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― 第五章・魔の領域 ―
第242話 天下ノ計・序
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「打つ手はありますよ。」
ふと口を開いたのは“魔王の次男”である。
〝ん?〟と反応した[魔王]に、
「魔族が、人族もしくは獣人族を補佐して、一つでもいいので神国を制圧させるのです。」
こう次男が告げた。
「〝援軍を送る〟という事か??」
「それだと内部で反発が起きるだろう。」
「他種族に力を貸すのを嫌っている者が多いし…、こちらに大きな利が無い故。」
そのように魔王が返したところ、
「ええ、承知しております。」
「なので……。」
「“ゴッド・スレイヤーズ”に挑んでもらいましょう。」
次男が柔らかに伝える。
意味が分からず首を傾げた紫蓮たちに、
「何処かの神国を手に入れて、そこを治めるのです。」
「あなた方が。」
穏やかな笑みを浮かべる次男であった。
[広間]に居る全員が〝はぁあ?!!〟と驚くなか、
「“鬼人の姫”が所属しているので、彼女の父君も、この話しに乗ってくださる可能性は高いでしょう。」
「あとは、賛同してくれる“人間の国”が必要となります。」
「それと、ここが特に重要なのですが…。」
「魔族から、“GOD SLAYER’S”に誰かしらを送り、行動を共にさせましょう。」
「できるだけ地位が上の者であれば、魔族の不満は少なくいかと。」
次男が淡々と喋ったのである。
冷静になったらしいタリアノが、
「……、つまり、我々のもとに、それなりの肩書を持つ魔族が加われば〝人間と手を組む大義名分が立つ〟ということでしょうか??」
こうした質問を投げかける。
「その通りです。」
頷いた次男に、
「成程…。」
「理解は、できた。」
「が。」
「内輪を納得させるのは容易くなかろう。」
厳しそうな顔つきとなる魔王だった。
次男の考えは、いささか難題のため、“机上の空論”で終わりかける。
しかし、
「ならば、我が入ろう!」
四男の[イリィターン]が立候補した事で、状況が変わりゆく。
「待て。」
魔王が止めようとしたら、
「いえ、良案かもしれませんよ。」
「〝王族が人間と妖怪の仲間になっている〟ともなれば、“連合”への反対意見は殆ど出ないでしょう。」
「要は〝まとまりやすくなる〟ということです。」
そう次男が主張した。
「うぅ~む。」
「…………。」
眉間に軽くシワを寄せて思案した魔王が、
「魔族が〝あるべき姿に戻る〟ためにも不可欠な道筋やもしれんな。」
「神どもを倒しきったとして、先祖の推測どおりになるとは限らんが、試す価値はある。」
「故に、認めよう。」
このように許可する。
それによって、紫蓮達へと、
「よろしくな。」
イリィターンが視線を送った。
「おう!!」
「歓迎するぜ!」
こうグーランが声をかけた流れで、
「それでは、〝どの神国に狙いを定めるのか〟決めていきましょう。」
ランダ―が述べ、
「あと、〝協力してくれる人間の国〟を探すのもね。」
そのようにペイニーが続いたのである。
「ここは、やはり、我々の代表である紫蓮の生国が妥当ではないかと……。」
「あそこに攻め込むのであれば、前向きに検討してくださるであろう方々が隣国に存在していますしね。」
こうタリアノが発言したところ、
「あ!!」
「もしかして…。」
ルウェーが何やら察したようだ。
これを受け、
「ええ。」
「“オワ-リン”の次期国主と、その近衛衆たち。」
「つまりは〝元・鮮紅の豹一団〟です。」
優しく微笑むタリアノであった―。
ふと口を開いたのは“魔王の次男”である。
〝ん?〟と反応した[魔王]に、
「魔族が、人族もしくは獣人族を補佐して、一つでもいいので神国を制圧させるのです。」
こう次男が告げた。
「〝援軍を送る〟という事か??」
「それだと内部で反発が起きるだろう。」
「他種族に力を貸すのを嫌っている者が多いし…、こちらに大きな利が無い故。」
そのように魔王が返したところ、
「ええ、承知しております。」
「なので……。」
「“ゴッド・スレイヤーズ”に挑んでもらいましょう。」
次男が柔らかに伝える。
意味が分からず首を傾げた紫蓮たちに、
「何処かの神国を手に入れて、そこを治めるのです。」
「あなた方が。」
穏やかな笑みを浮かべる次男であった。
[広間]に居る全員が〝はぁあ?!!〟と驚くなか、
「“鬼人の姫”が所属しているので、彼女の父君も、この話しに乗ってくださる可能性は高いでしょう。」
「あとは、賛同してくれる“人間の国”が必要となります。」
「それと、ここが特に重要なのですが…。」
「魔族から、“GOD SLAYER’S”に誰かしらを送り、行動を共にさせましょう。」
「できるだけ地位が上の者であれば、魔族の不満は少なくいかと。」
次男が淡々と喋ったのである。
冷静になったらしいタリアノが、
「……、つまり、我々のもとに、それなりの肩書を持つ魔族が加われば〝人間と手を組む大義名分が立つ〟ということでしょうか??」
こうした質問を投げかける。
「その通りです。」
頷いた次男に、
「成程…。」
「理解は、できた。」
「が。」
「内輪を納得させるのは容易くなかろう。」
厳しそうな顔つきとなる魔王だった。
次男の考えは、いささか難題のため、“机上の空論”で終わりかける。
しかし、
「ならば、我が入ろう!」
四男の[イリィターン]が立候補した事で、状況が変わりゆく。
「待て。」
魔王が止めようとしたら、
「いえ、良案かもしれませんよ。」
「〝王族が人間と妖怪の仲間になっている〟ともなれば、“連合”への反対意見は殆ど出ないでしょう。」
「要は〝まとまりやすくなる〟ということです。」
そう次男が主張した。
「うぅ~む。」
「…………。」
眉間に軽くシワを寄せて思案した魔王が、
「魔族が〝あるべき姿に戻る〟ためにも不可欠な道筋やもしれんな。」
「神どもを倒しきったとして、先祖の推測どおりになるとは限らんが、試す価値はある。」
「故に、認めよう。」
このように許可する。
それによって、紫蓮達へと、
「よろしくな。」
イリィターンが視線を送った。
「おう!!」
「歓迎するぜ!」
こうグーランが声をかけた流れで、
「それでは、〝どの神国に狙いを定めるのか〟決めていきましょう。」
ランダ―が述べ、
「あと、〝協力してくれる人間の国〟を探すのもね。」
そのようにペイニーが続いたのである。
「ここは、やはり、我々の代表である紫蓮の生国が妥当ではないかと……。」
「あそこに攻め込むのであれば、前向きに検討してくださるであろう方々が隣国に存在していますしね。」
こうタリアノが発言したところ、
「あ!!」
「もしかして…。」
ルウェーが何やら察したようだ。
これを受け、
「ええ。」
「“オワ-リン”の次期国主と、その近衛衆たち。」
「つまりは〝元・鮮紅の豹一団〟です。」
優しく微笑むタリアノであった―。
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