GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第283話 うねり・序

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[南陸なんりく第十二神国しんこく]が敗走して、数日が経っている。

その城における[玉座の間]で、

「何??」
「余の息子が殺されたにも拘わらず〝勝手に退却した〟だと?」

4M級の男神おがみが、片眉を〝ピクッ〟と動かす。

王に間違いないソイツは、60歳ぐらいに見受けられる。

ただ、実年齢は不詳だが。

大きくて豪華な玉座に腰かけている上級神の眼前には、伝令係の下級神が跪いていた。

その左右に、合計六柱の中級神が立ち並んでいる。

誰もが恐縮するなか、

「失礼します!!」

別の下級神が慌てながら走って来た。

「なんだ??」
「騒々しい。」

一層に機嫌を悪くする王に、立ち止まった下級神が、

「南東に隣接するブンゴ―国が、進軍してきております!」
「〝既に国境を越えた〟との報告です!!」

このように述べる。

それぞれが〝なッ?!〟と驚いたところ、

「頃合いが良すぎる。」
「……、さては!!」
「予め図っておったか、ニッショウめ!」

上級神が怒りを露わにした。

場が緊張に包まれだすなか、

「余の許可なくニッショウ軍から逃亡した者どもの制裁を下すつもりだったが…、そうも言っておられなくなったな。」
「……。」
「退却した連中を、すぐにブンゴー軍に当たらせろ!!」
「〝活躍次第では、先の失態を帳消しにしてやる故、今度こそ勝利を収めよ〟とな!」

こういった勅命ちょくめいを出した王である…。


同じ頃。

朝日を浴びながら[飛空艇]が東に進んでいた。

その広間に、 [GOD SLAYER‘S]の人々が集まっている。

ちなみに、各サーヴァントは、自室にいるようだ。

「さっきブンゴ―から連絡が入った。」
「現在、南陸第十二神国に侵攻したそうだ。」

紫蓮しれん国主”が伝えたところ、

「あ。」
「もしかして、こないだタリアノが言っていたって…。」

ふと思い出した“ペイニー外相”が、視線を送った。

〝ええ〟と頷き、

「我々が都を経つ前、ブンゴ―の国主に話しを付けてもらいました。」
「ブレスレットを使って、紫蓮国主に。」
「まぁ、あくまで〝こちらが第十二神国に勝利したら動いてもらう〟といった条件でしたので、負けていたらこういう展開にはならなかったでしょう。」
「あとは〝ブンゴ―の切り取り次第〟です。」

こう“タリアノ宰相”が説明する。

「あの国を、こちらで制圧しないのは、〝統治が難しい〟という判断か??」

“魔族の第四王子”でもある“イリィターン司法相”に、

「我々はニッショウだけで手いっぱいですからね。」
「これ以上、範囲を広げても、失敗する可能性が高いでしょう。」

そのようにタリアノが答えた。

「……、確か〝結局は十二神国で暮らす人達に掛かっている〟みたいなことを仰っていましたが、それって?」

“ルウェー財相”が首を傾げたら、

「〝ブンゴ―に呼応して一斉蜂起しなければ何も変わらない〟といった意味ですよ。」
「これまでと同じく神々に支配され続けるのか、もしくは新たな未来を選ぶのか…。」
「このに及んで神に従うようであれば、無駄な死傷者を増やすだけでしょう。」

こう答えたタリアノである。

みなが理解を示すなか、

「なんにせよ。」
「明日には都に帰り着く。」
「また政務で忙しくなるだろうから、全員、覚悟しとけよ。」

そのように告げる紫蓮だった―。
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