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― 第五章・魔の領域 ―
第211話 古伝
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百桃星と八世が立ち去っていくのと入れ替わりで、船長たちを伴った“サガーミィーの女性魔術士”が、[テレポート]してきた。
「あら、お帰りなさい。」
「お父様は、何か仰っていましたか?」
ナーガリーが尋ねたところ、
「はい。」
「まずは此度の成果に安堵なされていました。」
「そして、ナーガリー様におかれましては、〝明日の朝までには城に戻って来るように〟との事でございます。」
「それから、“ゴッド・スレイヤーズ”の皆さまへの報酬を預かってきましたので、どうぞ、お受け取りください。」
こう述べた魔術士が、自身のブレスレットを操作し、地面に[木箱]を出現させたのである。
紫蓮が代表して開けてみたら、大量の金貨が納められていたのだった。
「全部で5500枚ありますので、お分けになってください。」
女性魔術士の言葉に、
「マジか?!」
「結構な数だな。」
グーランが少なからず驚き、
「うむ。」
「紫蓮以外は、なんにもしておらんというのに…、貰いすぎでは??」
撫子が、いささか戸惑う。
「だったら、紫蓮さんの“総取り”にしてはどうでしょう?」
ランダ―提案したところ、グーラン・撫子・ペイニー・フゥーリカンが、
「それは、ない!!」
揃って拒否したのである。
そのリアクションに、誰もが〝くすくす〟笑う流れで、
「50枚ずつ人間に配るから、まぁ、落ち着けって。」
「サーヴァントに関しては、各自に任せる。」
「スリアは、機械類を造ったり修理するのに、それなりの金額が必要だろうから、遠慮するなよ。」
話しをまとめる紫蓮であった……。
日が暮れて、一同は、敷地内で最も大きな屋敷に案内されている。
かなり広い[宴の間]で、
「今宵は、心ゆくまで飲み明かそうぞ!」
鬼王が盃を掲げ、その場に居る全員が乾杯した。
宴会が進むにつれて、あちらこちらで雑談が交わされるなか、人型となっている美麗に、
「やはり、“妖怪”に違いないみたいだのう。」
鬼王が指摘したのである。
「そうなんですか??」
権蔵に質問された美麗が、
「さぁ?」
不思議がりながら首を傾げた。
「なんだ、知らんのか??」
「白虎であろう其方や、狐に、鎌鼬などは、それに該当するのだが…。」
「ま、もう、数千年も前のことだから、この国にしか伝わっておらんのかもしれんのぉう。」
そう解釈した鬼王に、
「良ければ、詳しく教えてもらえませんか?」
「何かと興味深いので。」
タリアノが伺い、ルウェーが同調するかのように頷く。
これによって、
「ふむ。」
「そうか??」
「……、では、聞かせるとしよう。」
鬼王が饒舌になっていった…。
かつて、[中央の大陸]の一部ずつを、神々と魔族が支配していたらしい。
それら以外の世界各国は、人族や獣人族に妖精族が治めていたのだそうだ。
なお、妖怪は、魔物から派生した種族だとされている。
ある時、神どもとモンスター達が、大陸の覇権を巡って激突するようになっていった。
双方は、ほぼ互角だったものの、数百年が経つ頃には魔族が押されてゆき、殆どが[北の大陸]に渡ったらしい。
ただ、なかには、自由を求めて他の大陸に移動した魔物も少なくないとの事である。
妖怪の大半は、独自の路線を進もうと、“広大な島”に拠を構えた。
逆に、これを好まなかった者たちは、世界中に散らばっていったのだと云う。
その末裔らが、紫蓮の所の白虎などだとか……。
「そこからは、長い年月をかけて各種族が争っていき、現在の勢力図になったという訳だ。」
このように語る[妖怪の王]だった―。
「あら、お帰りなさい。」
「お父様は、何か仰っていましたか?」
ナーガリーが尋ねたところ、
「はい。」
「まずは此度の成果に安堵なされていました。」
「そして、ナーガリー様におかれましては、〝明日の朝までには城に戻って来るように〟との事でございます。」
「それから、“ゴッド・スレイヤーズ”の皆さまへの報酬を預かってきましたので、どうぞ、お受け取りください。」
こう述べた魔術士が、自身のブレスレットを操作し、地面に[木箱]を出現させたのである。
紫蓮が代表して開けてみたら、大量の金貨が納められていたのだった。
「全部で5500枚ありますので、お分けになってください。」
女性魔術士の言葉に、
「マジか?!」
「結構な数だな。」
グーランが少なからず驚き、
「うむ。」
「紫蓮以外は、なんにもしておらんというのに…、貰いすぎでは??」
撫子が、いささか戸惑う。
「だったら、紫蓮さんの“総取り”にしてはどうでしょう?」
ランダ―提案したところ、グーラン・撫子・ペイニー・フゥーリカンが、
「それは、ない!!」
揃って拒否したのである。
そのリアクションに、誰もが〝くすくす〟笑う流れで、
「50枚ずつ人間に配るから、まぁ、落ち着けって。」
「サーヴァントに関しては、各自に任せる。」
「スリアは、機械類を造ったり修理するのに、それなりの金額が必要だろうから、遠慮するなよ。」
話しをまとめる紫蓮であった……。
日が暮れて、一同は、敷地内で最も大きな屋敷に案内されている。
かなり広い[宴の間]で、
「今宵は、心ゆくまで飲み明かそうぞ!」
鬼王が盃を掲げ、その場に居る全員が乾杯した。
宴会が進むにつれて、あちらこちらで雑談が交わされるなか、人型となっている美麗に、
「やはり、“妖怪”に違いないみたいだのう。」
鬼王が指摘したのである。
「そうなんですか??」
権蔵に質問された美麗が、
「さぁ?」
不思議がりながら首を傾げた。
「なんだ、知らんのか??」
「白虎であろう其方や、狐に、鎌鼬などは、それに該当するのだが…。」
「ま、もう、数千年も前のことだから、この国にしか伝わっておらんのかもしれんのぉう。」
そう解釈した鬼王に、
「良ければ、詳しく教えてもらえませんか?」
「何かと興味深いので。」
タリアノが伺い、ルウェーが同調するかのように頷く。
これによって、
「ふむ。」
「そうか??」
「……、では、聞かせるとしよう。」
鬼王が饒舌になっていった…。
かつて、[中央の大陸]の一部ずつを、神々と魔族が支配していたらしい。
それら以外の世界各国は、人族や獣人族に妖精族が治めていたのだそうだ。
なお、妖怪は、魔物から派生した種族だとされている。
ある時、神どもとモンスター達が、大陸の覇権を巡って激突するようになっていった。
双方は、ほぼ互角だったものの、数百年が経つ頃には魔族が押されてゆき、殆どが[北の大陸]に渡ったらしい。
ただ、なかには、自由を求めて他の大陸に移動した魔物も少なくないとの事である。
妖怪の大半は、独自の路線を進もうと、“広大な島”に拠を構えた。
逆に、これを好まなかった者たちは、世界中に散らばっていったのだと云う。
その末裔らが、紫蓮の所の白虎などだとか……。
「そこからは、長い年月をかけて各種族が争っていき、現在の勢力図になったという訳だ。」
このように語る[妖怪の王]だった―。
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