GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第六章・吉凶禍福 ―

第258話 狡猾

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総大将が、上体を起こす。

そこへ、夜摩やまが[ハルバード槍斧]で平原を擦り上げる。

これによって、10㎝、20㎝、30㎝、40㎝、…、と、段々に隆起していった地面が、2.5Mくらいの高さになったところで、中級神に直撃した。

「ぐあッ!!」

ダメージを負いながら弾き飛ばされた“3M級・・・の男神《おがみ》”が、陸を転がる。

そうしたなかで、夜摩と美麗みれいが改めて近くづいてゆく。

「ぬッうぅ~ッ。」

ふらつきながら立った総大将に、美麗が40㎝大の[氷のつぶて]を200個ほど飛ばす。

これら・・・は、ことごとく命中するなり〝ビキビキビキビキィーッ〟と凍り付いて、〝バリィンッ!〟と割れた。

その流れで、

「がはッ!!」

吐血した中級神が、うつ伏せで倒れる。

再び起き上がろうとするも力が入らない様子の男神に〝のそり〟と寄って、

「ふんッ!」

後頭部へと[ハルバード]を振り下ろす夜摩であった。



空中では、総大将が討ち取られた事に気づいた下級神らが逃げ出す。

とは言え、生き残っているのは僅かばかりのようだ。

このため、〝追わなくていい〟との紫蓮しれんの指示によって、戦闘をめる新羅しんらたちだった…。


敵軍の人間とサーヴァント達が、オワ-リンに投降する。

そうした約100万の敗残兵らは、一ヵ所に集められた。

この眼前に、国元から持ち運んでいたらしい“木製の指揮台”が置かれる。

紫蓮を連れて、台にのぼったラーザが、

「もう既に知っている者もいるとは思うが、全員に伝えておく!!」
「此度のいくさは、を国主にするためのものだ!」
「つまり、オワ-リンに妖怪と魔族による侵略ではない!!」
「そのため、これより先、君らは、紫蓮に従え!」
「自分たちの国を神々から解放するために!!」

そう宣言した。

これによって、40代後半あたりの男性が、

「紫蓮様に忠誠を!」

すぐさま跪く。

その男は、反旗を翻した際の中心人物らしい。

いずれにしろ。

敵対していた者らが、これにならうのであった……。


あれから四日が経っている。

およそ500万となった軍勢は、王都に到着し、東西南北の門に分かれて待機していた。

現在は夕方である。

ここへ、一柱の下級神が南側に飛来した。

誰もが身構えるなか、“2M級・・・の男神”が宙で停止する。

「王城よりの使いである!!」
「陛下は〝都に侵入しようものなら住民ごと殺す〟〝明日の正午まで猶予を与えるゆえ撤退せよ〟との仰せだ!」
「お前らを統率している者に必ず知らせよ!!」

そう述べて、去っていく下級神だった…。


本部のテント(ゲル)には、主だった面子が揃っている。

なお、[GOD SLAYER’S]のサーヴァント達は、“本部テント”の外に控えていた。

うちでは会議が開かれている……。

「それにしても困ったねぇ。」
「王都ごとしちに取って、脅しをかけてくるとは。」

半ば呆れているのは、ラーザだ。

更に、彼女の叔母にあたるルリィザが、

「まったく、馬鹿げた話しです。」

眉間にシワを寄せた。

「何かしらの策を用いりたいところですが…、これといって思いつきません。」

渋い表情となったのは、秀嗣ひでつぐである。

全員が〝ん~〟と頭を捻らしたら、

「あのぉー。」
「少しよろしいでしょうか??」

話しが聞こえていたらしい権蔵ごんぞうが出入口より顔を覗かせた。

「どうした?」

紫蓮が尋ねたところ、

「かつて、清虎きよとら公がなされたように、直接お城の中に行ければ、上手く解決できるかと。」

このように提案した権蔵である。

「あ!」
あの時の・・・・か。」

記憶を辿った紫蓮に、

「侍王は、どんな手を??」

興味深そうにする弥太郎やたろうであった―。
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