GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第五章・魔の領域 ―

第203話 鬼王

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港には、“白色の指貫袴さしぬきはかま”と“黒色の狩衣かりぎぬ”に“烏帽子えぼし”といった格好で、二足歩行の猫が待っていた。

背丈は150㎝くらいだろう。

キジトラのようだが、尻尾を二つ有している。

なんでも、“猫又ねこまた”というらしい。

わたくしは、サガーミィー国主の長女で、ナーガリーと申します。」

挨拶した彼女に、

「ようこそ、“妖怪ノ国”へ。」
「早速ですが、王城へとご案内してもよろしいでしょうか?」

声からしてオスであろう“キジトラの猫又”が伺う。

「ええ。」
「お願いしますわ。」

ナーガリーが返したことによって、

「それでは。」

【転移魔法】を発動するキジトラだった。


城は、石垣を用いた曲輪くるわとなっている。

「王様がたは、あちらの御殿ごてんにおられますので。」

こう教えた猫又が、天守の近くに在る“木造りで豪華絢爛な屋敷”へと、一同を先導していく…。


ナーガリーと親衛隊に、サーヴァントを含めた[ゴッド・スレイヤーズ]は、100畳はあろうかという広間に通された。

なお、その部屋は“畳張り”である。

ふすまや、高めの天井には、草花に鳥などの絵が描かれていた。

正面の、一段上いちだんうえの場所には、額に“黒いつの”を二つ生やした男女が並んで座っている。

男性は40代後半ぐらいだろうか??

白銀でセミロングの髪をオールバックにしており、肌は赤く、ガタイが良い。

背丈は2.5Mくらいありそうだ。

女性は30代後半の印象である。

黒髪ロングで、黄色人種おうしょくじんしゅのような肌をしていた。

背丈は170㎝あたりで、スレンダーだ。

そんな二体の、左右の斜め前にも、角がある者たちが見受けられた。

10代半ば~20代半ばといった感じの四体である。

ここら辺は、[サガーミィー使節団]と変わらない高さに腰掛けていた。

ナーガリーたちの右斜め前は、青色ショートヘアーで黄色肌の男と、白銀ロングヘアーかつピンク肌の女であった。

反対の左斜め前は、ピンク色セミロングヘアーに黄色肌の女性と、短く刈られた黒髪&薄紫肌の男性だ。

計六体の彼らこそが“鬼”に違いない。

人間やサーヴァントが興味深そうにしていたところ、

「我こそが、この国のである。」

赤肌あかはだの男が、威風堂々と告げてきた。

それにされ気味になりながらも、

「初めまして。」
「お会いしていただき、光栄に存じます。」

頭を下げたナーガリーが、自己紹介していく流れで、訪問した理由を伝える……。


詳細を聞いた[鬼王きおう]が、

「成程な。」
「事情は承知した。」

〝ふむ〟と頷く。

この反応に、

「では…。」

ナーガリー達が表情を明るくしたのも束の間、

「しかし!」
「その要望は、簡単には受け入れられん!!」

王が断ってきたのだ。

「何故です?!」
「報酬は幾らでもお支払いしますのに!」

ナーガリーが焦りを隠せずにいたら、

「そういう問題ではなく……。」
「我らは、先祖代々、いくさの支援に関しては“強き者”の頼みでしか動かんのだよ。」
「なので。」
「本日の夕刻に、試合を開催させてもらう。」
「そなたらには貴賓館と食事を提供するゆえ、代表を一人だけ決めておくがよい。」
「午後三時頃に、配下を呼びに行かせるので、それまでには、な。」

そのように告げる鬼王であった―。
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