265 / 300
― 第六章・吉凶禍福 ―
第265話 趨勢・其之弐
しおりを挟む
[魔道機関車]が心地よく揺れながら走っている。
車窓からの景色を眺めつつ、
「龍の姿のときは乗れなんだが…、なんとも面白い!!」
新羅が瞳を輝かせた。
球体になって、座席で〝ぴょーん ぴょーん〟と跳ねているのは、来夢である。
久しぶりの機関車が余程嬉しいのだろう。
紫蓮から旅費を預かっている権蔵もまた、どこか楽しげな表情であった……。
途中で宿屋に泊まったり食堂に寄った三体が、城に辿り着く。
それは昼過ぎのことだった。
権蔵が門兵に事情を伝えたところ、[客間]に案内してもらえたのである…。
数分後。
ある男性が入室してきた。
立ち上がったホブゴブリンが、
「お久しぶりです、侍王様。」
丁寧に頭を下げる。
なお、人型になっている来夢と、新羅も、起立している。
〝ん??〟と首を傾げた清虎に、
「自分は権蔵で、こちらは来夢さんであります。」
「あと……、黒龍の新羅さんです。」
このようにホブゴブリンが述べた。
〝ふ…む〟と頷いて、
「つまりは、〝進化した〟ということか。」
理解を示し、
「勇壮になったのう!」
〝ニカッ〟と笑みを浮かべた総帥である……。
紫蓮からの書状を黙読した侍王が、〝ほぉう〟と愉快そうにした。
更には、
「“名も無き旅団”と関わりのある者達と一緒に行動しておるのか。」
懐かしそうに目を細める。
この流れで、
「良かろう。」
「連合に加わるよう子息らに伝えおく。」
「それまでの間、来夢と権蔵は懐かしい顔ぶれに会うがよい。」
穏やかに告げた清虎が、退室していった…。
暫くして、
「本当に姿が変わってるぅ~。」
「これじゃ、前もって説明を受けてなかったら分からないとこだよぉー。」
“リスの半獣”であるラルを先頭に、[侍王の近衛衆]が訪れたのである。
「お久しぶりです、皆さん。」
権蔵が会釈するなか、来夢は〝おぉー♪〟と喜んでいた。
初対面の新羅は、反応がない。
いや、かつて[妖怪ノ国]にいた“狐の櫻莉”と“熊のバーガイン”に気づいたみたいだ。
どうやら、その獣人たちは、総帥に直に仕えるようになったらしい。
いずれにせよ。
積もる話しに花を咲かせていく一同であった……。
メタルスライム/ホブゴブリン/ブラックドラゴンは、“ヒーゴンの現国主”である虎政の[執務室]に通されている。
「“チークゥゴン”を治めている弟も、快諾した。」
「よって、我々は“ニッショウ国”と同盟を結ぶ。」
「その旨を認めた故、持ち帰るがいい。」
「後日にはなるが、こちらより友好の使者を送る。」
「国主殿に諸々よろしくな。」
優しげに喋った虎政に、
「承知しました。」
「ご英断いただき、ありがとうございます。」
権蔵がお辞儀する。
かくして、無事に役目を果たせたサーヴァント達だった―。
車窓からの景色を眺めつつ、
「龍の姿のときは乗れなんだが…、なんとも面白い!!」
新羅が瞳を輝かせた。
球体になって、座席で〝ぴょーん ぴょーん〟と跳ねているのは、来夢である。
久しぶりの機関車が余程嬉しいのだろう。
紫蓮から旅費を預かっている権蔵もまた、どこか楽しげな表情であった……。
途中で宿屋に泊まったり食堂に寄った三体が、城に辿り着く。
それは昼過ぎのことだった。
権蔵が門兵に事情を伝えたところ、[客間]に案内してもらえたのである…。
数分後。
ある男性が入室してきた。
立ち上がったホブゴブリンが、
「お久しぶりです、侍王様。」
丁寧に頭を下げる。
なお、人型になっている来夢と、新羅も、起立している。
〝ん??〟と首を傾げた清虎に、
「自分は権蔵で、こちらは来夢さんであります。」
「あと……、黒龍の新羅さんです。」
このようにホブゴブリンが述べた。
〝ふ…む〟と頷いて、
「つまりは、〝進化した〟ということか。」
理解を示し、
「勇壮になったのう!」
〝ニカッ〟と笑みを浮かべた総帥である……。
紫蓮からの書状を黙読した侍王が、〝ほぉう〟と愉快そうにした。
更には、
「“名も無き旅団”と関わりのある者達と一緒に行動しておるのか。」
懐かしそうに目を細める。
この流れで、
「良かろう。」
「連合に加わるよう子息らに伝えおく。」
「それまでの間、来夢と権蔵は懐かしい顔ぶれに会うがよい。」
穏やかに告げた清虎が、退室していった…。
暫くして、
「本当に姿が変わってるぅ~。」
「これじゃ、前もって説明を受けてなかったら分からないとこだよぉー。」
“リスの半獣”であるラルを先頭に、[侍王の近衛衆]が訪れたのである。
「お久しぶりです、皆さん。」
権蔵が会釈するなか、来夢は〝おぉー♪〟と喜んでいた。
初対面の新羅は、反応がない。
いや、かつて[妖怪ノ国]にいた“狐の櫻莉”と“熊のバーガイン”に気づいたみたいだ。
どうやら、その獣人たちは、総帥に直に仕えるようになったらしい。
いずれにせよ。
積もる話しに花を咲かせていく一同であった……。
メタルスライム/ホブゴブリン/ブラックドラゴンは、“ヒーゴンの現国主”である虎政の[執務室]に通されている。
「“チークゥゴン”を治めている弟も、快諾した。」
「よって、我々は“ニッショウ国”と同盟を結ぶ。」
「その旨を認めた故、持ち帰るがいい。」
「後日にはなるが、こちらより友好の使者を送る。」
「国主殿に諸々よろしくな。」
優しげに喋った虎政に、
「承知しました。」
「ご英断いただき、ありがとうございます。」
権蔵がお辞儀する。
かくして、無事に役目を果たせたサーヴァント達だった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界召喚されたけど必要ないと言われて魔王軍の領地に落とされた私は『魔物使い』の適性持ちですよ?
はむ
ファンタジー
勝手に異世界に召喚しといて必要ないって分かると魔王軍の領地に落とすなんて信じられない!
でも『魔物使い』の適正持ってる私なら…
生き残れるんじゃない???
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~
鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合
戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる
事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる
その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊
中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。
終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人
小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である
劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。
しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。
上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。
ゆえに彼らは最前線に配備された
しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。
しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。
瀬能が死を迎えるとき
とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる