214 / 303
― 第五章・魔の領域 ―
第214話 海上にて。
しおりを挟む
幾つもの兵船が、北西を目指して進むなか、二日目を迎えている。
時刻はPM13:30頃だった。
一つの軍艦の甲板にて。
肌がブラックとブラウンの中間で、黒い髪はコーンロウである“フゥーリカン”が、
「しっかし…、出港してからというもの、全くもってモンスター達が襲ってこねぇな。」
そのように述べた。
「確かに、そうですね。」
「今まで、こんな事はなかったというのに。」
銀色の髪はマッシュショートで、瞳が青い、ランダ―が、応答したのである。
これらの意見に[ゴッド・スレイヤーズ]が頷いていたところ、
「魔物と妖怪は互いに危害を加えない条約を結んでいるからね。」
「この軍勢を襲撃するようなマネはしないわよ。」
何者かが喋りかけてきたのである。
それは、[狐の獣人]であった。
声からして女性に違いない。
背丈は175㎝くらいであろう。
毛並みは、まさに“きつね色”だ。
赤色を基調とした着物を“スーツ仕立て”にしており、黒色のショートブーツを履いている。
彼女の左斜め後ろには、身長2.5Mといった[熊の獣人]が佇んでいた。
こちらの毛並みはブラックである。
オリーブグリーンの隊服のようなものと、ダークブラウンのロングブーツを、着用していた。
「私は“櫻莉”で、こっちは“バーガイン”だ。」
「すまないね、突然、話しかけたりして。」
「先日、闘技場での試合を観戦して、気になっていたんで、つい。」
そう述べたのは、キツネの[櫻莉]だ。
〝ふむ?〟と首を傾げた紫蓮に、
「我らに馴染みのある人が、貴君と同じ“武士”でな。」
「ま、あの御仁が扱うのは火炎だし、とうに齢六十を越えておられるので、似ているわけではないのだが……。」
「たとえ窮地に陥っても、決して諦めようとはせず、何がなんでも勝利を掴みにいく姿勢みたいなものが、我らのなかでは重なって見えたのだよ。」
クマの“バーガイン”が説明する。
これを聞いた権蔵が、
「〝60代の武士で、炎を使う〟って…、まるで“侍王”みたいですね。」
「皆さん、お元気でしょうか??」
主たる紫蓮に伺ったら、
「ん?!」
「もしかして、面識があるの?」
櫻莉が不思議がった。
それに対して、
「ああ。」
「俺と、ごん……、このホブゴブリンや、そっちのパラライズスライムは、短期間のみではあるが、総帥の“近衛衆”だったからな。」
紫蓮が伝えたところ、
「なんと!!?」
「清虎様の直臣であったか?!」
バーガインが驚いたのである。
ほんの少しの沈黙を経て、
「私らは、清虎公の奥方の“サーヴァント”だったんだよ。」
「かつては。」
[狐の獣人]が告げた。
「あー、…、“サエ”っていう、名前、だった?」
記憶を辿った来夢を、
「うむ!!」
「確かに、彩永様だ!」
[熊の獣人]が強く肯定したのである。
「……、彩永様のことは、誰かに教えてもらったのかい??」
このように櫻莉が尋ねたら、
「そういや、フーリィ、金時、信義が、語ってたな。」
紫蓮が呟いたのだった。
更には、
「そのときに言っていましたね、〝二体の獣人は修行の旅に出ている〟って。」
権蔵も回想したようだ。
目を合わせたキツネとクマが、
「どうやら、本当に、お仕えしていたみたいね。」
「あぁ、間違いなさそうだ。」
〝フッ〟と笑みを零す。
そんな櫻莉&バーガインに、
「アンタらは、なんで、“妖怪ノ国”に居たんだ?」
「何かの用事か??」
紫蓮が質問する。
これに、
「いや。」
「各国を冒険する流れで、半月ほど前から、私の祖先の起源である“妖怪ノ国”に訪れていたんだけど…。」
[狐の獣人]が答えつつ、
「三年ぐらいで戻るつもりが、とっくに四年が過ぎていたね。」
[熊の獣人]に視線を送った。
「そうだな。」
「……、この戦が終わったら、清虎様のもとで腰を据えるか?」
バーガインが提案したところ、
「ええ、そうしましょう。」
「ぼちぼち皆にも会いたいしね。」
「久しぶりに。」
どこか懐かしそうに目を細める櫻莉であった―。
時刻はPM13:30頃だった。
一つの軍艦の甲板にて。
肌がブラックとブラウンの中間で、黒い髪はコーンロウである“フゥーリカン”が、
「しっかし…、出港してからというもの、全くもってモンスター達が襲ってこねぇな。」
そのように述べた。
「確かに、そうですね。」
「今まで、こんな事はなかったというのに。」
銀色の髪はマッシュショートで、瞳が青い、ランダ―が、応答したのである。
これらの意見に[ゴッド・スレイヤーズ]が頷いていたところ、
「魔物と妖怪は互いに危害を加えない条約を結んでいるからね。」
「この軍勢を襲撃するようなマネはしないわよ。」
何者かが喋りかけてきたのである。
それは、[狐の獣人]であった。
声からして女性に違いない。
背丈は175㎝くらいであろう。
毛並みは、まさに“きつね色”だ。
赤色を基調とした着物を“スーツ仕立て”にしており、黒色のショートブーツを履いている。
彼女の左斜め後ろには、身長2.5Mといった[熊の獣人]が佇んでいた。
こちらの毛並みはブラックである。
オリーブグリーンの隊服のようなものと、ダークブラウンのロングブーツを、着用していた。
「私は“櫻莉”で、こっちは“バーガイン”だ。」
「すまないね、突然、話しかけたりして。」
「先日、闘技場での試合を観戦して、気になっていたんで、つい。」
そう述べたのは、キツネの[櫻莉]だ。
〝ふむ?〟と首を傾げた紫蓮に、
「我らに馴染みのある人が、貴君と同じ“武士”でな。」
「ま、あの御仁が扱うのは火炎だし、とうに齢六十を越えておられるので、似ているわけではないのだが……。」
「たとえ窮地に陥っても、決して諦めようとはせず、何がなんでも勝利を掴みにいく姿勢みたいなものが、我らのなかでは重なって見えたのだよ。」
クマの“バーガイン”が説明する。
これを聞いた権蔵が、
「〝60代の武士で、炎を使う〟って…、まるで“侍王”みたいですね。」
「皆さん、お元気でしょうか??」
主たる紫蓮に伺ったら、
「ん?!」
「もしかして、面識があるの?」
櫻莉が不思議がった。
それに対して、
「ああ。」
「俺と、ごん……、このホブゴブリンや、そっちのパラライズスライムは、短期間のみではあるが、総帥の“近衛衆”だったからな。」
紫蓮が伝えたところ、
「なんと!!?」
「清虎様の直臣であったか?!」
バーガインが驚いたのである。
ほんの少しの沈黙を経て、
「私らは、清虎公の奥方の“サーヴァント”だったんだよ。」
「かつては。」
[狐の獣人]が告げた。
「あー、…、“サエ”っていう、名前、だった?」
記憶を辿った来夢を、
「うむ!!」
「確かに、彩永様だ!」
[熊の獣人]が強く肯定したのである。
「……、彩永様のことは、誰かに教えてもらったのかい??」
このように櫻莉が尋ねたら、
「そういや、フーリィ、金時、信義が、語ってたな。」
紫蓮が呟いたのだった。
更には、
「そのときに言っていましたね、〝二体の獣人は修行の旅に出ている〟って。」
権蔵も回想したようだ。
目を合わせたキツネとクマが、
「どうやら、本当に、お仕えしていたみたいね。」
「あぁ、間違いなさそうだ。」
〝フッ〟と笑みを零す。
そんな櫻莉&バーガインに、
「アンタらは、なんで、“妖怪ノ国”に居たんだ?」
「何かの用事か??」
紫蓮が質問する。
これに、
「いや。」
「各国を冒険する流れで、半月ほど前から、私の祖先の起源である“妖怪ノ国”に訪れていたんだけど…。」
[狐の獣人]が答えつつ、
「三年ぐらいで戻るつもりが、とっくに四年が過ぎていたね。」
[熊の獣人]に視線を送った。
「そうだな。」
「……、この戦が終わったら、清虎様のもとで腰を据えるか?」
バーガインが提案したところ、
「ええ、そうしましょう。」
「ぼちぼち皆にも会いたいしね。」
「久しぶりに。」
どこか懐かしそうに目を細める櫻莉であった―。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる