GOD SLAYER’S

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
235 / 296
― 第五章・魔の領域 ―

第235話 新天地

しおりを挟む
国境を越えて二日後…。

よいの頃に、石造りで大きめの“砦”が見えてきた。

これに割と近づいたところで、やぐらより、

「止まれ!!」

との声が聞こえてきたのである。

そこ・・から飛来して、[ゴッド・スレイヤーズ]の正面に着地したのは、“|人型のフクロウ”であった。

この男性であるモンスターは、背丈が165㎝くらいで、[剣士]みたいな恰好をしている。

「……、お前らは、南から訪れたよな?」

首を傾げた“フクロウ”に、

「ああ、そうだ。」

紫蓮しれんが簡略的に返す。

すると、

「“第四神国しんこく”は、妖怪の軍勢に攻め込まれて、いくさの真っ最中の筈だが??」

ますますいぶかしがった魔物が、

「こっちに避難してきたのか?」

そう訊ねたのだった。

「いや、そうではなく…。」

どう説明したものか少なからず悩んだ紫蓮は、後方に視線を送る。

これを察したらしく、

わらわが話すとしよう!」

ぬえに跨っている百桃星ももせが、何故だか嬉々としたのであった……。


「――、成程。」
「事情は分かりました。」
「鬼の姫君を始め、皆さんを、砦に招き入れましょう。」
「まずは、ここの最高司令官に、お会いになってください。」

そう告げたモンスターが、軽く頭を下げる。

ちなみに、このフクロウは、“ストラス”という名称らしい…。


[広間]にて。

「〝魔族と妖怪との同盟〟か。」

いささか眉間にシワを寄せつつ〝ふぅ~む〟と考え込んだのは、全長4Mあたりの“グリフォン”だった。

「魔王様には、これより、お伝えするが……、どう御決断なさるかまでは計りかねる。」
「謁見が叶わなかったとしても、落胆なされるなよ。」

このように述べたグリフォンに、

「いや、吉報を待たせてもらう!!」

鬼姫が毅然とする。

そうした態度に目を丸くした最高司令官ではあったものの、次の瞬間には、

「ふッ。」
「ふははははッ!」
「大胆不敵ですなぁ。」

とても愉快そうにしたのであった。

百桃星を気に入ったらしいグリフォンが、

「おい。」

そばに控えている魔物に、声をかける。

「はッ。」

静に応じたのは、背丈170㎝ぐらいで“半人半鳥”のモンスターだった。

“ハーピー”のようだが、ショートの髪・瞳・翼などは黒い。

彼女は、“ブラックハーピー”という亜種・・である。

黒いウイザードローブを纏っているので、[魔女]に違いなかろう。

「魔王様のもとへ、報告に赴け。」

最高司令官が命令したところ、

「かしこまりました。」

お辞儀したブラックハーピーが、魔法によって【テレポート】したのであった。

この流れで、

「魔王様にも、ご都合があられるため、すぐには返答をいただけぬでしょう。」
「もしかしたら数日ほど待つことになるかもしれませんが…、あいにく、砦には客人を宿泊させられる部屋が一つも無いのですよ。」

やや申し訳なさそうにしたグリフォンである。

「外にテントを張らせていただけるのであれば、何も問題ありません。」

タリアノが主張した事によって、

「では、砦の東側を提供いたそう。」

そのように許可する最高司令官だった―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

碧天のノアズアーク

世良シンア
ファンタジー
両親の顔を知らない双子の兄弟。 あらゆる害悪から双子を守る二人の従者。 かけがえのない仲間を失った若き女冒険者。 病に苦しむ母を救うために懸命に生きる少女。 幼い頃から血にまみれた世界で生きる幼い暗殺者。 両親に売られ生きる意味を失くした女盗賊。 一族を殺され激しい復讐心に囚われた隻眼の女剣士。 Sランク冒険者の一人として活躍する亜人国家の第二王子。 自分という存在を心底嫌悪する龍人の男。 俗世とは隔絶して生きる最強の一族族長の息子。 強い自責の念に蝕まれ自分を見失った青年。 性別も年齢も性格も違う十三人。決して交わることのなかった者たちが、ノア=オーガストの不思議な引力により一つの方舟へと乗り込んでいく。そして方舟はいくつもの荒波を越えて、飽くなき探究心を原動力に世界中を冒険する。この方舟の終着点は果たして…… ※『side〇〇』という風に、それぞれのキャラ視点を通して物語が進んでいきます。そのため主人公だけでなく様々なキャラの視点が入り混じります。視点がコロコロと変わりますがご容赦いただけると幸いです。 ※一話ごとの字数がまちまちとなっています。ご了承ください。 ※物語が進んでいく中で、投稿済みの話を修正する場合があります。ご了承ください。 ※初執筆の作品です。誤字脱字など至らぬ点が多々あると思いますが、温かい目で見守ってくださると大変ありがたいです。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル

ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。 しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。 甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。 2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

処理中です...