GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第263話 日出処

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午後となり、東と北の“港町”から、[妖王あやかしおう]と[四魔将軍の一角]が、それぞれに数体の護衛を連れて、城に渡って来た。

どちらも、かつて何度か城に訪れたことがある“南陸なんりく第十三神国しんこくの魔術士達”の【瞬間移動】によるものだ。

これは、昨夜のうちに、百桃星ももせと、イリィターンが、ブレスレットを通じて連絡した為である。

“第一広間”にて。

彼らと[ゴッド・スレイヤーズ]が一堂いちどうかいす。

そうして、今回の礼に、紫蓮しれんから妖王と四魔将軍に“金銀財宝”が送られた。

「結構な量ですな。」

いささか目を丸くした四魔将軍に、

「〝まだまだ有り余っているから問題ない〟と、国主・・の判断だ。」

こう告げたイリィターンが、

「な?」

紫蓮を窺う。

〝ああ〟と紫蓮が肯定した事によって、

「それでは遠慮なく頂戴し、魔王陛下に必ずやお届け致します。」

そのように述べた四魔将軍が、報酬を【亜空間】に収納する。

これに続いた妖王に、

「……、ところで。」
「国名は決めているのか??」
「無論これまで通りという訳にはいかんだろ?」

ふと視線を送られて、

「いぃや、残念ながら。」

首を横に振った百桃星が、

「叔父上がたがお越しになられるまで、いろいろと意見を出しうたのだが、定まってはおらぬ。」
「の?」

やはり紫蓮のほうを見るのだった。

「まぁ、できるだけ早くしたいところではあるんだが、これといったものがな…。」

紫蓮が軽く眉間にシワを寄せたら、

「我々は不慣れなので、ご教示いただけませんか??」

タリアノが妖王に尋ねたのである。

〝ふぅむ〟と頷き、

「そなたらは、これより先、大規模な連合を成して、神どもを漏らさず撃砕げきさいしたいのだろう?」
「ならば、変革の志を込めてはどうだ??」

そう提案する妖王であった。

これを受けて、

「〝歴史を変える〟と言えば、スリアさんですよね。」

意見したルウェーを、

「確かにな!!」

グーランが後押しする。

全員の注目を集めた彼女が、

「……。」
「実は、あれからもアタシなりに考えていたんだが…。」
「〝新たな時代のる〟で、“ニッショウ”とかは、どうだろうか?」
「安易な感じはするけど。」

そのように伝えたら、

「良いのではないか??!」
「私は気に入ったぞ!!」

撫子なでしこが賛成し、

「うむ!」
わらわもだ!!」

笑顔となる百桃星だった。

他に反対者がいなかったこともあって、こう決定したのである……。


妖怪と魔族が城を発ってから、

「それでは、国内はもとより、各実家などに、報せるとしましょう。」

タリアノがみなを誘導したのであった。

誰もが了解するなか、

「あー、…、清虎公とかの連絡先、分からなねぇんだよな、俺。」

紫蓮が呟く。

「え?」
「マジか??」

フゥーリカンが反応したところで、

「だったら、書状を出す?」
「位置的に割と日数が掛かるでしょうけど。」

そのようにペイニーが勧める。

「成程。」

納得する紫蓮に、

われが空を翔けようぞ。」
「現在の我の本来の姿であれば、それなりに速く辿り着けるであろうからな。」

こう自薦したのは、当然、新羅しんらだった。

「悪くねぇ案だが、清虎公と面識ないだろ、お前。」

紫蓮の指摘によって、

「でしたら、自分が御一緒しましょう。」
「背中に乗せてもらえるのであれば。」

そう立候補した権蔵ごんぞうである。

「構わんぞ。」

新羅が承諾した事で、

「それ楽しそうだから、私も。」

このように口を開く来夢らいむであった。

それらによって、

「じゃあ、ちょっと待ってろ。」
「一筆したためるから。」

紫蓮が方針を固める。

かくして、転換期を迎える[GOD SLAYER’S]だった―。
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