GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第260話 迫撃・前編

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【瞬間移動】で一度に運べるのは〝百人迄〟である。

そのため、千人が、十組に分かれて、王城に乗り込むことになった。

作戦は、こうだ。

まず、四組が、庭の東西南北に現れる。

それによって、間違いなく騒ぎが起きるだろう。

この1分後に、残りの六組が城内に【テレポート】する。

候補は“玉座の間・第一広間・第二広間・執務室・一階エントランス・食堂”であった。

「王は何処にいると思う?」

ラーザの問い掛けに、

「……。」

いささか考え込んだ“60代前半の女性魔術士”が、

「どちらかの広間で会議を行なっているか、執務室にいるかと…。」

そう答えたのである。

「じゃあ、担当する場所を決めていこう。」

ラーザに声をかけられ、肯定的に頷く紫蓮しれんだった……。


やや時間が経ち、ほぼ日が沈んだ事で、薄暗くなっている。

理由としては、城で戦う精鋭をりすぐっていたからだ。

なお、[ゴッド・スレイヤーズ]を除いた九組は、[オワ-リン兵]を中心に、投降した[南陸なんりく第十三神国しんこく]の者らで、編成されている。

とにもかくにも。

[第一陣]の400人が、庭へと【瞬間移動】した。

四方にて、いきなり出現した“謎の集団”に、城兵どもが驚き慌てだす。

ここを、すかさず[第一陣]が攻撃していく…。


1分後、[第二陣]が【テレポーテーション】する。

城内の至る所では、敵兵達が〝ドタバタ〟していた。

それぞれ、庭の東西南北に向かっている最中だ。

こうした状況にて。

[一階エントランス]に、1つのグループが【瞬間移動】して来た。

それに気づいた幾らかの兵が、

「なんだ??! お前らは!!?」

すぐさま足を止める。

味方を率いている“50代前半の男性騎士”は、髭の生えたあごを左手で〝ボリボリ〟と掻いて、

「忙しそうなとこわりぃが、ちと付き合ってもらうぜ。」

余裕の笑みを浮かべた。

この流れで、真顔となり、右手で[大剣]を抜きながら、

「さぁ、魂を燃やせ!」

仲間に本気で告げる……。

[食堂]にも“連合部隊”が現れていた。

その指揮官は、“40代後半の女性剣士”だ。

突然のことに、皿などをテーブルに並べていた給仕らが〝ギョッ!!〟とする。

こうしたなかで、辺りを見回した“女性剣士”は、

ハズレ・・・だったみたいね。」
「他を当たりましょう。」
「魂を燃やすために。」

そのように味方に伝えるのであった…。

[玉座の間]には、将軍たちが【テレポート】している。

「ふむ。」
「誰もおらぬか。」

こう呟いた将軍が、

「別の場所に赴くぞ!」
「魂を燃やすためにもな!!」

高らかに述べた……。

[執務室]にて、

「此処ではなかったみたいですね。」

そう口にしたのは、“ラーザの叔母”だ。

更に、

「仕方ありません。」
「取り敢えず、出ましょう。」
「このままでは魂を燃やせませんからね。」

このように指示する“ルリィザ”だった…。

それらが殆ど同時に進行していき、四連続で〝くしゃみ〟をしたのは、ラーザである。

「風邪ぇ??」

心配そうに尋ねたラットに、

「いっやぁ~?」
「全くもって絶好調だけど??」
「誰かが噂でもしているのかな??」

ラーザが首を傾げた。

「だったら早いところ、ここから移ろう。」
「第二広間は違ったみたいだからな。」

こう秀嗣ひでつぐが促すと、

「あぁ、俺達が魂を燃やす前に終わってしまうかもしれんしな。」

ニヤついた弥太郎やたろうである。

それに、

「うん!」
「そうだねッ!!」

ラーザが少なからず機嫌を損ね、周りが〝クスクス〟しだす……。

 [第一広間]では会議が開かれている。

ここには、上級神である“王”はもとより、二十はしらの中級神が集まっていた。

連中は防具を装備しておらず、王族貴族らしい煌びやかな服装だ。

各自の背後には、武器を預けられている下級神らが佇んでいた。

ちなみに、広間自体は結構な面積なので、スペースには六割ほどの余裕がある。

そこ・・に【テレポーテーション】してきたのは、[GOD SLAYER’S]であった―。
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