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― 第六章・吉凶禍福 ―
第273話 趨勢・其之参
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諸々の納品を済ませ、大量の金貨を得たウェルが、[小型の飛空艇]で自国に帰ってゆく。
ハーリマーの国主に、飛空艇やロボットの生産を依頼されており、やることがまだまだ残っているらしい。
庭で見送った流れにて、
「二人は何か作るのか??」
ふと“騎士のグーラン”が尋ねる。
「ん~。」
「上手くいくは分からないから、今のところは秘密だな。」
「完成を楽しみにしておいてくれ。」
そのように伝えたのは“機工士のスリア”だ。
「私はゴーレムを新しいものにしようと思います。」
「……、外にいるので、このままやるとしましょうか。」
こう答えたタリアノが、岩石から鉄鋼へと変更する。
それによって姿を形成した[鉄鋼ゴーレム]は、背丈6Mであった。
これに、“グーラン・フゥーリカン・撫子・ルウェー・百桃星・ロンド―達男子”が、瞳を輝かせる。
なお、ゴーレムは、岩石のときよりも1M高い…。
[食堂]で。
昼食を摂りながら、
「なぁ、紫蓮よ。」
「購入した飛空艇に乗ってみないか?」
「何処でもよいから、空を渡ってみたい!」
撫子が提案したところ、大半の者が〝おぉ~〟〝いいねぇー〟とワクワクしだした。
「でも、一体どこへ??」
“武闘家のランダ―”が首を傾げた事で、誰もが悩みだす。
そうした状況にて、
「行きたい場所があるんだが……。」
「皆にとっては、あまり気分が良いものではないだろう。」
「いや、それは、俺が一番、か…。」
紫蓮が述べる。
「どちらですの?」
“弓術士のランソワ”に伺われ、
「……、生まれ育った町だ。」
どこか寂しげな表情となる紫蓮だった…。
スリアの恋人である“エトン”の操縦で、紫蓮の故郷の近くに[大型の飛空艇]が着地する。
北西側で船から降りた全員が、町へと足を踏み入れる……。
とっくに崩壊している幾つもの建物は、確実に風化していた。
暫くして、実家の正面で止まった紫蓮が、黙禱を始める。
これによって、“巫女の涼音”が冥福の祈りを捧げだす。
更には、“クレリックのルウェー”など、各宗教が続いていった…。
飛空艇が、[ニッショウ城]へと戻ってゆく。
甲板で、風を受けつつ、
「すまなかったな。」
「楽しい旅にはならなくって。」
目を細めた紫蓮に、
「何を申すか、水臭い。」
「我らは仲間であろう。」
百桃星が〝ニカッ〟と笑みを浮かべる。
そんな鬼姫に[ゴッド・スレイヤーズ]のメンバーが頷く。
ちなみに、ここには[PEACE MAKER’S]も居るが、紫蓮たちとの絆はまた別物であった……。
少し時が経ち、季節は冬となっている。
紫蓮の故郷を含め、かつて神どもに破壊された町は、タリアノ宰相の発案によって、瓦礫を片付けた後に、慰霊碑を建てる運びとなった。
よって、各地で作業が進められている…。
そうしたなか、今日に至るまで、南陸に存在している[人間の国]の多くが、連合に加わった。
一方、西陸からも、[ニッショウ国]へ代わる代わると使者が赴いている。
ただし、どちらの大陸も、神どもの占領地から遠く離れた国々は、動こうとしていない。
神々と戦ったことがないのが理由だろう。
つまり、他人事なのだ。
或いは日和見の可能性がある。
こうしたなかで、城に訪れたのは、“獣王”だった―。
ハーリマーの国主に、飛空艇やロボットの生産を依頼されており、やることがまだまだ残っているらしい。
庭で見送った流れにて、
「二人は何か作るのか??」
ふと“騎士のグーラン”が尋ねる。
「ん~。」
「上手くいくは分からないから、今のところは秘密だな。」
「完成を楽しみにしておいてくれ。」
そのように伝えたのは“機工士のスリア”だ。
「私はゴーレムを新しいものにしようと思います。」
「……、外にいるので、このままやるとしましょうか。」
こう答えたタリアノが、岩石から鉄鋼へと変更する。
それによって姿を形成した[鉄鋼ゴーレム]は、背丈6Mであった。
これに、“グーラン・フゥーリカン・撫子・ルウェー・百桃星・ロンド―達男子”が、瞳を輝かせる。
なお、ゴーレムは、岩石のときよりも1M高い…。
[食堂]で。
昼食を摂りながら、
「なぁ、紫蓮よ。」
「購入した飛空艇に乗ってみないか?」
「何処でもよいから、空を渡ってみたい!」
撫子が提案したところ、大半の者が〝おぉ~〟〝いいねぇー〟とワクワクしだした。
「でも、一体どこへ??」
“武闘家のランダ―”が首を傾げた事で、誰もが悩みだす。
そうした状況にて、
「行きたい場所があるんだが……。」
「皆にとっては、あまり気分が良いものではないだろう。」
「いや、それは、俺が一番、か…。」
紫蓮が述べる。
「どちらですの?」
“弓術士のランソワ”に伺われ、
「……、生まれ育った町だ。」
どこか寂しげな表情となる紫蓮だった…。
スリアの恋人である“エトン”の操縦で、紫蓮の故郷の近くに[大型の飛空艇]が着地する。
北西側で船から降りた全員が、町へと足を踏み入れる……。
とっくに崩壊している幾つもの建物は、確実に風化していた。
暫くして、実家の正面で止まった紫蓮が、黙禱を始める。
これによって、“巫女の涼音”が冥福の祈りを捧げだす。
更には、“クレリックのルウェー”など、各宗教が続いていった…。
飛空艇が、[ニッショウ城]へと戻ってゆく。
甲板で、風を受けつつ、
「すまなかったな。」
「楽しい旅にはならなくって。」
目を細めた紫蓮に、
「何を申すか、水臭い。」
「我らは仲間であろう。」
百桃星が〝ニカッ〟と笑みを浮かべる。
そんな鬼姫に[ゴッド・スレイヤーズ]のメンバーが頷く。
ちなみに、ここには[PEACE MAKER’S]も居るが、紫蓮たちとの絆はまた別物であった……。
少し時が経ち、季節は冬となっている。
紫蓮の故郷を含め、かつて神どもに破壊された町は、タリアノ宰相の発案によって、瓦礫を片付けた後に、慰霊碑を建てる運びとなった。
よって、各地で作業が進められている…。
そうしたなか、今日に至るまで、南陸に存在している[人間の国]の多くが、連合に加わった。
一方、西陸からも、[ニッショウ国]へ代わる代わると使者が赴いている。
ただし、どちらの大陸も、神どもの占領地から遠く離れた国々は、動こうとしていない。
神々と戦ったことがないのが理由だろう。
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或いは日和見の可能性がある。
こうしたなかで、城に訪れたのは、“獣王”だった―。
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