GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第287話 防衛戦・其之伍

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半月が過ぎようかとしていた。

[ニッショウ国]の北の海に、数えきれないほどの軍艦が停まっている。

そのなかの一艘いっそうで、甲板かんぱんに佇んでいるのは、“グーラン大将軍/フゥーリカン副将軍/撫子なでしこ農水相/ペイニー外相/スリア科技相/百桃星ももせ憲兵隊長/イリィータン司法相”と、サーヴァント達だ。

全員が、兜以外を装着している。

こうしたところに、別の船から5人ほどが乗ってきた。

先頭の“鎧をまとっている男性”が、

「以前は世話になった。」
「改めて感謝いたす。」

軽く頭を下げ、グーランたちが応じるように会釈する。

「ナーガリー嬢は、今回、お越しになられていないのですね。」

ふと尋ねたペイニーに、

「ああ、さすがに留守番だ。」
「本人は来たがっていたがな。」
「まったく、いつまでも“じゃじゃ馬娘”で困る。

苦笑いしたのは[サガーミィー国主]だった…。


暫く談笑し、

「では、一旦これにて。」
「必ずや勝利を掴もう。」

その場を去ろうとする[サガーミィー国主]に、

「よろしくお願いします。」

グーラン達が頭を下げる……。


数分後。

他の船が寄り付けた。

ここから甲板に渡って来た者らに気づき、

「父上?!!」
「母上も!??」

目を丸くしたのは、百桃星だ。

「ふははははッ!!」
「どうだ?!」
「驚いたであろう!!」

愉快そうにする[鬼王きおう]の斜め左後ろで、

「すまんな。」
「〝内緒にしておけ〟と、兄上に釘を刺されたもので。」

[妖王あやかしおう]が笑みを浮かべた。

「いや、それにしても、母上まで一緒とは…。」

なんと言ってよいものやら分からなそうな百桃星に、

「たまには体を動かさねば、なまってしまいます。」

穏やかに母親が伝える。

「そうかもしれませんが、しかし……。」
「留守にして平気なので??」

百桃星が首を傾げたところ、

「ん?」
「“閻魔国えんまこく”のことか?? 東陸とうりくの。」
「それならば問題ない。」
「お前の兄に任せてきた。」
「あやつにとっては、跡継ぎとして学ぶ絶好の機会だろう。」
「周りが補佐しておる故、心配はいらん。」

そのように述べる鬼王であった…。


海上で、全ての船が陣形を整える。

ここから約二時間後に、敵の軍艦が見えてきた。

あちらも結構な数だ。

現在は、PM15:00あたりで、いささか曇っている。

そうしたなか、1つの船が宙に浮きだす。

無論、[飛空艇]である。

スリアの指示で、ここから“空砲”が鳴った。

その合図によって、“連合軍の全船ぜんせん”が突進しだす。

ちなみに、[飛空艇]の乗組員は割と増えている。

所謂いわゆる、“水兵すいへい”だ。

ただ、まぁ、“空兵くうへい”と呼ぶべきか、“水空両兵”とすべきか、誰にとっても悩ましい限りではあるが……。

とにもかくにも。

既に兜を被っている“騎士のグーラン”が、

「さぁ!」
「神どもを、ぶっ倒すぞ!!」

号令を掛ける。

そうして始まるいくさだった―。
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