GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第五章・魔の領域 ―

第200話 仕儀・後編

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鬼が治めし[妖怪ノ国]は、かつて何度となく神々に襲撃されたものの、全て返り討ちにしたのだとう。

“地の利”もあるのだろうが、妖怪達は割と強いらしく、手こずった神どもが、一旦、攻略を諦めて、久しいとの事である。

なお、この国は、長いこと魔族と友好関係を結んでおり、人間や獣人らとも貿易を行っているのだそうだ。

また、基本的には中立を保っているので、他国の争いには介入しない。

ただし、〝売られた喧嘩は買う〟という方針である。

そんな[妖怪ノ国]にいくさの協力を要請したとて、断られるのがオチでしかない。

だとしても、サガーミィーが[東陸とうりく第四神国しんこく]に勝つためには、他に方法が無いのである。

西に隣接している[ミッカーワー国]に援軍を頼むという考えもあるが、サガーミィー同様に平和が続き、戦力が低下しているので、期待できないとの話しだった。

「これらを踏まえて、〝妖怪ノ国と交渉し、何がなんでも動いてもらおう〟と、先日の会議で決まったのだが…。」

[サガーミィーの国主]が〝ふぅ――ッ〟と息を吐いて、

「我が娘が、〝自分が使者として赴く〟と言って引こうとせんのだよ。」

困り顔になったのである。

「一応は、兵士たちを50人ほど随行させる予定ではあるが、妖怪を束ねし“鬼王きおう”の機嫌を損ねた場合、生きて帰れないかもしれん。」
「いや、殺されはしないだろうが……、人質に取られてしまう危険性は否定できない。」
「そこで!」
「強き冒険者らに娘の護衛を発注しようかと思案していたところに、諸君が現れたという訳だ。」

喋り終えた国主に、

「成程。」
「事情は分かりました。」

理解を示したタリアノが、

「どうします??」
紫蓮しれん。」

先頭のリーダーに伺う。

これによって、紫蓮が振り向き、

「あー、…、ま、いいんじゃねぇか?」

そう告げた。

「だな!!」

笑みを浮かべて賛成したのは、グーランである。

「“妖怪”ですか……、興味深いですね。」

【クレリック】のルウェーが述べて、

「ええ。」

【弓術士】たるランソワが頷く。

このような反応に、

「おお。」
「受けてくれるか?!」
「それでは、すぐに、娘を呼び寄せるとしよう。」

嬉々とする国主であった…。


数分後に訪れたのは、金髪ロングの女性である。

瞳は青く、肌は白い。

165㎝ぐらいの背丈に、細身の体型だ。

キレカワ系のルックスである彼女は、紫蓮達と同世代のようだ。

その、スカイブルーのドレス風ワンピース姿である女子が、

「あら??」
「こちらの方々は?」

[ゴッド・スレイヤーズ]の11人に視線を送りつつ、首を傾げる。

「お前の身辺警護などのため雇うことになった猛者たちだ。」

国主たる父の紹介にて、

「そうでしたの……。」

左右の手でつまんだ自身のスカートを、軽く持ち上げ、

「よろしくお願いしますわね。」

お辞儀する淑女だった―。
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