GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第276話 合議・其之壱

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軍師でもあるタリアノが、

「皆さん、既に聞き及んでいらっしゃるでしょうが、念のために状況を。」

このように開口する。

そうして、

「西に隣接する“南陸なんりく第十二神国しんこく”が、こちらに攻め込もうとしています。」
「その数、およそ500万になるとの予想です。」
「我々は、ニッショウ国の安寧のために、これを迎え撃たねばなりません。」
「よって、全員を招集した次第です。」

メンバーに伝えるのだった。

ほんの少しの沈黙を挟み、グーラン大将軍が、

「これから敵と同じ兵数を揃えようとしても、その間に国境を越えられるかもしれねぇよな。」
「何かしら策はあるのか?」

タリアノを窺う。

「いえ、これといって。」

首を横に振り、

「ただ、打てる手としては、中央、西方、南方、これらの領土から100万ずつを、国境付近に向かわせることぐらいでしょう。」
「まぁ、もっと動員できなくはないのですが、治安維持が困難になるので、ここら辺が限界です。」

こうタリアノが喋る。

「ん??」
「北方に東方は?」

そうした疑問を呈したのは、フゥーリカン副将軍だ。

「……、ニッショウの北西には“第八神国”が存在しています。」
「そこが海路より二手に分かれて襲撃してくるかもしれません。」
「なので、北と東の軍は動かさないのが賢明でしょう。」

このように返したタリアノに、

「二つの領土が狙われた場合、凌ぎきれるのですか??」

ランダ―建設相が尋ねた。

「おそらく無理でしょうね。」
「ですが、いざという時には、魔族と妖怪に援軍を要請すれば大丈夫かと。」

タリアノによる答えに、イリィータン司法相が、

「間に合わないと思うが?」

眉間に軽くシワを寄せる。

その意見に、

わらわもだ。」

百桃星ももせ憲兵隊長が深く頷いた。

これらに対し、

「以前、この国を支配していた神々との戦いで、北方や東方の港町に訪れた軍勢のなかに“瞬間移動”を扱えるかたがいれば、円滑に進むでしょう。」
「船を使う必要がないので。」
「とは言え、兵を連れて来るのに何度も往復してもらう事になりますが…。」

そうタリアノが述べる。

イリィータンと百桃星が〝あぁー〟と納得したところで、

「俺たちは、どうする??」
「グーランとフゥーリカンは立場的に出陣してもらうとして、他に誰が赴く?」

紫蓮しれん国主が訊ねた。

「そうですね……。」
「この際、〝ひとり残らず〟というのは如何です??」

タリアノの大胆な主張に、みなが〝は?!〟といった感じで驚く。

そうした反応を受け、

「内外に全員の存在を示しておくのが得策でしょう。」
「中央や南方は心配ありませんが、それら以外の領土では我々を軽んじている人もいるみたいなので。」
「我ら若輩が国を取り仕切っていることに不満を抱いてきた者は、どこかで謀反を起こす危険性があります。」
「今回のいくさに負けでもしたなら、責任追及といった形で挙兵する絶好の機会を与えかねません。」
「外敵にしても、内輪うちわにしても、我々の強さを知らしめておかなければ、これから先は泥沼になりかねないかと…。」
「つまり、良からぬ企みをしないよう、その意欲を予め失わせるのです。」

こう告げるタリアノであった―。
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