255 / 300
― 第六章・吉凶禍福 ―
第255話 到来・序
しおりを挟む
夜が深まり始めたところで、イリィターンの“ブレスレット”に連絡が入る。
相手は[四魔将軍の一角]であった。
どうやら、海戦で勝利を収めたらしい。
また、こちらも、数柱の“下級神”を敢えて逃したそうだ。
ソイツラによって情報が伝われば、[南陸第十三神国]に更なる動揺が広がるだろうとの計算である。
なお、“神どもの船”を幾らか壊したので、代わりの戦艦を寄贈してもらえるよう魔王に頼んでみるらしい。
「大儀。」
こう告げた[第四魔王子]に、
「ありがたき幸せにございます。」
画面ごしに頭を下げる将軍だった……。
オワ-リン軍が北上を続けて三日が経っている。
南方と中央の“領境”には、およそ100万の敵軍が待ち構えていた。
そこから数キロ離れた場所にて、全隊を止まらせたラーザが、斥候による報せを、馬上で受ける。
「もともと“東の軍港”に向かう筈だったのが、途中で“王都”に進路変更した軍勢のようです。」
「おそらくは、妖怪に港を陥された事を聞き、慌ててこちらに赴いたのでしょう。」
「〝国王の逆鱗に触れ、処刑されるかもしれない〟と恐れて。」
こう述べた30代半ばくらいの男性に、
「そっか、分かった。」
「ご苦労だったね。」
優しく微笑んだラーザは、すぐに真剣な表情となって、
「各司令官に、状況を教えるのと共に陣形を整えるよう、下知してくれ!」
近くに控えていた伝令係達を、走らせるのであった…。
午後三時過ぎ。
天候、晴れ。
平原にて、双方が相まみえた。
オワ-リン軍の“先駆け”は、[ゴッド・スレイヤーズ]である。
前もって、〝俺たちが最も危険な任に就かなければ誰も納得しないだろう〟と紫蓮が主張したのを、ラーザが承諾した結果だ。
ちなみに……、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫蓮
百桃星 イリィターン
グーラン フゥーリカン
撫子
ペイニー ランダ―
ランソワ
ルウェー 涼音
タリアノ
スリア
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そのような編成になっていた。
個々の側には、当然、サーヴァントやロボットが居る。
いずれにせよ。
オワ-リンの[本隊]にて、
「こちらより圧倒的に少ない数で挑んでこようとは、敵は必死みたいですね。」
ラーザの叔母こと“ルリィザ”が何気に口を開く。
これが耳に入ったらしい弥太郎が、
「もしかしたら、援軍による奇襲が起きるやもしれません。」
「念の為に警戒を怠らないようにしましょう。」
そう述べた。
「確かに。」
〝ふむ〟と頷いたルリィザは、銀製の[騎士の鎧]と[サークレット型の兜]を装備しており、[白マント]を纏っている。
武器は左腰に帯びている[中剣]みたいだ。
いささか緊張に包まれていくなかで、
「ま、どんな手を打ってこようが関係ないさ。」
「予定どおりに運べば、ボクらのほうへと一気に形勢が傾くだろうからね。」
〝フッ〟と笑みを零す“ラーザ”だった―。
相手は[四魔将軍の一角]であった。
どうやら、海戦で勝利を収めたらしい。
また、こちらも、数柱の“下級神”を敢えて逃したそうだ。
ソイツラによって情報が伝われば、[南陸第十三神国]に更なる動揺が広がるだろうとの計算である。
なお、“神どもの船”を幾らか壊したので、代わりの戦艦を寄贈してもらえるよう魔王に頼んでみるらしい。
「大儀。」
こう告げた[第四魔王子]に、
「ありがたき幸せにございます。」
画面ごしに頭を下げる将軍だった……。
オワ-リン軍が北上を続けて三日が経っている。
南方と中央の“領境”には、およそ100万の敵軍が待ち構えていた。
そこから数キロ離れた場所にて、全隊を止まらせたラーザが、斥候による報せを、馬上で受ける。
「もともと“東の軍港”に向かう筈だったのが、途中で“王都”に進路変更した軍勢のようです。」
「おそらくは、妖怪に港を陥された事を聞き、慌ててこちらに赴いたのでしょう。」
「〝国王の逆鱗に触れ、処刑されるかもしれない〟と恐れて。」
こう述べた30代半ばくらいの男性に、
「そっか、分かった。」
「ご苦労だったね。」
優しく微笑んだラーザは、すぐに真剣な表情となって、
「各司令官に、状況を教えるのと共に陣形を整えるよう、下知してくれ!」
近くに控えていた伝令係達を、走らせるのであった…。
午後三時過ぎ。
天候、晴れ。
平原にて、双方が相まみえた。
オワ-リン軍の“先駆け”は、[ゴッド・スレイヤーズ]である。
前もって、〝俺たちが最も危険な任に就かなければ誰も納得しないだろう〟と紫蓮が主張したのを、ラーザが承諾した結果だ。
ちなみに……、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫蓮
百桃星 イリィターン
グーラン フゥーリカン
撫子
ペイニー ランダ―
ランソワ
ルウェー 涼音
タリアノ
スリア
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そのような編成になっていた。
個々の側には、当然、サーヴァントやロボットが居る。
いずれにせよ。
オワ-リンの[本隊]にて、
「こちらより圧倒的に少ない数で挑んでこようとは、敵は必死みたいですね。」
ラーザの叔母こと“ルリィザ”が何気に口を開く。
これが耳に入ったらしい弥太郎が、
「もしかしたら、援軍による奇襲が起きるやもしれません。」
「念の為に警戒を怠らないようにしましょう。」
そう述べた。
「確かに。」
〝ふむ〟と頷いたルリィザは、銀製の[騎士の鎧]と[サークレット型の兜]を装備しており、[白マント]を纏っている。
武器は左腰に帯びている[中剣]みたいだ。
いささか緊張に包まれていくなかで、
「ま、どんな手を打ってこようが関係ないさ。」
「予定どおりに運べば、ボクらのほうへと一気に形勢が傾くだろうからね。」
〝フッ〟と笑みを零す“ラーザ”だった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」にも掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる