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― 第六章・吉凶禍福 ―
第247話 武備
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「なぬ?!」
「先日こちらに戻ってきた使者たちからは、そのような報告を受けてはおらんが??」
訝しがったのは、鬼王である。
[画面]の向こうで、
「妾が黙っておくよう命じた故。」
悪戯な笑みを零したのは、当然、百桃星だ。
〝うぅ~む〟と唸った鬼王が、
「連合の件、実に興味深い。」
「とは言え。」
「こっちは、平定し終えたばかりで、現在、内輪固めに力をいれておる。」
「そのため、“南陸第十三神国”に構っておる余裕はないのだ。」
「残念ながらな。」
難色を示す。
「いや、父上。」
「妖怪と魔族は、あまり本気で戦わなくてもよいらしい。」
「それなりの軍艦を出し、上陸する素振りを見せるだけで充分なのだそうだ。」
「“ゴッド・スレイヤーズ”と“オワ-リン軍”が攻め込みやすくなるよう、敵を分断するのが狙いなのだとか。」
「なお、策が成功した暁には、紫蓮が代表して報酬を支払ってくれる。」
娘の説明を受け、
「ふむ…。」
「ならば、我が弟に連絡いたすとしよう。」
「アヤツも、たまには動きたいだろうからな。」
〝ニッ〟と口元を緩める鬼王だった。
一方で、イリィターンも、自身の父親に報告を行なったようだ。
そんな彼が、
「魔王、曰く。」
「〝これより一ヶ月以内には出港できるよう取り計らう〟〝早ければ二週間後となるであろう〟との事。」
周りに伝える。
ここ[オワ-リン城の広間]にて、
「相分かった。」
「我らも明日より戦準備を整えていくとしよう。」
そのように述べる“現国主”であった……。
紫蓮達には、個室が与えられている。
〝テントを張らせてもらえれば、それでいいから、必要ない〟と一旦は断った紫蓮だったが、
「そういう扱いをすると、お前たちが軽視されかねない。」
「第十三神国との戦は、“GOD SLAYER’S”を押し上げるためのものでもある。」
「オワ-リン国内で舐められないようにしておかないと、軍勢の統率が乱れかねん。」
「ラーザの演説で兵の士気は高まっているが、いつまで持続できるかは未知数だからな。」
こうした弥太郎の意見によって、考え直したらしい。
少し余談になるが、弥太郎は“近衛衆の隊長”となっていた。
とにもかくにも…。
城内での生活は、なかなかに好評みたいだ。
女性陣は料理をしなくていいし、男性陣は皿洗いなどをせずに済むから、との理由である。
そのような状況のなかで、ルウェーが、あることを〝フ〟と思い出す。
この流れで、使用許可を得た客間に女性メンバーを集める“丸眼鏡のクレリック”だった―。
「先日こちらに戻ってきた使者たちからは、そのような報告を受けてはおらんが??」
訝しがったのは、鬼王である。
[画面]の向こうで、
「妾が黙っておくよう命じた故。」
悪戯な笑みを零したのは、当然、百桃星だ。
〝うぅ~む〟と唸った鬼王が、
「連合の件、実に興味深い。」
「とは言え。」
「こっちは、平定し終えたばかりで、現在、内輪固めに力をいれておる。」
「そのため、“南陸第十三神国”に構っておる余裕はないのだ。」
「残念ながらな。」
難色を示す。
「いや、父上。」
「妖怪と魔族は、あまり本気で戦わなくてもよいらしい。」
「それなりの軍艦を出し、上陸する素振りを見せるだけで充分なのだそうだ。」
「“ゴッド・スレイヤーズ”と“オワ-リン軍”が攻め込みやすくなるよう、敵を分断するのが狙いなのだとか。」
「なお、策が成功した暁には、紫蓮が代表して報酬を支払ってくれる。」
娘の説明を受け、
「ふむ…。」
「ならば、我が弟に連絡いたすとしよう。」
「アヤツも、たまには動きたいだろうからな。」
〝ニッ〟と口元を緩める鬼王だった。
一方で、イリィターンも、自身の父親に報告を行なったようだ。
そんな彼が、
「魔王、曰く。」
「〝これより一ヶ月以内には出港できるよう取り計らう〟〝早ければ二週間後となるであろう〟との事。」
周りに伝える。
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「相分かった。」
「我らも明日より戦準備を整えていくとしよう。」
そのように述べる“現国主”であった……。
紫蓮達には、個室が与えられている。
〝テントを張らせてもらえれば、それでいいから、必要ない〟と一旦は断った紫蓮だったが、
「そういう扱いをすると、お前たちが軽視されかねない。」
「第十三神国との戦は、“GOD SLAYER’S”を押し上げるためのものでもある。」
「オワ-リン国内で舐められないようにしておかないと、軍勢の統率が乱れかねん。」
「ラーザの演説で兵の士気は高まっているが、いつまで持続できるかは未知数だからな。」
こうした弥太郎の意見によって、考え直したらしい。
少し余談になるが、弥太郎は“近衛衆の隊長”となっていた。
とにもかくにも…。
城内での生活は、なかなかに好評みたいだ。
女性陣は料理をしなくていいし、男性陣は皿洗いなどをせずに済むから、との理由である。
そのような状況のなかで、ルウェーが、あることを〝フ〟と思い出す。
この流れで、使用許可を得た客間に女性メンバーを集める“丸眼鏡のクレリック”だった―。
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