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― 第六章・吉凶禍福 ―
第255話 到来・序
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夜が深まり始めたところで、イリィターンの“ブレスレット”に連絡が入る。
相手は[四魔将軍の一角]であった。
どうやら、海戦で勝利を収めたらしい。
また、こちらも、数柱の“下級神”を敢えて逃したそうだ。
ソイツラによって情報が伝われば、[南陸第十三神国]に更なる動揺が広がるだろうとの計算である。
なお、“神どもの船”を幾らか壊したので、代わりの戦艦を寄贈してもらえるよう魔王に頼んでみるらしい。
「大儀。」
こう告げた[第四魔王子]に、
「ありがたき幸せにございます。」
画面ごしに頭を下げる将軍だった……。
オワ-リン軍が北上を続けて三日が経っている。
南方と中央の“領境”には、およそ100万の敵軍が待ち構えていた。
そこから数キロ離れた場所にて、全隊を止まらせたラーザが、斥候による報せを、馬上で受ける。
「もともと“東の軍港”に向かう筈だったのが、途中で“王都”に進路変更した軍勢のようです。」
「おそらくは、妖怪に港を陥された事を聞き、慌ててこちらに赴いたのでしょう。」
「〝国王の逆鱗に触れ、処刑されるかもしれない〟と恐れて。」
こう述べた30代半ばくらいの男性に、
「そっか、分かった。」
「ご苦労だったね。」
優しく微笑んだラーザは、すぐに真剣な表情となって、
「各司令官に、状況を教えるのと共に陣形を整えるよう、下知してくれ!」
近くに控えていた伝令係達を、走らせるのであった…。
午後三時過ぎ。
天候、晴れ。
平原にて、双方が相まみえた。
オワ-リン軍の“先駆け”は、[ゴッド・スレイヤーズ]である。
前もって、〝俺たちが最も危険な任に就かなければ誰も納得しないだろう〟と紫蓮が主張したのを、ラーザが承諾した結果だ。
ちなみに……、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫蓮
百桃星 イリィターン
グーラン フゥーリカン
撫子
ペイニー ランダ―
ランソワ
ルウェー 涼音
タリアノ
スリア
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そのような編成になっていた。
個々の側には、当然、サーヴァントやロボットが居る。
いずれにせよ。
オワ-リンの[本隊]にて、
「こちらより圧倒的に少ない数で挑んでこようとは、敵は必死みたいですね。」
ラーザの叔母こと“ルリィザ”が何気に口を開く。
これが耳に入ったらしい弥太郎が、
「もしかしたら、援軍による奇襲が起きるやもしれません。」
「念の為に警戒を怠らないようにしましょう。」
そう述べた。
「確かに。」
〝ふむ〟と頷いたルリィザは、銀製の[騎士の鎧]と[サークレット型の兜]を装備しており、[白マント]を纏っている。
武器は左腰に帯びている[中剣]みたいだ。
いささか緊張に包まれていくなかで、
「ま、どんな手を打ってこようが関係ないさ。」
「予定どおりに運べば、ボクらのほうへと一気に形勢が傾くだろうからね。」
〝フッ〟と笑みを零す“ラーザ”だった―。
相手は[四魔将軍の一角]であった。
どうやら、海戦で勝利を収めたらしい。
また、こちらも、数柱の“下級神”を敢えて逃したそうだ。
ソイツラによって情報が伝われば、[南陸第十三神国]に更なる動揺が広がるだろうとの計算である。
なお、“神どもの船”を幾らか壊したので、代わりの戦艦を寄贈してもらえるよう魔王に頼んでみるらしい。
「大儀。」
こう告げた[第四魔王子]に、
「ありがたき幸せにございます。」
画面ごしに頭を下げる将軍だった……。
オワ-リン軍が北上を続けて三日が経っている。
南方と中央の“領境”には、およそ100万の敵軍が待ち構えていた。
そこから数キロ離れた場所にて、全隊を止まらせたラーザが、斥候による報せを、馬上で受ける。
「もともと“東の軍港”に向かう筈だったのが、途中で“王都”に進路変更した軍勢のようです。」
「おそらくは、妖怪に港を陥された事を聞き、慌ててこちらに赴いたのでしょう。」
「〝国王の逆鱗に触れ、処刑されるかもしれない〟と恐れて。」
こう述べた30代半ばくらいの男性に、
「そっか、分かった。」
「ご苦労だったね。」
優しく微笑んだラーザは、すぐに真剣な表情となって、
「各司令官に、状況を教えるのと共に陣形を整えるよう、下知してくれ!」
近くに控えていた伝令係達を、走らせるのであった…。
午後三時過ぎ。
天候、晴れ。
平原にて、双方が相まみえた。
オワ-リン軍の“先駆け”は、[ゴッド・スレイヤーズ]である。
前もって、〝俺たちが最も危険な任に就かなければ誰も納得しないだろう〟と紫蓮が主張したのを、ラーザが承諾した結果だ。
ちなみに……、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫蓮
百桃星 イリィターン
グーラン フゥーリカン
撫子
ペイニー ランダ―
ランソワ
ルウェー 涼音
タリアノ
スリア
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そのような編成になっていた。
個々の側には、当然、サーヴァントやロボットが居る。
いずれにせよ。
オワ-リンの[本隊]にて、
「こちらより圧倒的に少ない数で挑んでこようとは、敵は必死みたいですね。」
ラーザの叔母こと“ルリィザ”が何気に口を開く。
これが耳に入ったらしい弥太郎が、
「もしかしたら、援軍による奇襲が起きるやもしれません。」
「念の為に警戒を怠らないようにしましょう。」
そう述べた。
「確かに。」
〝ふむ〟と頷いたルリィザは、銀製の[騎士の鎧]と[サークレット型の兜]を装備しており、[白マント]を纏っている。
武器は左腰に帯びている[中剣]みたいだ。
いささか緊張に包まれていくなかで、
「ま、どんな手を打ってこようが関係ないさ。」
「予定どおりに運べば、ボクらのほうへと一気に形勢が傾くだろうからね。」
〝フッ〟と笑みを零す“ラーザ”だった―。
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