273 / 300
― 第六章・吉凶禍福 ―
第273話 趨勢・其之参
しおりを挟む
諸々の納品を済ませ、大量の金貨を得たウェルが、[小型の飛空艇]で自国に帰ってゆく。
ハーリマーの国主に、飛空艇やロボットの生産を依頼されており、やることがまだまだ残っているらしい。
庭で見送った流れにて、
「二人は何か作るのか??」
ふと“騎士のグーラン”が尋ねる。
「ん~。」
「上手くいくは分からないから、今のところは秘密だな。」
「完成を楽しみにしておいてくれ。」
そのように伝えたのは“機工士のスリア”だ。
「私はゴーレムを新しいものにしようと思います。」
「……、外にいるので、このままやるとしましょうか。」
こう答えたタリアノが、岩石から鉄鋼へと変更する。
それによって姿を形成した[鉄鋼ゴーレム]は、背丈6Mであった。
これに、“グーラン・フゥーリカン・撫子・ルウェー・百桃星・ロンド―達男子”が、瞳を輝かせる。
なお、ゴーレムは、岩石のときよりも1M高い…。
[食堂]で。
昼食を摂りながら、
「なぁ、紫蓮よ。」
「購入した飛空艇に乗ってみないか?」
「何処でもよいから、空を渡ってみたい!」
撫子が提案したところ、大半の者が〝おぉ~〟〝いいねぇー〟とワクワクしだした。
「でも、一体どこへ??」
“武闘家のランダ―”が首を傾げた事で、誰もが悩みだす。
そうした状況にて、
「行きたい場所があるんだが……。」
「皆にとっては、あまり気分が良いものではないだろう。」
「いや、それは、俺が一番、か…。」
紫蓮が述べる。
「どちらですの?」
“弓術士のランソワ”に伺われ、
「……、生まれ育った町だ。」
どこか寂しげな表情となる紫蓮だった…。
スリアの恋人である“エトン”の操縦で、紫蓮の故郷の近くに[大型の飛空艇]が着地する。
北西側で船から降りた全員が、町へと足を踏み入れる……。
とっくに崩壊している幾つもの建物は、確実に風化していた。
暫くして、実家の正面で止まった紫蓮が、黙禱を始める。
これによって、“巫女の涼音”が冥福の祈りを捧げだす。
更には、“クレリックのルウェー”など、各宗教が続いていった…。
飛空艇が、[ニッショウ城]へと戻ってゆく。
甲板で、風を受けつつ、
「すまなかったな。」
「楽しい旅にはならなくって。」
目を細めた紫蓮に、
「何を申すか、水臭い。」
「我らは仲間であろう。」
百桃星が〝ニカッ〟と笑みを浮かべる。
そんな鬼姫に[ゴッド・スレイヤーズ]のメンバーが頷く。
ちなみに、ここには[PEACE MAKER’S]も居るが、紫蓮たちとの絆はまた別物であった……。
少し時が経ち、季節は冬となっている。
紫蓮の故郷を含め、かつて神どもに破壊された町は、タリアノ宰相の発案によって、瓦礫を片付けた後に、慰霊碑を建てる運びとなった。
よって、各地で作業が進められている…。
そうしたなか、今日に至るまで、南陸に存在している[人間の国]の多くが、連合に加わった。
一方、西陸からも、[ニッショウ国]へ代わる代わると使者が赴いている。
ただし、どちらの大陸も、神どもの占領地から遠く離れた国々は、動こうとしていない。
神々と戦ったことがないのが理由だろう。
つまり、他人事なのだ。
或いは日和見の可能性がある。
こうしたなかで、城に訪れたのは、“獣王”だった―。
ハーリマーの国主に、飛空艇やロボットの生産を依頼されており、やることがまだまだ残っているらしい。
庭で見送った流れにて、
「二人は何か作るのか??」
ふと“騎士のグーラン”が尋ねる。
「ん~。」
「上手くいくは分からないから、今のところは秘密だな。」
「完成を楽しみにしておいてくれ。」
そのように伝えたのは“機工士のスリア”だ。
「私はゴーレムを新しいものにしようと思います。」
「……、外にいるので、このままやるとしましょうか。」
こう答えたタリアノが、岩石から鉄鋼へと変更する。
それによって姿を形成した[鉄鋼ゴーレム]は、背丈6Mであった。
これに、“グーラン・フゥーリカン・撫子・ルウェー・百桃星・ロンド―達男子”が、瞳を輝かせる。
なお、ゴーレムは、岩石のときよりも1M高い…。
[食堂]で。
昼食を摂りながら、
「なぁ、紫蓮よ。」
「購入した飛空艇に乗ってみないか?」
「何処でもよいから、空を渡ってみたい!」
撫子が提案したところ、大半の者が〝おぉ~〟〝いいねぇー〟とワクワクしだした。
「でも、一体どこへ??」
“武闘家のランダ―”が首を傾げた事で、誰もが悩みだす。
そうした状況にて、
「行きたい場所があるんだが……。」
「皆にとっては、あまり気分が良いものではないだろう。」
「いや、それは、俺が一番、か…。」
紫蓮が述べる。
「どちらですの?」
“弓術士のランソワ”に伺われ、
「……、生まれ育った町だ。」
どこか寂しげな表情となる紫蓮だった…。
スリアの恋人である“エトン”の操縦で、紫蓮の故郷の近くに[大型の飛空艇]が着地する。
北西側で船から降りた全員が、町へと足を踏み入れる……。
とっくに崩壊している幾つもの建物は、確実に風化していた。
暫くして、実家の正面で止まった紫蓮が、黙禱を始める。
これによって、“巫女の涼音”が冥福の祈りを捧げだす。
更には、“クレリックのルウェー”など、各宗教が続いていった…。
飛空艇が、[ニッショウ城]へと戻ってゆく。
甲板で、風を受けつつ、
「すまなかったな。」
「楽しい旅にはならなくって。」
目を細めた紫蓮に、
「何を申すか、水臭い。」
「我らは仲間であろう。」
百桃星が〝ニカッ〟と笑みを浮かべる。
そんな鬼姫に[ゴッド・スレイヤーズ]のメンバーが頷く。
ちなみに、ここには[PEACE MAKER’S]も居るが、紫蓮たちとの絆はまた別物であった……。
少し時が経ち、季節は冬となっている。
紫蓮の故郷を含め、かつて神どもに破壊された町は、タリアノ宰相の発案によって、瓦礫を片付けた後に、慰霊碑を建てる運びとなった。
よって、各地で作業が進められている…。
そうしたなか、今日に至るまで、南陸に存在している[人間の国]の多くが、連合に加わった。
一方、西陸からも、[ニッショウ国]へ代わる代わると使者が赴いている。
ただし、どちらの大陸も、神どもの占領地から遠く離れた国々は、動こうとしていない。
神々と戦ったことがないのが理由だろう。
つまり、他人事なのだ。
或いは日和見の可能性がある。
こうしたなかで、城に訪れたのは、“獣王”だった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~
鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合
戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる
事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる
その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊
中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。
終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人
小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である
劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。
しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。
上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。
ゆえに彼らは最前線に配備された
しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。
しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。
瀬能が死を迎えるとき
とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界召喚されたけど必要ないと言われて魔王軍の領地に落とされた私は『魔物使い』の適性持ちですよ?
はむ
ファンタジー
勝手に異世界に召喚しといて必要ないって分かると魔王軍の領地に落とすなんて信じられない!
でも『魔物使い』の適正持ってる私なら…
生き残れるんじゃない???
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる
ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。
彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。
だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。
結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。
そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた!
主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。
ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる