GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第五章・魔の領域 ―

第216話 海戦・前編

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「遠隔攻撃の準備を整えよ!」

総大将たる“男神おがみ”の命令にて、全ての大型船で、それぞれが魔法・スキル・矢を飛ばす体勢となった。

数秒が経ち、30代半ばであろう人間の兵が、

「各艦、いつでも発射できます!!」

そのように報告したのである。

これを受けて、男神が右手を〝スッ〟と挙げた。

「放っ」と総大将が手を振り下ろそうとするなり、背後から〝ゴオオォォッ!〟〝ボォオンッ!!〟〝バリバリバリバリィーッ!〟などの音が無数に轟いてきたのである。

「な?!」

驚いて振り返った男神が、

「何事だ!?」

状況を確認するため、宙に浮いてゆく。

そんな総大将が視界に捉えたのは、大量の[鉄船てっせん]であった。

「あれは??!」

男神が意味を理解できずにいるところに、炎/雷/爆発/水/氷/風といった“魔法”に“スキル”と、矢が、再び一斉に射撃されたのである。

これらによって、またしても“神々の軍船”が損壊するのと共に、兵士らが死傷していく。

「おのれッ!!」

忌々しそうにした総大将は、急ぎ、甲板かんぱんに降りて、

「中盤から後方にかけての船は旋回して、正体不明の敵どもに反撃せよ!!」
「前線は、サガーミィー軍を、くい止めろ!」

そう指示したのだった。


[東陸とうりく第四神国しんこく]の艦隊が慌ただしく動いていくなか、

「父上。」
「もしや、妖怪の援軍では??」

“国主の長男”が推測する。

「うむ。」

父親である[国主]が頷き、

「それ以外に考えられまい。」

こう述べて、

「運が巡ってきたようだな…。」
「我らも戦うぞ!!」

周囲に告げたタイミングで、サガーミィーと神の軍船の間に〝ザッパ―ン!〟と何十体もの[巨大生物]が海面に現れた。

全身が黒いその妖怪らは、 [海坊主]という名称らしい。

両陣が唖然としていたところ、“海坊主の集団”が〝すぅ――っ〟と吸い込んだ息を〝ふぅ――――ッ!!〟と吐いた。

これによって、[暴風]が起きる。

まさに“横向きの竜巻”であった。

それらによって、神どもの木船もくせんが〝バキバキッ!〟〝バキバキバキバキィッ!!〟と崩されていく……。


幾つもの[妖怪の戦艦]の最後尾に、“木製の船”が一隻だけ付いて来ている。

その甲板にて、

「どうやら間に合ったようですね。」

ひと安心している人物は、フーマー隊長だった。

彼の右斜め前で、

「ええ。」
「お陰で、お父様に怒られずに済みそうですわ。」

ナーガリーが微笑んだ。

なお、ここには、[ゴッド・スレイヤーズ]は見受けられない。

どうやら、紫蓮しれん達は別の軍艦に乗り込んでいるらしかった。


陣形の中央には、他に比べて倍の大きさはあろうかと思われる[母船]が存在している。

そこに、鬼王きおうの姿があった。

身に纏っている【騎士】みたいな甲冑は“黒備え”である。

兜からは“つの”と“顔”が露出していた。

肩当てに付属しているマントは紺色のようだ。

黒鞘くろさやに収めたる[大剣]のつかを右手で掴んで肩に担ぎ、左手を腰に当て、仁王立ちになっている。

この“ラージソード”は[斬馬]とも[斬馬]とも呼ばれているのだそうだ。

いずれにしろ。

前方を観察していた王が、

「こちらを目指しておるのは半数ほどか…。」
「ふんッ!」
「その程度で勝てるとでも?」

〝ニヤリ〟と口元を緩めたのであった―。
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