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― 第五章・魔の領域 ―
第213話 離岸
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[妖怪ノ国]は、東西南北に“港”が在る。
東側と西側は貿易で栄えている“商業都市”とのことだ。
北側と南側は“軍港”として活用されている。
なお、波止場に停まっている軍艦は、どれもが“鉄”で造られているようだ。
ちなみに、昨日、[サガーミィーの使節団]が到着したのは“北の港”だった。
AM08:00になろうかとしている現在――。
そこには、妖怪はもとより、人族や獣人族などの“傭兵”が、合わせて500万ぐらい集結している。
「本当に良かったのか?」
「自分の城に帰らず、我らに同行して。」
鬼王が尋ねたところ、
「ええ。」
「皆さんが戦に敗れてしまえば、私どもの国は間違いなく滅びてしまうでしょう。」
「そういう意味では、どこにも安全な場所などありませんので、海に出るのは覚悟の上です。」
ナーガリーが、このように答えた。
「我々では神どもに勝てぬと??」
片眉が〝ピクッ〟と動いた王に、
「あ、いえ。」
「そういつもりではございません。」
[サガーミィー国主の娘]が慌てる。
こういった様子に、〝フッ〟と口元を緩めた鬼王が、
「悪気が無いのは分かっておる!」
「案ずるな!!」
「フハハハハハハッ!」
と、笑う。
そこから少し離れた位置では、[GOD SLAYER’S]が雑談に興じていた。
この東から、
「やっぱり、そうだったわ。」
「久しぶりね。」
ある女性が声をかけてきたのだ。
30代後半ばであろう彼女は、背丈が168㎝くらいで、銀髪ロングの褐色肌だった。
装備品からして【剣士】だろう。
その女性の側には、35数程の人や獣人に半獣が見受けられる。
「あ。」
「確か…、ルギー?」
いち早く記憶が甦ったのは、ペイニーだった。
続いて、
「“レッドミノタウロス”を討伐する際に、砦で、ご一緒した……。」
タリアノによって、紫蓮/撫子/涼音も〝あぁー〟と思い出したのである。
更には、ランソワが、
「“餓狼の蒼群”の方々じゃありませんか?!」
いささか驚きながら伺った。
「ん??」
首を傾げたルギーに、
「私は、幼い時に、イッズーモのギルドで、貴女がたから、いろいろな冒険譚を毎日のように聞かせてもらったのですが…。」
「もう何年も前の事なので、覚えていらっしゃらないかもしれませんね。」
ランソワが少なからず落胆する。
「…………。」
暫く考え込んだルギーが、
「あッ!!」
「“弓の女王”の!」
こう述べたところ、
「はい!!」
「孫娘です!」
ランソワが嬉しそうな表情になった。
そんな彼女に、
「すっかり大人びて……。」
「懐かしいわねぇ。」
ルギーが目を細める。
このような状況で、
「“餓狼の蒼群”て、本来の歴史において、紫蓮さんが始めて一緒に旅をしたことになっていたパーティーですよね?」
ルウェーが小声で確認し、
「ああ。」
「結局は“鮮紅の豹一団”に変わっていたけどな。」
スリアが返したのであった。
「それで??」
「何故、ここに?」
紫蓮が疑問を呈したら、
「あー、…、アンタらと別れたあと、修行の一環として“南陸”の各国を巡る流れで、四日ほど前に、こっちに渡ってきたのさ。」
「で。」
「昨日、“東陸第四神国”の神々と戦う兵を募っていたから、受注したって訳よ。」
そのように説明したルギーが、
「それにしても……、あの頃に比べて、なかなかの大所帯になったわね。」
紫蓮たちを眺めたのである。
このタイミングで、
「そろそろ出発するぞぉ!!」
「各自、船に乗り込めぇいッ!」
鬼王が周囲に伝えたのだった―。
東側と西側は貿易で栄えている“商業都市”とのことだ。
北側と南側は“軍港”として活用されている。
なお、波止場に停まっている軍艦は、どれもが“鉄”で造られているようだ。
ちなみに、昨日、[サガーミィーの使節団]が到着したのは“北の港”だった。
AM08:00になろうかとしている現在――。
そこには、妖怪はもとより、人族や獣人族などの“傭兵”が、合わせて500万ぐらい集結している。
「本当に良かったのか?」
「自分の城に帰らず、我らに同行して。」
鬼王が尋ねたところ、
「ええ。」
「皆さんが戦に敗れてしまえば、私どもの国は間違いなく滅びてしまうでしょう。」
「そういう意味では、どこにも安全な場所などありませんので、海に出るのは覚悟の上です。」
ナーガリーが、このように答えた。
「我々では神どもに勝てぬと??」
片眉が〝ピクッ〟と動いた王に、
「あ、いえ。」
「そういつもりではございません。」
[サガーミィー国主の娘]が慌てる。
こういった様子に、〝フッ〟と口元を緩めた鬼王が、
「悪気が無いのは分かっておる!」
「案ずるな!!」
「フハハハハハハッ!」
と、笑う。
そこから少し離れた位置では、[GOD SLAYER’S]が雑談に興じていた。
この東から、
「やっぱり、そうだったわ。」
「久しぶりね。」
ある女性が声をかけてきたのだ。
30代後半ばであろう彼女は、背丈が168㎝くらいで、銀髪ロングの褐色肌だった。
装備品からして【剣士】だろう。
その女性の側には、35数程の人や獣人に半獣が見受けられる。
「あ。」
「確か…、ルギー?」
いち早く記憶が甦ったのは、ペイニーだった。
続いて、
「“レッドミノタウロス”を討伐する際に、砦で、ご一緒した……。」
タリアノによって、紫蓮/撫子/涼音も〝あぁー〟と思い出したのである。
更には、ランソワが、
「“餓狼の蒼群”の方々じゃありませんか?!」
いささか驚きながら伺った。
「ん??」
首を傾げたルギーに、
「私は、幼い時に、イッズーモのギルドで、貴女がたから、いろいろな冒険譚を毎日のように聞かせてもらったのですが…。」
「もう何年も前の事なので、覚えていらっしゃらないかもしれませんね。」
ランソワが少なからず落胆する。
「…………。」
暫く考え込んだルギーが、
「あッ!!」
「“弓の女王”の!」
こう述べたところ、
「はい!!」
「孫娘です!」
ランソワが嬉しそうな表情になった。
そんな彼女に、
「すっかり大人びて……。」
「懐かしいわねぇ。」
ルギーが目を細める。
このような状況で、
「“餓狼の蒼群”て、本来の歴史において、紫蓮さんが始めて一緒に旅をしたことになっていたパーティーですよね?」
ルウェーが小声で確認し、
「ああ。」
「結局は“鮮紅の豹一団”に変わっていたけどな。」
スリアが返したのであった。
「それで??」
「何故、ここに?」
紫蓮が疑問を呈したら、
「あー、…、アンタらと別れたあと、修行の一環として“南陸”の各国を巡る流れで、四日ほど前に、こっちに渡ってきたのさ。」
「で。」
「昨日、“東陸第四神国”の神々と戦う兵を募っていたから、受注したって訳よ。」
そのように説明したルギーが、
「それにしても……、あの頃に比べて、なかなかの大所帯になったわね。」
紫蓮たちを眺めたのである。
このタイミングで、
「そろそろ出発するぞぉ!!」
「各自、船に乗り込めぇいッ!」
鬼王が周囲に伝えたのだった―。
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