GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第五章・魔の領域 ―

第239話 往交

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およそ一時間半後に、紫蓮しれん達や使者らは、城に戻ってきた。

[第二広間]にて、“イリィターン”と“エリュア”の兄妹と共に、ティータイムを楽しんでいる。

時刻はPM15:00を過ぎたあたりだ。

「すまないが…。」
「どこか鍛錬できる所ってないか?」

ふと質問したのは、紫蓮であった。

「それなら、南東に訓練場がある。」
「歩いて行ける距離だし、この時間帯は誰も利用していないだろうから、あとで案内しよう。」

そう教えてくれたイリィターンに、

「よろしく頼む。」

軽く会釈した紫蓮である……。


PM15:40頃――。

城から歩いて5分ほどの位置に[訓練場]が建てられていた。

なかなかの面積であり、砂が敷かれている。

ちなみに、エリュアは〝めんどい〟との理由で同行していない。

また、“妖怪の使者”たちも城に残っている。

「アタシは隅っこを借りたいんだが、構わないかい??」
「ここまでの戦いで、それなりにロボット達が損傷しているから、修理したいんだ。」

このように述べたのは、スリアだ。

「ろぼっと?」

聞きなれない単語にイリィターンが首を傾げる。

「俺らも初めて見た時は驚いたもんだ。」
「きっと、お前も目を丸くするぜ。」

グーランが笑顔で告げたところ、

「うむ、確かに、違いなかろう。」
「スリア、披露してあげてくれ。」

そう催促する撫子なでしこだった。

「ああ、いいだろう。」

快く応じたスリアが、[ブレスレット]を操作する。

この流れで出現した“5体のロボット”に、

「なッ??!」
「なんだ、これは?」

唖然とするイリィターンであった…。


あれから、スリアは、ロボット集団を連れて、北端ほくたんに移動している。

それ以外のメンバーは、彼女の邪魔にならないよう鍛錬を行なっていた。

暫く観察していたイリィターンが、

みな、相当に強いな。」

〝ふぅ~む〟と感心し、

「我も参加していいか??」

こう尋ねたのである。

それを受けて、

「ああ、勿論だ。」

リーダーの紫蓮が穏やかに頷く。

了承を得たイリィターンは、

「ありがたい。」
「久しぶりに楽しめそうだ。」

〝ニッ〟と嬉しそうに口元を緩めるのだった……。


PM17:30あたり。

再びの城にて。

〝男女に別れて大浴場に入ろう〟との話しになった。

各部屋にはシャワーが完備されているのだが…、面白がって盛り上がる“グーラン/フゥーリカン/撫子/百桃星ももせ”に押し切られたようだ。

〝サーヴァントが一緒でも問題ないぐらいの空間〟というのにも興味を惹かれたらしい。

なお、“こういうのは一人でまったりしたい派”のタリアノとルウェーは、引き気味になっている。

それでも、反対する者がいなかったので、致し方なく周りに付き合うことにしたらしい。

少し余談になるが、〝女性は長風呂になりがち〟との意見で全員が一致した結果、男性陣が先に浴場を使うみたいだ……。


主だった面子が[第一広間]に足を運んでいる。

PM19:00になったところで、

「これより歓迎の宴を開催する。」
「心ゆくまで、飲み、食い、語らえ。」

このように宣言する[魔王]だった―。
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