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― 第五章・魔の領域 ―
第206話 試合・序
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PM14:55になろうかとしていた頃である。
見知った“猫又”が[貴賓館]に訪れたのは。
彼に促されて、ナーガリーや紫蓮たちが外に出た。
「鬼王様がたは、既に“闘技場”の側へと移られましたので、これより、そちらにお連れします。」
そう告げた“キジトラ”が、【転移魔法】を発動したのである…。
「ふむ。」
「来たな。」
鬼王が笑みを浮かべ、
「……、代表は決まったか?」
このように訊ねてきた。
「ええ。」
「こちらの方です。」
ナーガリーが視線を送った紫蓮に、[鬼王一族]が注目する。
その流れで、鬼王が、
「では、軽く説明しておこう。」
「闘技場では、週に三度、幾つかの試合が組まれている。」
「今は、“午後の第一部”が進行されている真っ最中だ。」
「本来であれば、もうじき休憩に入るところなのだが…、特別に〝サガーミィーの挑戦〟を開催する事にした。」
「相手をするのは、二年連続で総合優勝している猛者である。」
「ソヤツに勝てば、その方らの為に、神を倒すべく軍勢を動かしてやろうぞ。」
こう述べた。
「俺の対戦者は、やっぱり、鬼なのか??」
紫蓮が素朴な疑問を投げかけたところ、
「いや、我々のような王族や、貴族などは、そもそも出場したことがない。」
「身分の低い者が、我らと闘うとなったら、遠慮してしまうからな。」
「要は、〝忖度してしまい、実力を発揮できなくなるだろう〟〝そうなると、王族貴族が余裕で勝利してしまうので、面白味がない〟との理由で、先祖代々、参加しておらん。」
そのように答える鬼王であった……。
レンガ造りの闘技場は、“すり鉢状”となっている。
客席は〝二階から四階まで〟のようだ。
三階の東西南北には、屋根付きの[特別室]が設けられていた。
北の部屋に、鬼王達の姿が見受けられる。
係員である妖怪の案内で、南側に入室してきたのは、ナーガリーと護衛隊だった。
[ゴッド・スレイヤーズ]は、東に女性陣が、西に男性陣が、着席しようとしている。
サーヴァントらは、各自のマスターと共に居るみたいだ。
紫蓮のサーヴァント五体は、男性陣と一緒らしい。
一階には、複数の[控室]が備えられている。
これらの一部屋で、装備を整えた紫蓮が、待機していた。
そこのドアをノックした誰かしらが、
「ご準備よろしいでしょうか?」
と、尋ねてきたのである。
扉を開けて、
「ああ。」
「いつでも、いける。」
こう返した紫蓮の眼前には、一人の女性が佇んでいた。
紺色を基調とした着物は、銀糸で草花の模様が刺繍されている。
肌は青白く、“長い髪”と“背中の翼”は黒い。
女性用の下駄を履いているので詳しい身長は分からないが、おそらく165㎝ぐらいだろう。
なんでも、[飛縁魔]という名称なのだそうだ。
その妖怪の先導にて、紫蓮が廊下を進んでいく。
会場では一つ前の試合が行われているらしく、選手入場口に近づくにつれて、歓声が次第に大きく聞こえてきた―。
見知った“猫又”が[貴賓館]に訪れたのは。
彼に促されて、ナーガリーや紫蓮たちが外に出た。
「鬼王様がたは、既に“闘技場”の側へと移られましたので、これより、そちらにお連れします。」
そう告げた“キジトラ”が、【転移魔法】を発動したのである…。
「ふむ。」
「来たな。」
鬼王が笑みを浮かべ、
「……、代表は決まったか?」
このように訊ねてきた。
「ええ。」
「こちらの方です。」
ナーガリーが視線を送った紫蓮に、[鬼王一族]が注目する。
その流れで、鬼王が、
「では、軽く説明しておこう。」
「闘技場では、週に三度、幾つかの試合が組まれている。」
「今は、“午後の第一部”が進行されている真っ最中だ。」
「本来であれば、もうじき休憩に入るところなのだが…、特別に〝サガーミィーの挑戦〟を開催する事にした。」
「相手をするのは、二年連続で総合優勝している猛者である。」
「ソヤツに勝てば、その方らの為に、神を倒すべく軍勢を動かしてやろうぞ。」
こう述べた。
「俺の対戦者は、やっぱり、鬼なのか??」
紫蓮が素朴な疑問を投げかけたところ、
「いや、我々のような王族や、貴族などは、そもそも出場したことがない。」
「身分の低い者が、我らと闘うとなったら、遠慮してしまうからな。」
「要は、〝忖度してしまい、実力を発揮できなくなるだろう〟〝そうなると、王族貴族が余裕で勝利してしまうので、面白味がない〟との理由で、先祖代々、参加しておらん。」
そのように答える鬼王であった……。
レンガ造りの闘技場は、“すり鉢状”となっている。
客席は〝二階から四階まで〟のようだ。
三階の東西南北には、屋根付きの[特別室]が設けられていた。
北の部屋に、鬼王達の姿が見受けられる。
係員である妖怪の案内で、南側に入室してきたのは、ナーガリーと護衛隊だった。
[ゴッド・スレイヤーズ]は、東に女性陣が、西に男性陣が、着席しようとしている。
サーヴァントらは、各自のマスターと共に居るみたいだ。
紫蓮のサーヴァント五体は、男性陣と一緒らしい。
一階には、複数の[控室]が備えられている。
これらの一部屋で、装備を整えた紫蓮が、待機していた。
そこのドアをノックした誰かしらが、
「ご準備よろしいでしょうか?」
と、尋ねてきたのである。
扉を開けて、
「ああ。」
「いつでも、いける。」
こう返した紫蓮の眼前には、一人の女性が佇んでいた。
紺色を基調とした着物は、銀糸で草花の模様が刺繍されている。
肌は青白く、“長い髪”と“背中の翼”は黒い。
女性用の下駄を履いているので詳しい身長は分からないが、おそらく165㎝ぐらいだろう。
なんでも、[飛縁魔]という名称なのだそうだ。
その妖怪の先導にて、紫蓮が廊下を進んでいく。
会場では一つ前の試合が行われているらしく、選手入場口に近づくにつれて、歓声が次第に大きく聞こえてきた―。
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