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― 第五章・魔の領域 ―
第220話 昂ぶり
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翌日の昼過ぎ。
[妖怪ノ国]における政府は、東陸の神国に攻め込む件を公式に発表した。
更に三日が経ち、[ゴッド・スレイヤーズ]に[餓狼の蒼群]は、“北の港”に足を運んでいる。
そこには、他にも沢山の妖怪と傭兵が集まっていた。
時刻はAM09:30あたりだ。
黒髪ロングの【巫女】である涼音が、
「前回と同じくらいの数でしょうか?」
ふと呟いたところに、小走りで〝タタタタタッ〟と寄って来た女性が、
「久しいのッ!」
笑みを浮かべたのである。
「これは、百桃星殿。」
「お元気そうで何よりですな。」
軽く会釈した撫子に、
「呼び捨てで構わん!!」
「そなたらより長く生きてはおるが、妾のことは“友”と思うてくれ!」
鬼王の次女が、こう伝えた。
「では、遠慮なく。」
「……、どうやら、百桃星の家族が揃い踏みしておるようだが、もしや全員で適地に赴くつもりなのか??」
撫子が質問したら、
「うむ!!」
「この国は、妾などの叔父…、つまりは父上の弟君と、その一族に、任せることに決まったからの!」
そう答えたのである。
「成程。」
“コーンロウヘアー”かつ“黒肌”の【戦士】ことフゥーリカンが頷いた流れで、
「今回の軍勢は、どれぐらいの規模なんだ?」
なんとなく尋ねたところ、
「ここにおるのは、およそ500万といったとこである。」
「ただ、南の“軍港”からも同様の数が出発し、迂回しておる真っ最中だ。」
「あとで沖にて合流するゆえ、1000万を超える計算じゃのッ。」
「しかも!!」
「これは“第一陣”である!」
「更には、これから順次“第三陣”までが神どもの国を目指す手筈になっておるので、総勢で3000万となるのじゃ!!」
「どうだ?!」
「凄かろッ!?」
いささか興奮して返す百桃星であった。
「マジか……。」
少なからず驚いたグーランが、
「そんなに多くを引き連れて、この国の防衛は大丈夫なのかよ??」
「守りが手薄になるんじゃ?」
素朴な疑問を投げかける。
これに対して、
「心配は無用だ!」
「これでも国軍の半数ほどじゃからのッ!!」
「ちなみに、“東陸第四神国”の殆どを制圧したなら、こちらの民衆も半分くらいは移住してもらう話しになっておる!」
なんだか楽しそうに語る百桃星だった。
生まれて初めて自国を出る彼女にしてみれば〝ワクワクが止まらない〟といったとこなのだろう。
「現在、どれぐらいの妖怪が存在してるんだ??」
黒髪セミロングを後頭部で束ねている【武士】こと紫蓮が訊いてみたら、
「ざっと1億6000万じゃな!!」
「流石に増えすぎじゃからして、此度の遠征は国家としても喜ばしい限りであるぞ!」
そのように述べたのである。
ここへ、
「間もなく港を離れる故、準備を整えよ!!」
鬼王の声が響き渡ったのであった―。
[妖怪ノ国]における政府は、東陸の神国に攻め込む件を公式に発表した。
更に三日が経ち、[ゴッド・スレイヤーズ]に[餓狼の蒼群]は、“北の港”に足を運んでいる。
そこには、他にも沢山の妖怪と傭兵が集まっていた。
時刻はAM09:30あたりだ。
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「前回と同じくらいの数でしょうか?」
ふと呟いたところに、小走りで〝タタタタタッ〟と寄って来た女性が、
「久しいのッ!」
笑みを浮かべたのである。
「これは、百桃星殿。」
「お元気そうで何よりですな。」
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「呼び捨てで構わん!!」
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「では、遠慮なく。」
「……、どうやら、百桃星の家族が揃い踏みしておるようだが、もしや全員で適地に赴くつもりなのか??」
撫子が質問したら、
「うむ!!」
「この国は、妾などの叔父…、つまりは父上の弟君と、その一族に、任せることに決まったからの!」
そう答えたのである。
「成程。」
“コーンロウヘアー”かつ“黒肌”の【戦士】ことフゥーリカンが頷いた流れで、
「今回の軍勢は、どれぐらいの規模なんだ?」
なんとなく尋ねたところ、
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「ただ、南の“軍港”からも同様の数が出発し、迂回しておる真っ最中だ。」
「あとで沖にて合流するゆえ、1000万を超える計算じゃのッ。」
「しかも!!」
「これは“第一陣”である!」
「更には、これから順次“第三陣”までが神どもの国を目指す手筈になっておるので、総勢で3000万となるのじゃ!!」
「どうだ?!」
「凄かろッ!?」
いささか興奮して返す百桃星であった。
「マジか……。」
少なからず驚いたグーランが、
「そんなに多くを引き連れて、この国の防衛は大丈夫なのかよ??」
「守りが手薄になるんじゃ?」
素朴な疑問を投げかける。
これに対して、
「心配は無用だ!」
「これでも国軍の半数ほどじゃからのッ!!」
「ちなみに、“東陸第四神国”の殆どを制圧したなら、こちらの民衆も半分くらいは移住してもらう話しになっておる!」
なんだか楽しそうに語る百桃星だった。
生まれて初めて自国を出る彼女にしてみれば〝ワクワクが止まらない〟といったとこなのだろう。
「現在、どれぐらいの妖怪が存在してるんだ??」
黒髪セミロングを後頭部で束ねている【武士】こと紫蓮が訊いてみたら、
「ざっと1億6000万じゃな!!」
「流石に増えすぎじゃからして、此度の遠征は国家としても喜ばしい限りであるぞ!」
そのように述べたのである。
ここへ、
「間もなく港を離れる故、準備を整えよ!!」
鬼王の声が響き渡ったのであった―。
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