GOD SLAYER’S

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
186 / 300
― 第五章・魔の領域 ―

第186話 オワ-リン国にて。

しおりを挟む
[オワ-リン国]は、紫蓮しれんの故郷である[南陸なんりく第十三神国しんこく]の南東に位置している。

[オワ-リン]にしてみれば、北西にあたる国境の“草原”で、敵と対峙していた。

時刻はPM16:00を過ぎたあたりである。

おおよそではあるが、神側は800万、オワ-リンは500万、といった軍勢だ。

[GOD SLAYER’S]が、“オワ-リンの首都”を発ってから、半月が経過していた。

彼らの姿は、まだ、この戦場にはない。

紫蓮たちを待たずして、今、両陣営から突撃の合図が鳴り響いた……。


ミーノン軍の“右翼”にて、傭兵集団の冒険者らが奮闘している。

ここに、懐かしい顔ぶれがあった。

自身のパーティーの先頭で、

「う、りゃ、りゃ、りゃ、りゃ、りゃ――ッ!!」

縦横無尽に大剣を振るう流れで、

「ふんッ!」

左のてのひらから【火炎】を放った“赤髪の女戦士”に、

「ちと、飛ばし気味だぞ!!」
「そんなんじゃバテちまうから、落ち着けって!」

“武士の男性”が制御を試みるも、本人の耳には入っていないようだ。

そんな二人の背後で、敵に対応しながら、

「なんか、張り切ってるねぇ。」

“兎の半獣”が述べる。

これに、

「いや、あれ・・は、そういうのじゃないだろ。」

“忍者の男性”と、

「確かに、いつも以上に突っ走ってる感じよね。」

盗賊シーフの女性”が意見した。

更に後ろの方で、

「ふぅ~む。」
「今までにないくらい冷静さを欠いておるのう。」

“魔法使いの老人”が眉間にシワを寄せ、

「そもそも、普段ならいくさに関するクエストを受けないのに、いろいろと変だよね。」

【巫女】が首を軽く傾げる。

その二人を守るかのように眼前に立つ“太った男性騎士”が、

「何も言いたがらないから詳細は分からないけど、よほど大事な理由でもあるんだろうね。」
「ま、終わったら、改めて聞いてみようよ。」

と、告げたのであった。

この周囲にも、人間や半獣にサーヴァントといった仲間が見受けられる。

そう。

彼女らは、[鮮紅せんこうの豹一団]だ。

「おい!!」
「ラーザ!」

武士の呼び声によって、

「あ、ああ。」
「ムキになっていたようで…、すまない。」
弥太郎やたろう。」

正気を取り戻した女戦士が応じた。

肩で息するラーザに、

「とりあえず呼吸を整えろ。」
「ここからが本番みたいだからな。」

弥太郎が自分の顎で〝クイッ〟と合図する。

彼の視線を辿ったところ、十二柱もの“中級の神”が、空中で横一列になって、こちらへと押し上がって来ていたのだ。

そんな神々が〝四柱一組〟となって、オワ-リン軍の左翼隊/中央隊/右翼隊へと徐々に近づく。

迫る神どもを睨み付け、

「……、上等だよ。」
「全員ブッ倒してやる!!」

こう宣言する“鮮紅の豹”だった―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...