GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第265話 趨勢・其之弐

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[魔道機関車]が心地よく揺れながら走っている。

車窓からの景色を眺めつつ、

「龍の姿のときは乗れなんだが…、なんとも面白い!!」

新羅しんらが瞳を輝かせた。

球体・・になって、座席で〝ぴょーん ぴょーん〟と跳ねているのは、来夢らいむである。

久しぶりの機関車が余程嬉しいのだろう。

紫蓮しれんから旅費を預かっている権蔵ごんぞうもまた、どこか楽しげな表情であった……。


途中で宿屋に泊まったり食堂に寄った三体が、城に辿り着く。

それは昼過ぎのことだった。

権蔵が門兵に事情を伝えたところ、[客間]に案内してもらえたのである…。


数分後。

ある男性が入室してきた。

立ち上がったホブゴブリンが、

「お久しぶりです、侍王様。」

丁寧に頭を下げる。

なお、人型になっている来夢と、新羅も、起立している。

〝ん??〟と首を傾げた清虎きよとらに、

「自分は権蔵で、こちらは来夢さんであります。」
「あと……、黒龍の新羅さんです。」

このようにホブゴブリンが述べた。

〝ふ…む〟と頷いて、

「つまりは、〝進化した〟ということか。」

理解を示し、

「勇壮になったのう!」

〝ニカッ〟と笑みを浮かべた総帥である……。


紫蓮からの書状を黙読した侍王が、〝ほぉう〟と愉快そうにした。

更には、

「“名も無き旅団”と関わりのある者達と一緒に行動しておるのか。」

懐かしそうに目を細める。

この流れで、

「良かろう。」
「連合に加わるよう子息しそくらに伝えおく。」
「それまでの間、来夢と権蔵は懐かしい顔ぶれに会うがよい。」

穏やかに告げた清虎が、退室していった…。


暫くして、

「本当に姿が変わってるぅ~。」
「これじゃ、前もって説明を受けてなかったら分からないとこだよぉー。」

“リスの半獣”であるラルを先頭に、[侍王の近衛衆このえしゅう]が訪れたのである。

「お久しぶりです、皆さん。」

権蔵が会釈するなか、来夢は〝おぉー♪〟と喜んでいた。

初対面の新羅は、反応がない。

いや、かつて[妖怪ノ国]にいた“狐の櫻莉おうり”と“熊のバーガイン”に気づいたみたいだ。

どうやら、その獣人たちは、総帥にじかに仕えるようになったらしい。

いずれにせよ。

積もる話しに花を咲かせていく一同であった……。


メタルスライム/ホブゴブリン/ブラックドラゴンは、“ヒーゴンの現国主”である虎政とらまさの[執務室]に通されている。

「“チークゥゴン”を治めている弟も、快諾した。」
「よって、我々は“ニッショウこく”と同盟を結ぶ。」
「その旨をしたためた故、持ち帰るがいい。」
「後日にはなるが、こちらより友好の使者を送る。」
国主殿・・・に諸々よろしくな。」

優しげに喋った虎政に、

「承知しました。」
「ご英断いただき、ありがとうございます。」

権蔵がお辞儀する。

かくして、無事に役目を果たせたサーヴァント達だった―。
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