GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第268話 揺籃期・承

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調印に関して語らい終えた紫蓮しれんが、ナーガリーの後ろに控えている人々のなかで、ある男性に、

「久しぶりだな。」

ふと声をかけた。

これに、

「はッ!」
「ご無沙汰しております!!」

恐縮した感じで返したのは“フーマー”である。

彼は、以前、[妖怪ノ国]で、〝どちらが試合に出るのか〟を賭けて、紫蓮と勝負した者だ。

「……、なんか、態度が変わったな。」

紫蓮が指摘したところ、

「今や、貴殿は、国主であらせられます。」
「無礼のないように接するのは当然でございましょう。」

そう述べるフーマーだった。

これに、

「成程、な。」

紫蓮が理解を示す。

そうした流れで、

「皆さん、長旅でお疲れでしょう。」
「お部屋を用意していますので、ひとまず、ご休憩ください。」
「夕刻には歓迎の宴を催します。」
「詳しい事は、ペイニー外相から説明がありますので、お聞きください。」
「我々は、まだ公務が残っているため、一旦、失礼いたします。」

このように伝える“タリアノ宰相”であった……。


あれから、ナーガリーたちは、1泊したらしい。

なお、宴会には、[GOD SLAYER’S]の全メンバーが参加したみたいだ…。

城の庭にて、

「それではまたいつか、お会いしましょう。」

お辞儀したナーガリーに、紫蓮が〝ああ〟と頷く。

タリアノやペイニーに、“ランソワ内相”も、お見送りするなか、女性魔術士の【瞬間移動】で帰国するナーガリー達だった……。


5日後の朝に訪問してきたのは、“真成まさなり”である。

やはり数十人の護衛を連れている彼は“忍者マスターの孫”だ。

知った顔の人々との再会を、何より喜んだのは、勿論、“撫子なでしこ農水相”であった。

「まさか、国を建てたうえに、大臣になるとはな…。」
「ちゃんと務まっているのか??」

少なからず心配した真成に、

「ま、決して苦手な分野を担当しておるわけではないからなッ!」
「寧ろ好調なぐらいだ!!」

満面の笑みで答えた撫子である…。


紫蓮と真成が、確認を済ませた。

ちなみに、“ナーガリー”や“真成”は、代理人・・・であるため、調印についての書類は、それぞれ、国主である父親に渡すらしい。


昼食会にて、勢揃いした[ゴッド・スレイヤーズ]と、[しのび一団]が、談笑していった。

暫しの時が経ち、真成らは、自国へと帰ったのである。


補足として、他の国々も[ニッショウ]へと使者を送っているので、いずれ到着することだろう。

このよう状況で、更に一ヶ月ほどが過ぎた。

誰もが、庭の南側に集まっている。

夕方になろうかとしている頃に、全員が南西の空に視線を送っていた。

そこへ、太陽を背にした[黒い物体]が、徐々に近づいて来たのである。

はっきりと見えるようになったあたりで、

「おぉ―ッ!」
「本当にが飛んでおる!!」

瞳を輝かせたのは、“百桃星ももせ憲兵隊長”だった。

彼女だけでなく、

「すっげぇなッ!」

“グーラン大将軍”に、

「まったくだ!!」

“フゥーリカン副将軍”と、

「うむ! うむッ!!」

撫子もまた、興奮を隠せずにいる。

これら以外の者らも、どこか〝ワクワク〟しているみたいだ。

そうしたなかで、

「どうやら、なんの問題もないようだな。」

安堵して呟いたのは、“スリア科技相”だ。

このような状況で、庭に着陸すべく、下降してくる[中型船]であった―。
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