264 / 300
― 第六章・吉凶禍福 ―
第264話 趨勢・其之壱
しおりを挟む
妖魔の両軍勢は、それぞれの[港町]に暫く駐屯してくれる運びとなった。
生き残っている神々などが、これらを奪い返しに来るかもしれないので、念の為に警戒しての事である。
その間に、紫蓮たちは、新しい統治者らを決める方針だ。
現時点において、こうした[港町]と、[南方領全域]に[中央領の半分ぐらい]が、〖ニッショウ国〗を名乗っていた。
それら以外は、未だ、動きがない。
ここの王だった“上級神”が討ち取られた件が、全土に広まりきれていないのが原因だ。
今後、隅々にまで伝われば、変化が起きていくであろう。
とは言え、国内に点在している“中小の神ども”が、どう出るかは分からない。
そのため、奴らの心を折るべく、“大規模な連合の結成”が急務であった。
なお、“魔族”と“妖怪”に“オワ-リン”は、既に“ニッショウ”と同盟を結んでいる。
こうした状況を踏まえて、[ゴッド・スレイヤーズ]の面々が実家などに連絡していく…。
一方、龍の姿になっている“新羅”が、よく晴れた空を翔けていた。
その背には、“メタルスライムの来夢”と“ホブゴブリンの権蔵”が乗っている。
余談になるかもしれないが、どちらも、私服だった。
何はともあれ。
〝おぉ――☆〟と瞳を輝かせる来夢が、黒龍に跨ったまま〝ピョンピョン〟と弾みだす。
この後ろで、
「危ないですよ。」
少なからず〝ハラハラ〟する権蔵であった。
そうしたなか、
「いささか飛ばすぞ。」
「落ちてしまわぬよう、しっかり掴まっておれ。」
新羅が声をかける。
メタルスライムとホブゴブリンが両手で鬣を握り締めたところで、加速する黒龍だった……。
出発前、三者に、タリアノがテント(ゲル)を貸してくれていたらしい。
代表して預かっているのは、権蔵だ。
このため、彼らは、道中、適当な地を選んでは、テントで休憩しながら、目的地へと向かったのである。
そうして、およそ十日後には、[ヒーゴンの首都]が見えてきた。
徒歩で陸路を進んだなら軽く四ヶ月は掛かるので、かなり短縮できている。
ただし、新羅だけであれば、もっとスピードを出せたので、より早く辿り着けただろう。
来夢と権蔵を気遣って、ある程度は安全面を考慮したらしい。
この龍が着陸したのは、都の東側だ。
メタルスライムとホブゴブリンが降りるなか、門兵らや、首都に入ろうとしていた人などが、騒然となった。
どうやら、〝モンスター達の襲撃〟と勘違いしたようだ。
兵士にいたっては、援軍を呼ぼうとしている。
それを察した権蔵が、
「待ってください!!」
「我々は、侍王の元近衛衆です!」
「主君である“紫蓮”という人物から、清虎公への書状を預かっています!!」
そのように告げた。
これによって、目を凝らした一人の兵が、
「額にサーヴァントの印があるな。」
冷静さを取り戻し、
「詳しい話しを聞かせてもらおう。」
そう述べたのである…。
門の脇にて。
40代前半であろう男性兵士に、ホブゴブリンが経緯を説明してゆく。
ちなみに、新羅は人型になっていた。
勿論、私服である。
さておき……。
「そんなことになっているとはなぁ。」
目を丸くしつつ〝へぇ~〟と理解を示した兵士を、
「ところで。」
「侍王は、今、こちらに??」
「それとも、まだ、“チークゥゴン”で生活していらっしゃるのでしょうか?」
権蔵が窺う。
「いや、つい先日、ご帰還なされた。」
「なので、総帥閣下は、現在、ここの城で暮らしておられる。」
このように教えてくれた兵が、
「さぁ、入るがよい。」
門の通過を穏やかに許可する。
それによって、ひとまず安堵する三体であった―。
生き残っている神々などが、これらを奪い返しに来るかもしれないので、念の為に警戒しての事である。
その間に、紫蓮たちは、新しい統治者らを決める方針だ。
現時点において、こうした[港町]と、[南方領全域]に[中央領の半分ぐらい]が、〖ニッショウ国〗を名乗っていた。
それら以外は、未だ、動きがない。
ここの王だった“上級神”が討ち取られた件が、全土に広まりきれていないのが原因だ。
今後、隅々にまで伝われば、変化が起きていくであろう。
とは言え、国内に点在している“中小の神ども”が、どう出るかは分からない。
そのため、奴らの心を折るべく、“大規模な連合の結成”が急務であった。
なお、“魔族”と“妖怪”に“オワ-リン”は、既に“ニッショウ”と同盟を結んでいる。
こうした状況を踏まえて、[ゴッド・スレイヤーズ]の面々が実家などに連絡していく…。
一方、龍の姿になっている“新羅”が、よく晴れた空を翔けていた。
その背には、“メタルスライムの来夢”と“ホブゴブリンの権蔵”が乗っている。
余談になるかもしれないが、どちらも、私服だった。
何はともあれ。
〝おぉ――☆〟と瞳を輝かせる来夢が、黒龍に跨ったまま〝ピョンピョン〟と弾みだす。
この後ろで、
「危ないですよ。」
少なからず〝ハラハラ〟する権蔵であった。
そうしたなか、
「いささか飛ばすぞ。」
「落ちてしまわぬよう、しっかり掴まっておれ。」
新羅が声をかける。
メタルスライムとホブゴブリンが両手で鬣を握り締めたところで、加速する黒龍だった……。
出発前、三者に、タリアノがテント(ゲル)を貸してくれていたらしい。
代表して預かっているのは、権蔵だ。
このため、彼らは、道中、適当な地を選んでは、テントで休憩しながら、目的地へと向かったのである。
そうして、およそ十日後には、[ヒーゴンの首都]が見えてきた。
徒歩で陸路を進んだなら軽く四ヶ月は掛かるので、かなり短縮できている。
ただし、新羅だけであれば、もっとスピードを出せたので、より早く辿り着けただろう。
来夢と権蔵を気遣って、ある程度は安全面を考慮したらしい。
この龍が着陸したのは、都の東側だ。
メタルスライムとホブゴブリンが降りるなか、門兵らや、首都に入ろうとしていた人などが、騒然となった。
どうやら、〝モンスター達の襲撃〟と勘違いしたようだ。
兵士にいたっては、援軍を呼ぼうとしている。
それを察した権蔵が、
「待ってください!!」
「我々は、侍王の元近衛衆です!」
「主君である“紫蓮”という人物から、清虎公への書状を預かっています!!」
そのように告げた。
これによって、目を凝らした一人の兵が、
「額にサーヴァントの印があるな。」
冷静さを取り戻し、
「詳しい話しを聞かせてもらおう。」
そう述べたのである…。
門の脇にて。
40代前半であろう男性兵士に、ホブゴブリンが経緯を説明してゆく。
ちなみに、新羅は人型になっていた。
勿論、私服である。
さておき……。
「そんなことになっているとはなぁ。」
目を丸くしつつ〝へぇ~〟と理解を示した兵士を、
「ところで。」
「侍王は、今、こちらに??」
「それとも、まだ、“チークゥゴン”で生活していらっしゃるのでしょうか?」
権蔵が窺う。
「いや、つい先日、ご帰還なされた。」
「なので、総帥閣下は、現在、ここの城で暮らしておられる。」
このように教えてくれた兵が、
「さぁ、入るがよい。」
門の通過を穏やかに許可する。
それによって、ひとまず安堵する三体であった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~
鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合
戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる
事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる
その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊
中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。
終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人
小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である
劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。
しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。
上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。
ゆえに彼らは最前線に配備された
しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。
しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。
瀬能が死を迎えるとき
とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる
ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。
彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。
だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。
結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。
そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた!
主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。
ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる