GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第274話 趨勢・其之肆

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“獣王”は、二足歩行の“獅子”であった。

身長は4Mありそうだ。

王らしい服と、マントは、基本的には黒色であり、金糸での装飾が施されている。

およそ30体の護衛を連れており、大半は虎や豹などの“ネコ科”だった。

他には“狼/狐/鷹”が見受けられる。

それら獣人の背丈は、2~3Mといったところだ。

この一行いっこうを、[広間]で迎えたのは、“紫蓮しれん国主・タリアノ宰相・ペイニー外相”だった……。


[獣人の国]は“西陸さいりく”の最西端に在る。

国名は[イーズッミー]だ。

さておき…。

「長旅、ご苦労様でした。」

タリアノに声をかけられた“ライオンキング”が、

「なぁーに、我は国から出た事がなかったからな、実に有意義であったわ。」

〝フッ〟と笑みをこぼす。

「それにしても。」
「王、自ら来るとは、意外だな。」

そう述べた紫蓮に、

「我々の国内はもとより、周辺諸国にも示すためよ。」
「〝今のうちに連合に加わらなければ未来は無い〟とな。」
「何せ、多くの者が日和見ひよりみになっておる故。」
「……、つまり。」
「世界中で神どもとのいくさが本格化する前に、そなたらと道を共にせねば、あとあと立場が悪くなろう。」
「なかには、いずれ難癖を付けて攻め込んでくるやからもおるやもしれん。」
「もしも連合軍が神々に勝利したなら、そうした危険性が特に高まる。」
「となれば、情勢を窺っていた国は、どこも滅び去ろうぞ。」
「それを未然に防ぐため、王である我が赴いたのだ。」
「〝今、まさに、進退が問われておる〟〝生き残りたければ、重い腰を上げよ〟と、暗に伝えるためにも、な。」

このように説明する“獅子王”だった…。


調印を済ませ、何かと会話している。

そうした流れで、〝神は偽者である〟などの旨が、ライオンキングたちに知らされた。

聞き終えた獅子王が、

「興味深い内容であったな。」

〝ふぅ~む〟と頷く。

「もしかしたら、獣族じゅうぞくも、妖魔と同じなのかしら?」

独り言を口にしたペイニーに、

「我らもまた〝本当の神やもしれん〟ということか??」

ライオンキングが尋ねる。

「あ、はい。」

こうペイニーが返したら、

「我々は古来より〝獣神・・の血筋〟とされておるが……、それ・・が本物か否かまでは分からん。」

獅子王が首を軽く横に振った。

少しの沈黙を挟み、

「魔族と妖怪みたいに、偽神から呪われて、姿が変わっている可能性もありますね。」

そのようなタリアノによる推測を、

「うむ。」
「ありうるだろうな。」

ライオンキングが肯定する。

更には、

「ま、偽神どもを倒したのち、我らの容姿に変化があれば、〝そういう事だった〟というものであろう。」
「我としては、どっちでも構わんが、ひとつ新たな楽しみができたな。」

どこか愉快そうにする獅子王であった―。
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