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― 第六章・吉凶禍福 ―
第267話 揺籃期・起
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[ゴッド・スレイヤーズ]の多くは、慣れない公務に疲労が蓄積しつつある。
ただし、“科技相のスリア”は得意分野を担当しているためか、活き活きしていた。
“農水相の撫子”は、地元にいたときに何度となく田畑を耕したり川漁を行なっていたので、そこまで問題なさそうだ。
おバカなほうではある“大将軍のグーラン”と“副将軍のフゥーリカン”も、戦闘関係は一流のため、練兵などに滞りはない。
一方で、他の面子は、日々、頭を悩ませている。
なかでも、タリアノは、“宰相”であるのと共に“軍師”も担っているため、繁忙されていた。
また、全ての決定権を有する“国主の紫蓮”も、いろいろと吟味せねばならず、あまり休めていない。
各自をサーヴァントが手助けしているが、基本的には、書類整理や伝達に、念の為の近辺警備である。
こうした状況で一ヶ月が過ぎた頃に、彼らを訪ねて来た者がいた。
城の敷地内で、数十人に護衛された[馬車]から、ドレス姿の若い女性が降りてくる。
出迎えているのは、ペイニーだ。
左右の手でつまんだ自身のスカートを軽く持ち上げた貴賓が、
「お久しぶりです。」
“ニッショウ国の外相”に会釈した。
それに対し、
「ようこそ、お越しくださいました。」
ペイニーもまた頭を下げる。
「なんだか他人行儀ですわね。」
こう述べつつ微笑んだ女性に、
「まぁ、以前とは違って立場がありますので。」
少なからず困り顔となるペイニーだった。
そんな外相の後ろには、5体のサーヴァントに、何人かの男女が控えている。
いずれにしろ。
「広間に御案内しますので、どうぞこちらへ。」
ペイニーが客人たちを先導していく。
これに従っているのは“サガーミィー国主の娘”こと“ナーガリー”だ。
そう、かつて紫蓮らと[妖怪ノ国]に渡った女性である……。
[広間]にて。
ペイニーとナーガリーが談笑していた。
なんでも、ナーガリー達は、ニッショウの[東の港町]に船で到着したあと、陸路を進んできたそうだ。
ちなみに、馬車一式は、船に乗せて運んだらしい。
さておき。
ここへ、“紫蓮・タリアノ・ランソワ・ルウェー・涼音・ランダ―”が、それぞれにサーヴァントを伴って、入室してくる。
彼ら以外は、仕事の都合により出払っていた…。
静かに起立して、
「新たな国家の誕生、誠におめでとうございます。」
淑女らしく挨拶したナーガリーに、紫蓮たちが一礼する。
「それにしても。」
「まさか、このようなことになるとは思いもよりませんでしたわ。」
そう述べたナーガリーに、
「ああ、俺もだ。」
いささか眉間にシワを寄せる紫蓮であった……。
彼らが椅子に腰かけた流れで、
「積もる話しは後程にして、早速ではありますが本題に入りましょう。」
こう勧めたのは、タリアノだ。
今から数日前、“サガーミィー国主”より書状が届けられている。
そこに記されていたのは〝世界的な連合に加わるべく、ニッショウ国と盟を結びたい〟といった内容であった。
このため、あちらの国主は、紫蓮達と友情を築いたナーガリーを、遣わせたのである。
いや、実際のところは、本人が志願したらしい…。
かくして、双方が調印に向けて語り合ってゆく。
なお、魔族/妖怪/オワ-リンは、既に署名などを終わらせている。
それらを除いた参加国は、現在、[ニッショウ]へと使者を送っている最中だった―。
ただし、“科技相のスリア”は得意分野を担当しているためか、活き活きしていた。
“農水相の撫子”は、地元にいたときに何度となく田畑を耕したり川漁を行なっていたので、そこまで問題なさそうだ。
おバカなほうではある“大将軍のグーラン”と“副将軍のフゥーリカン”も、戦闘関係は一流のため、練兵などに滞りはない。
一方で、他の面子は、日々、頭を悩ませている。
なかでも、タリアノは、“宰相”であるのと共に“軍師”も担っているため、繁忙されていた。
また、全ての決定権を有する“国主の紫蓮”も、いろいろと吟味せねばならず、あまり休めていない。
各自をサーヴァントが手助けしているが、基本的には、書類整理や伝達に、念の為の近辺警備である。
こうした状況で一ヶ月が過ぎた頃に、彼らを訪ねて来た者がいた。
城の敷地内で、数十人に護衛された[馬車]から、ドレス姿の若い女性が降りてくる。
出迎えているのは、ペイニーだ。
左右の手でつまんだ自身のスカートを軽く持ち上げた貴賓が、
「お久しぶりです。」
“ニッショウ国の外相”に会釈した。
それに対し、
「ようこそ、お越しくださいました。」
ペイニーもまた頭を下げる。
「なんだか他人行儀ですわね。」
こう述べつつ微笑んだ女性に、
「まぁ、以前とは違って立場がありますので。」
少なからず困り顔となるペイニーだった。
そんな外相の後ろには、5体のサーヴァントに、何人かの男女が控えている。
いずれにしろ。
「広間に御案内しますので、どうぞこちらへ。」
ペイニーが客人たちを先導していく。
これに従っているのは“サガーミィー国主の娘”こと“ナーガリー”だ。
そう、かつて紫蓮らと[妖怪ノ国]に渡った女性である……。
[広間]にて。
ペイニーとナーガリーが談笑していた。
なんでも、ナーガリー達は、ニッショウの[東の港町]に船で到着したあと、陸路を進んできたそうだ。
ちなみに、馬車一式は、船に乗せて運んだらしい。
さておき。
ここへ、“紫蓮・タリアノ・ランソワ・ルウェー・涼音・ランダ―”が、それぞれにサーヴァントを伴って、入室してくる。
彼ら以外は、仕事の都合により出払っていた…。
静かに起立して、
「新たな国家の誕生、誠におめでとうございます。」
淑女らしく挨拶したナーガリーに、紫蓮たちが一礼する。
「それにしても。」
「まさか、このようなことになるとは思いもよりませんでしたわ。」
そう述べたナーガリーに、
「ああ、俺もだ。」
いささか眉間にシワを寄せる紫蓮であった……。
彼らが椅子に腰かけた流れで、
「積もる話しは後程にして、早速ではありますが本題に入りましょう。」
こう勧めたのは、タリアノだ。
今から数日前、“サガーミィー国主”より書状が届けられている。
そこに記されていたのは〝世界的な連合に加わるべく、ニッショウ国と盟を結びたい〟といった内容であった。
このため、あちらの国主は、紫蓮達と友情を築いたナーガリーを、遣わせたのである。
いや、実際のところは、本人が志願したらしい…。
かくして、双方が調印に向けて語り合ってゆく。
なお、魔族/妖怪/オワ-リンは、既に署名などを終わらせている。
それらを除いた参加国は、現在、[ニッショウ]へと使者を送っている最中だった―。
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