方なし。」
「余自ら前線に出る他あるまい。」
このように決意した女神が、宙に浮きだす。
それに、すぐ近くで待機していた者らが続く。
なお、王などの上級神と同じ4Mが二十柱と、3Mの中級神が六十柱といった数であった…。
一方、海では。
高い所から撃たれる幾つもの【光線】に、敵が戸惑っている。
勿論、これは[飛空艇]によるものだ。
更に、[連合の軍艦]が正面や横から攻めてくるため、相手は為す術が無い。
そんな一艘で、
「まさか本当に船が飛ぶとはな!!」
楽しげにしているのは、鬼王だ。
この右隣で、
「確かに驚きですわねぇ。」
王妃が〝ニコニコ〟している。
そうした背後より、
「お二人とも、そろそろ戦ってください。」
「遊びに来た訳ではないのですから。」
苦笑いしたのは、妖王だった。
「おぉ、そうであったな。」
「では、ひと暴れするか!」
誰ともなく告げた鬼王に、妻が〝ええ〟と頷く……。
小雨が降るなか、平原で激突している軍勢があった。
これを馬に跨って眺めつつ、
「して?」
「儂の出番はいつじゃ?? 虎政よ。」
侍王が尋ねる。
その左隣で、やはり馬に乗っている“ヒーゴンの国主”が、
「よほど戦いたいようですな。」
「歳も考えず。」
溜息を軽く〝はぁ〟と吐く。
「む?」
少し不機嫌そうに反応した清虎を余所に、後ろを振り向いた虎政は、
「お前達、父上を頼んだぞ。」
こう声をかけた。
ほぼ同時に〝はッ!!〟と応えたのは“総帥の近衛兵”だ。
それによって、
「よし。」
「参ろうかのッ!」
嬉々とする侍王であった―。
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