268 / 300
― 第六章・吉凶禍福 ―
第268話 揺籃期・承
しおりを挟む
調印に関して語らい終えた紫蓮が、ナーガリーの後ろに控えている人々のなかで、ある男性に、
「久しぶりだな。」
ふと声をかけた。
これに、
「はッ!」
「ご無沙汰しております!!」
恐縮した感じで返したのは“フーマー”である。
彼は、以前、[妖怪ノ国]で、〝どちらが試合に出るのか〟を賭けて、紫蓮と勝負した者だ。
「……、なんか、態度が変わったな。」
紫蓮が指摘したところ、
「今や、貴殿は、国主であらせられます。」
「無礼のないように接するのは当然でございましょう。」
そう述べるフーマーだった。
これに、
「成程、な。」
紫蓮が理解を示す。
そうした流れで、
「皆さん、長旅でお疲れでしょう。」
「お部屋を用意していますので、ひとまず、ご休憩ください。」
「夕刻には歓迎の宴を催します。」
「詳しい事は、ペイニー外相から説明がありますので、お聞きください。」
「我々は、まだ公務が残っているため、一旦、失礼いたします。」
このように伝える“タリアノ宰相”であった……。
あれから、ナーガリーたちは、1泊したらしい。
なお、宴会には、[GOD SLAYER’S]の全メンバーが参加したみたいだ…。
城の庭にて、
「それではまたいつか、お会いしましょう。」
お辞儀したナーガリーに、紫蓮が〝ああ〟と頷く。
タリアノやペイニーに、“ランソワ内相”も、お見送りするなか、女性魔術士の【瞬間移動】で帰国するナーガリー達だった……。
5日後の朝に訪問してきたのは、“真成”である。
やはり数十人の護衛を連れている彼は“忍者マスターの孫”だ。
知った顔の人々との再会を、何より喜んだのは、勿論、“撫子農水相”であった。
「まさか、国を建てたうえに、大臣になるとはな…。」
「ちゃんと務まっているのか??」
少なからず心配した真成に、
「ま、決して苦手な分野を担当しておるわけではないからなッ!」
「寧ろ好調なぐらいだ!!」
満面の笑みで答えた撫子である…。
紫蓮と真成が、確認を済ませた。
ちなみに、“ナーガリー”や“真成”は、代理人であるため、調印についての書類は、それぞれ、国主である父親に渡すらしい。
昼食会にて、勢揃いした[ゴッド・スレイヤーズ]と、[忍一団]が、談笑していった。
暫しの時が経ち、真成らは、自国へと帰ったのである。
補足として、他の国々も[ニッショウ]へと使者を送っているので、いずれ到着することだろう。
このよう状況で、更に一ヶ月ほどが過ぎた。
誰もが、庭の南側に集まっている。
夕方になろうかとしている頃に、全員が南西の空に視線を送っていた。
そこへ、太陽を背にした[黒い物体]が、徐々に近づいて来たのである。
はっきりと見えるようになったあたりで、
「おぉ―ッ!」
「本当に船が飛んでおる!!」
瞳を輝かせたのは、“百桃星憲兵隊長”だった。
彼女だけでなく、
「すっげぇなッ!」
“グーラン大将軍”に、
「まったくだ!!」
“フゥーリカン副将軍”と、
「うむ! うむッ!!」
撫子もまた、興奮を隠せずにいる。
これら以外の者らも、どこか〝ワクワク〟しているみたいだ。
そうしたなかで、
「どうやら、なんの問題もないようだな。」
安堵して呟いたのは、“スリア科技相”だ。
このような状況で、庭に着陸すべく、下降してくる[中型船]であった―。
「久しぶりだな。」
ふと声をかけた。
これに、
「はッ!」
「ご無沙汰しております!!」
恐縮した感じで返したのは“フーマー”である。
彼は、以前、[妖怪ノ国]で、〝どちらが試合に出るのか〟を賭けて、紫蓮と勝負した者だ。
「……、なんか、態度が変わったな。」
紫蓮が指摘したところ、
「今や、貴殿は、国主であらせられます。」
「無礼のないように接するのは当然でございましょう。」
そう述べるフーマーだった。
これに、
「成程、な。」
紫蓮が理解を示す。
そうした流れで、
「皆さん、長旅でお疲れでしょう。」
「お部屋を用意していますので、ひとまず、ご休憩ください。」
「夕刻には歓迎の宴を催します。」
「詳しい事は、ペイニー外相から説明がありますので、お聞きください。」
「我々は、まだ公務が残っているため、一旦、失礼いたします。」
このように伝える“タリアノ宰相”であった……。
あれから、ナーガリーたちは、1泊したらしい。
なお、宴会には、[GOD SLAYER’S]の全メンバーが参加したみたいだ…。
城の庭にて、
「それではまたいつか、お会いしましょう。」
お辞儀したナーガリーに、紫蓮が〝ああ〟と頷く。
タリアノやペイニーに、“ランソワ内相”も、お見送りするなか、女性魔術士の【瞬間移動】で帰国するナーガリー達だった……。
5日後の朝に訪問してきたのは、“真成”である。
やはり数十人の護衛を連れている彼は“忍者マスターの孫”だ。
知った顔の人々との再会を、何より喜んだのは、勿論、“撫子農水相”であった。
「まさか、国を建てたうえに、大臣になるとはな…。」
「ちゃんと務まっているのか??」
少なからず心配した真成に、
「ま、決して苦手な分野を担当しておるわけではないからなッ!」
「寧ろ好調なぐらいだ!!」
満面の笑みで答えた撫子である…。
紫蓮と真成が、確認を済ませた。
ちなみに、“ナーガリー”や“真成”は、代理人であるため、調印についての書類は、それぞれ、国主である父親に渡すらしい。
昼食会にて、勢揃いした[ゴッド・スレイヤーズ]と、[忍一団]が、談笑していった。
暫しの時が経ち、真成らは、自国へと帰ったのである。
補足として、他の国々も[ニッショウ]へと使者を送っているので、いずれ到着することだろう。
このよう状況で、更に一ヶ月ほどが過ぎた。
誰もが、庭の南側に集まっている。
夕方になろうかとしている頃に、全員が南西の空に視線を送っていた。
そこへ、太陽を背にした[黒い物体]が、徐々に近づいて来たのである。
はっきりと見えるようになったあたりで、
「おぉ―ッ!」
「本当に船が飛んでおる!!」
瞳を輝かせたのは、“百桃星憲兵隊長”だった。
彼女だけでなく、
「すっげぇなッ!」
“グーラン大将軍”に、
「まったくだ!!」
“フゥーリカン副将軍”と、
「うむ! うむッ!!」
撫子もまた、興奮を隠せずにいる。
これら以外の者らも、どこか〝ワクワク〟しているみたいだ。
そうしたなかで、
「どうやら、なんの問題もないようだな。」
安堵して呟いたのは、“スリア科技相”だ。
このような状況で、庭に着陸すべく、下降してくる[中型船]であった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる