274 / 300
― 第六章・吉凶禍福 ―
第274話 趨勢・其之肆
しおりを挟む
“獣王”は、二足歩行の“獅子”であった。
身長は4Mありそうだ。
王らしい服と、マントは、基本的には黒色であり、金糸での装飾が施されている。
およそ30体の護衛を連れており、大半は虎や豹などの“ネコ科”だった。
他には“狼/狐/鷹”が見受けられる。
それら獣人の背丈は、2~3Mといったところだ。
この一行を、[広間]で迎えたのは、“紫蓮国主・タリアノ宰相・ペイニー外相”だった……。
[獣人の国]は“西陸”の最西端に在る。
国名は[イーズッミー]だ。
さておき…。
「長旅、ご苦労様でした。」
タリアノに声をかけられた“ライオンキング”が、
「なぁーに、我は国から出た事がなかったからな、実に有意義であったわ。」
〝フッ〟と笑みをこぼす。
「それにしても。」
「王、自ら来るとは、意外だな。」
そう述べた紫蓮に、
「我々の国内はもとより、周辺諸国にも示すためよ。」
「〝今のうちに連合に加わらなければ未来は無い〟とな。」
「何せ、多くの者が日和見になっておる故。」
「……、つまり。」
「世界中で神どもとの戦が本格化する前に、そなたらと道を共にせねば、あとあと立場が悪くなろう。」
「なかには、いずれ難癖を付けて攻め込んでくる輩もおるやもしれん。」
「もしも連合軍が神々に勝利したなら、そうした危険性が特に高まる。」
「となれば、情勢を窺っていた国は、どこも滅び去ろうぞ。」
「それを未然に防ぐため、王である我が赴いたのだ。」
「〝今、まさに、進退が問われておる〟〝生き残りたければ、重い腰を上げよ〟と、暗に伝えるためにも、な。」
このように説明する“獅子王”だった…。
調印を済ませ、何かと会話している。
そうした流れで、〝神は偽者である〟などの旨が、ライオンキングたちに知らされた。
聞き終えた獅子王が、
「興味深い内容であったな。」
〝ふぅ~む〟と頷く。
「もしかしたら、獣族も、妖魔と同じなのかしら?」
独り言を口にしたペイニーに、
「我らもまた〝本当の神やもしれん〟ということか??」
ライオンキングが尋ねる。
「あ、はい。」
こうペイニーが返したら、
「我々は古来より〝獣神の血筋〟とされておるが……、それが本物か否かまでは分からん。」
獅子王が首を軽く横に振った。
少しの沈黙を挟み、
「魔族と妖怪みたいに、偽神から呪われて、姿が変わっている可能性もありますね。」
そのようなタリアノによる推測を、
「うむ。」
「ありうるだろうな。」
ライオンキングが肯定する。
更には、
「ま、偽神どもを倒したのち、我らの容姿に変化があれば、〝そういう事だった〟というものであろう。」
「我としては、どっちでも構わんが、ひとつ新たな楽しみができたな。」
どこか愉快そうにする獅子王であった―。
身長は4Mありそうだ。
王らしい服と、マントは、基本的には黒色であり、金糸での装飾が施されている。
およそ30体の護衛を連れており、大半は虎や豹などの“ネコ科”だった。
他には“狼/狐/鷹”が見受けられる。
それら獣人の背丈は、2~3Mといったところだ。
この一行を、[広間]で迎えたのは、“紫蓮国主・タリアノ宰相・ペイニー外相”だった……。
[獣人の国]は“西陸”の最西端に在る。
国名は[イーズッミー]だ。
さておき…。
「長旅、ご苦労様でした。」
タリアノに声をかけられた“ライオンキング”が、
「なぁーに、我は国から出た事がなかったからな、実に有意義であったわ。」
〝フッ〟と笑みをこぼす。
「それにしても。」
「王、自ら来るとは、意外だな。」
そう述べた紫蓮に、
「我々の国内はもとより、周辺諸国にも示すためよ。」
「〝今のうちに連合に加わらなければ未来は無い〟とな。」
「何せ、多くの者が日和見になっておる故。」
「……、つまり。」
「世界中で神どもとの戦が本格化する前に、そなたらと道を共にせねば、あとあと立場が悪くなろう。」
「なかには、いずれ難癖を付けて攻め込んでくる輩もおるやもしれん。」
「もしも連合軍が神々に勝利したなら、そうした危険性が特に高まる。」
「となれば、情勢を窺っていた国は、どこも滅び去ろうぞ。」
「それを未然に防ぐため、王である我が赴いたのだ。」
「〝今、まさに、進退が問われておる〟〝生き残りたければ、重い腰を上げよ〟と、暗に伝えるためにも、な。」
このように説明する“獅子王”だった…。
調印を済ませ、何かと会話している。
そうした流れで、〝神は偽者である〟などの旨が、ライオンキングたちに知らされた。
聞き終えた獅子王が、
「興味深い内容であったな。」
〝ふぅ~む〟と頷く。
「もしかしたら、獣族も、妖魔と同じなのかしら?」
独り言を口にしたペイニーに、
「我らもまた〝本当の神やもしれん〟ということか??」
ライオンキングが尋ねる。
「あ、はい。」
こうペイニーが返したら、
「我々は古来より〝獣神の血筋〟とされておるが……、それが本物か否かまでは分からん。」
獅子王が首を軽く横に振った。
少しの沈黙を挟み、
「魔族と妖怪みたいに、偽神から呪われて、姿が変わっている可能性もありますね。」
そのようなタリアノによる推測を、
「うむ。」
「ありうるだろうな。」
ライオンキングが肯定する。
更には、
「ま、偽神どもを倒したのち、我らの容姿に変化があれば、〝そういう事だった〟というものであろう。」
「我としては、どっちでも構わんが、ひとつ新たな楽しみができたな。」
どこか愉快そうにする獅子王であった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる
ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。
彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。
だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。
結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。
そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた!
主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。
ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる