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― 第五章・魔の領域 ―
第186話 オワ-リン国にて。
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[オワ-リン国]は、紫蓮の故郷である[南陸第十三神国]の南東に位置している。
[オワ-リン]にしてみれば、北西にあたる国境の“草原”で、敵と対峙していた。
時刻はPM16:00を過ぎたあたりである。
おおよそではあるが、神側は800万、オワ-リンは500万、といった軍勢だ。
[GOD SLAYER’S]が、“オワ-リンの首都”を発ってから、半月が経過していた。
彼らの姿は、まだ、この戦場にはない。
紫蓮たちを待たずして、今、両陣営から突撃の合図が鳴り響いた……。
ミーノン軍の“右翼”にて、傭兵集団の冒険者らが奮闘している。
ここに、懐かしい顔ぶれがあった。
自身のパーティーの先頭で、
「う、りゃ、りゃ、りゃ、りゃ、りゃ――ッ!!」
縦横無尽に大剣を振るう流れで、
「ふんッ!」
左の掌から【火炎】を放った“赤髪の女戦士”に、
「ちと、飛ばし気味だぞ!!」
「そんなんじゃバテちまうから、落ち着けって!」
“武士の男性”が制御を試みるも、本人の耳には入っていないようだ。
そんな二人の背後で、敵に対応しながら、
「なんか、張り切ってるねぇ。」
“兎の半獣”が述べる。
これに、
「いや、あれは、そういうのじゃないだろ。」
“忍者の男性”と、
「確かに、いつも以上に突っ走ってる感じよね。」
“盗賊の女性”が意見した。
更に後ろの方で、
「ふぅ~む。」
「今までにないくらい冷静さを欠いておるのう。」
“魔法使いの老人”が眉間にシワを寄せ、
「そもそも、普段なら戦に関するクエストを受けないのに、いろいろと変だよね。」
【巫女】が首を軽く傾げる。
その二人を守るかのように眼前に立つ“太った男性騎士”が、
「何も言いたがらないから詳細は分からないけど、よほど大事な理由でもあるんだろうね。」
「ま、終わったら、改めて聞いてみようよ。」
と、告げたのであった。
この周囲にも、人間や半獣にサーヴァントといった仲間が見受けられる。
そう。
彼女らは、[鮮紅の豹一団]だ。
「おい!!」
「ラーザ!」
武士の呼び声によって、
「あ、ああ。」
「ムキになっていたようで…、すまない。」
「弥太郎。」
正気を取り戻した女戦士が応じた。
肩で息するラーザに、
「とりあえず呼吸を整えろ。」
「ここからが本番みたいだからな。」
弥太郎が自分の顎で〝クイッ〟と合図する。
彼の視線を辿ったところ、十二柱もの“中級の神”が、空中で横一列になって、こちらへと押し上がって来ていたのだ。
そんな神々が〝四柱一組〟となって、オワ-リン軍の左翼隊/中央隊/右翼隊へと徐々に近づく。
迫る神どもを睨み付け、
「……、上等だよ。」
「全員ブッ倒してやる!!」
こう宣言する“鮮紅の豹”だった―。
[オワ-リン]にしてみれば、北西にあたる国境の“草原”で、敵と対峙していた。
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これに、
「いや、あれは、そういうのじゃないだろ。」
“忍者の男性”と、
「確かに、いつも以上に突っ走ってる感じよね。」
“盗賊の女性”が意見した。
更に後ろの方で、
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【巫女】が首を軽く傾げる。
その二人を守るかのように眼前に立つ“太った男性騎士”が、
「何も言いたがらないから詳細は分からないけど、よほど大事な理由でもあるんだろうね。」
「ま、終わったら、改めて聞いてみようよ。」
と、告げたのであった。
この周囲にも、人間や半獣にサーヴァントといった仲間が見受けられる。
そう。
彼女らは、[鮮紅の豹一団]だ。
「おい!!」
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「あ、ああ。」
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「弥太郎。」
正気を取り戻した女戦士が応じた。
肩で息するラーザに、
「とりあえず呼吸を整えろ。」
「ここからが本番みたいだからな。」
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そんな神々が〝四柱一組〟となって、オワ-リン軍の左翼隊/中央隊/右翼隊へと徐々に近づく。
迫る神どもを睨み付け、
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