GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第五章・魔の領域 ―

第238話 魔族の王

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紫蓮しれんたちは[謁見の間]に通されていた。

[GOD SLAYER’S]の両脇には、何体かの魔人と魔物が整列している。

紫蓮らの正面には“玉座”が在り、50代くらいの男性が腰掛けていた。

肌は灰色で、長めの髪と髭は青紫色だ。

瞳は赤く、眼球結膜がんきゅうけつまくは黒い。

また、耳の先端は尖っている。

これらは“魔人”の特徴だった。

なお、50代とおぼしき男は、白を基調として金糸の刺繍が施されている服とマントを着用している。

そうした容姿に格好の男性が、

「余は、魔族を束ねし者である。」
「先祖代々に亘って、各種族より“魔王”と呼ばれてきた。」
「まぁ、それに関しては、今さら説明は要らんだろうがな。」
「さて……。」
「そなたらが赴いた理由は家臣から聞いてはおるが…、詳細を。」

このように述べた。

それによって、代表たる“黒い猫又”が、

鬼王きおう陛下よりの書状にございます。」

前もって預かっていた手紙を差し出す。

左側に並んでいる魔物の中から、猫又に近づいた“ゴブリーナ”が、これ・・を受け取り、魔王へと運ぶ。

それを広げて、

「…………。」

黙読した魔王は、

「よかろう。」
「正式に同盟を結ぶ。」

こう宣言したのである。

それによって、居並ぶ魔族が〝おぉーッ〟と声を上げ、妖怪の使者などは〝ほッ〟と安堵したようだ。

この流れで、

「では。」
「夕刻に“歓迎の宴”を催すとしよう。」
「返書は明朝に渡す故、暫し待て。」
「今宵は城に泊まれるよう部屋を幾つか用意してやろうぞ。」

そう伝えた魔王が、

「“イリィターン”に“エリュア”よ。」
「来客一同に城下町でも案内してやれ。」
「念の為、護衛を連れて、な。」

魔人の男女を促す。

なお、彼らの側には、もう一体だけ“男性の魔人”が佇んでいた……。


甲冑姿の“ゴブリン・ワーウルフ人狼ウェアタイガー人虎・リザードマン・オーク・ミノタウロス”を二体ずつ伴った魔人らと共に、街を散策している。

魔王に“イリィターン”と呼ばれていた者は、10代半ばに見える男だが〝実際は50歳を超えている〟との事であった。

身長は160㎝ぐらいで、ショートの髪は“ゆるふわ巻き毛”だ。

黒を基調として銀糸の刺繍がある衣服&マントを纏っている。

彼は“魔王の四男”との話しだった。

“エリュア”は、10代前半らしき女性だが〝本当のところは40歳を過ぎている〟のだそうだ。

背丈は155㎝あたりで、セミロングの髪はストレートである。

ピンクを基調として白糸の刺繍が施されている衣服&マントを着ていた。

こうした彼女は“魔王の次女”とのことだ。

ちなみに、魔王と城に残っているのは“次男”らしい。

いずれにせよ。

いつの間にか晴れていた空の下で、“第四王子”と“第二王女”に気づいた都の魔物や人間などが、速やかにひざまずく。

そのような状況のなか、“イリィターン”や“エリュア”と雑談を交わしていく紫蓮達であった―。
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