GOD SLAYER’S

ネコのうた

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― 第五章・魔の領域 ―

第187話 悲愴・前編

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距離50M程の所で、宙に浮いたまま止まった“四柱の神”が、魔法陣を構築していく。

ちなみに、男神おがみ三柱:女神めがみ一柱の割合だ。

なかには、一柱だけ“左利き”の男神が見受けられる。

後ろを振り返った【シーフ盗賊】のウィヴが、

「結界を!!」

こう呼び掛け、

「了解!」

応じた【巫女】のかおるがスキルを発動した。

紫蓮しれんと出会った頃の彼女は【結界】を扱えなかったが、あれから約2年が経って、成長に伴い収得したようだ。

いずれにしろ、神々が直径3Mの【光線ビーム】を放った。

[鮮紅せんこうの豹一団]と同様に【結界】が間に合った者らは難を逃れたが、そうではなかったパーティーには犠牲が生じている。

このような状況下で、着地した神どもが、長槍・大剣・戦斧バトルアックスムチを、それぞれに手にして、肉弾戦を開始した。

どうやら、[南陸なんりく第十三神国しんこく]の兵士たちは、全体的に押し上がって来ているみたいだ。

オワ-リン側の多くが、【結界】を解いて、対抗しようと、突撃していく。

乱闘になっていくなかで、

「ボク達も続こう!!」

団長であるラーザに促され、薫も【結界】を解除する。

「行くぞ!」

飛び出した“赤髪の女戦士”を、仲間が追う。

彼女らは、敵兵を倒しながら、前へ前へと進む。

残り20Mぐらいで神に届くといったころで、四柱が再び3Mの魔法陣を同時に出現させた。

「!!」
「さっきの一撃は、こちらに“結界”を使わせるためのわなじゃったか!?」

こう読んだイザッドが、

みな、各々で回避するんじゃ!」

周囲に伝える。

そこへ、神々が、幅20㎝×長さ1Mの【ビーム】を、百本ずつ発射した。

合計すると、四百本である。

“老体の魔法使い”が分析したとおり、最初の【光線】は、言わば“釣り・・”だった。

オワ-リン軍において、【結果】を用いた者たちは、クール(リキャスト)タイムに突入しているため、暫くは扱えない。

この所為で、焦る正規兵と傭兵が、死傷していく。

[神之軍]の配下は、当然のように巻き添えになっている。

ラーザ達は【スキル】や【魔法】で防いでいた。

が。

反応が遅れてしまったメンバーが、ダメージを負っていく。

神どもが【ビーム】を打ち終えたあたりで、敵味方問わず、それなりの数の人やサーヴァントが、草原に転がっている。

「これは…、まずいのう。」

厳しい表情になったイザッドの目に映っているのは、[鮮紅の豹一団]の半分くらいが横倒れになっている光景であった。

「すぐに“治癒魔法”を。」

自身の左側に視線を送った老体が、愕然とする。

何故ならば、薫が仰向けになったまま〝ピクリ〟とも動かなかったからだ。

至る箇所から流血しており、瞳孔が開いているので、本人は、もう、絶命しているに違いない。

他には、“女盗賊”のウィヴなどが亡くなっていた―。
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