283 / 300
― 第六章・吉凶禍福 ―
第283話 うねり・序
しおりを挟む
[南陸第十二神国]が敗走して、数日が経っている。
その城における[玉座の間]で、
「何??」
「余の息子が殺されたにも拘わらず〝勝手に退却した〟だと?」
4M級の男神が、片眉を〝ピクッ〟と動かす。
王に間違いないソイツは、60歳ぐらいに見受けられる。
ただ、実年齢は不詳だが。
大きくて豪華な玉座に腰かけている上級神の眼前には、伝令係の下級神が跪いていた。
その左右に、合計六柱の中級神が立ち並んでいる。
誰もが恐縮するなか、
「失礼します!!」
別の下級神が慌てながら走って来た。
「なんだ??」
「騒々しい。」
一層に機嫌を悪くする王に、立ち止まった下級神が、
「南東に隣接するブンゴ―国が、進軍してきております!」
「〝既に国境を越えた〟との報告です!!」
このように述べる。
それぞれが〝なッ?!〟と驚いたところ、
「頃合いが良すぎる。」
「……、さては!!」
「予め図っておったか、ニッショウめ!」
上級神が怒りを露わにした。
場が緊張に包まれだすなか、
「余の許可なくニッショウ軍から逃亡した者どもの制裁を下すつもりだったが…、そうも言っておられなくなったな。」
「……。」
「退却した連中を、すぐにブンゴー軍に当たらせろ!!」
「〝活躍次第では、先の失態を帳消しにしてやる故、今度こそ勝利を収めよ〟とな!」
こういった勅命を出した王である…。
同じ頃。
朝日を浴びながら[飛空艇]が東に進んでいた。
その広間に、 [GOD SLAYER‘S]の人々が集まっている。
ちなみに、各サーヴァントは、自室にいるようだ。
「さっきブンゴ―から連絡が入った。」
「現在、南陸第十二神国に侵攻したそうだ。」
“紫蓮国主”が伝えたところ、
「あ。」
「もしかして、こないだタリアノが言っていた策って…。」
ふと思い出した“ペイニー外相”が、視線を送った。
〝ええ〟と頷き、
「我々が都を経つ前、ブンゴ―の国主に話しを付けてもらいました。」
「ブレスレットを使って、紫蓮国主に。」
「まぁ、あくまで〝こちらが第十二神国に勝利したら動いてもらう〟といった条件でしたので、負けていたらこういう展開にはならなかったでしょう。」
「あとは〝ブンゴ―の切り取り次第〟です。」
こう“タリアノ宰相”が説明する。
「あの国を、こちらで制圧しないのは、〝統治が難しい〟という判断か??」
“魔族の第四王子”でもある“イリィターン司法相”に、
「我々はニッショウだけで手いっぱいですからね。」
「これ以上、範囲を広げても、失敗する可能性が高いでしょう。」
そのようにタリアノが答えた。
「……、確か〝結局は十二神国で暮らす人達に掛かっている〟みたいなことを仰っていましたが、それって?」
“ルウェー財相”が首を傾げたら、
「〝ブンゴ―に呼応して一斉蜂起しなければ何も変わらない〟といった意味ですよ。」
「これまでと同じく神々に支配され続けるのか、もしくは新たな未来を選ぶのか…。」
「この期に及んで神に従うようであれば、無駄な死傷者を増やすだけでしょう。」
こう答えたタリアノである。
皆が理解を示すなか、
「なんにせよ。」
「明日には都に帰り着く。」
「また政務で忙しくなるだろうから、全員、覚悟しとけよ。」
そのように告げる紫蓮だった―。
その城における[玉座の間]で、
「何??」
「余の息子が殺されたにも拘わらず〝勝手に退却した〟だと?」
4M級の男神が、片眉を〝ピクッ〟と動かす。
王に間違いないソイツは、60歳ぐらいに見受けられる。
ただ、実年齢は不詳だが。
大きくて豪華な玉座に腰かけている上級神の眼前には、伝令係の下級神が跪いていた。
その左右に、合計六柱の中級神が立ち並んでいる。
誰もが恐縮するなか、
「失礼します!!」
別の下級神が慌てながら走って来た。
「なんだ??」
「騒々しい。」
一層に機嫌を悪くする王に、立ち止まった下級神が、
「南東に隣接するブンゴ―国が、進軍してきております!」
「〝既に国境を越えた〟との報告です!!」
このように述べる。
それぞれが〝なッ?!〟と驚いたところ、
「頃合いが良すぎる。」
「……、さては!!」
「予め図っておったか、ニッショウめ!」
上級神が怒りを露わにした。
場が緊張に包まれだすなか、
「余の許可なくニッショウ軍から逃亡した者どもの制裁を下すつもりだったが…、そうも言っておられなくなったな。」
「……。」
「退却した連中を、すぐにブンゴー軍に当たらせろ!!」
「〝活躍次第では、先の失態を帳消しにしてやる故、今度こそ勝利を収めよ〟とな!」
こういった勅命を出した王である…。
同じ頃。
朝日を浴びながら[飛空艇]が東に進んでいた。
その広間に、 [GOD SLAYER‘S]の人々が集まっている。
ちなみに、各サーヴァントは、自室にいるようだ。
「さっきブンゴ―から連絡が入った。」
「現在、南陸第十二神国に侵攻したそうだ。」
“紫蓮国主”が伝えたところ、
「あ。」
「もしかして、こないだタリアノが言っていた策って…。」
ふと思い出した“ペイニー外相”が、視線を送った。
〝ええ〟と頷き、
「我々が都を経つ前、ブンゴ―の国主に話しを付けてもらいました。」
「ブレスレットを使って、紫蓮国主に。」
「まぁ、あくまで〝こちらが第十二神国に勝利したら動いてもらう〟といった条件でしたので、負けていたらこういう展開にはならなかったでしょう。」
「あとは〝ブンゴ―の切り取り次第〟です。」
こう“タリアノ宰相”が説明する。
「あの国を、こちらで制圧しないのは、〝統治が難しい〟という判断か??」
“魔族の第四王子”でもある“イリィターン司法相”に、
「我々はニッショウだけで手いっぱいですからね。」
「これ以上、範囲を広げても、失敗する可能性が高いでしょう。」
そのようにタリアノが答えた。
「……、確か〝結局は十二神国で暮らす人達に掛かっている〟みたいなことを仰っていましたが、それって?」
“ルウェー財相”が首を傾げたら、
「〝ブンゴ―に呼応して一斉蜂起しなければ何も変わらない〟といった意味ですよ。」
「これまでと同じく神々に支配され続けるのか、もしくは新たな未来を選ぶのか…。」
「この期に及んで神に従うようであれば、無駄な死傷者を増やすだけでしょう。」
こう答えたタリアノである。
皆が理解を示すなか、
「なんにせよ。」
「明日には都に帰り着く。」
「また政務で忙しくなるだろうから、全員、覚悟しとけよ。」
そのように告げる紫蓮だった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~
鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合
戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる
事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる
その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊
中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。
終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人
小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である
劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。
しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。
上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。
ゆえに彼らは最前線に配備された
しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。
しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。
瀬能が死を迎えるとき
とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
双子の姉妹は無双仕様
satomi
ファンタジー
双子の姉妹であるルカ=フォレストとルリ=フォレストは文武両道というか他の人の2~3倍なんでもできる。周りはその事実を知らずに彼女たちを貶めようと画策するが……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる
ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。
彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。
だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。
結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。
そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた!
主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。
ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる