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― 第四章・西陸行路 ―
第180話 衝天
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馬に跨っている利通が、左右の腕を後方に〝グッ!〟と反らす。
[西陸第八神国]の王は、幅30㎝×長さ2Mの【光線】を、200本くらい発射してきた。
ほぼ同時に、武術マスターが両の掌を〝ブンッ!!〟と前に押し出したところ、敵のビームと同じ大きさくらいの【風の針】が200発ほど放たれたのである。
光線と風とが衝突して、どれもが消えてゆく。
その間に、他の神々もビームを飛ばしており、ミーノン側は新たに2000数ぐらいが死傷したようだ。
一方、神どものなかには、人間とサーヴァントによる[スキル]や[魔法]がヒットして、流血している連中が見受けられた。
「もう一度、空へ!」
命令した王と共に、神々が昇ろうとする。
おそらく、クール(リキャスト)タイムに再び備えるつもりなのだろう。
だが、炎/氷/水/風/雷/魅了/混乱/毒/光線が頭上より一斉に降り注いで、神どもを阻んだのである。
これらは、[ゴッド・スレイヤーズ]の“飛行隊”によるものであった。
金髪かつ眼鏡の【魔術士】たるタリアノが先読みして、神々に悟られないよう配置させていたのだ。
その作戦を決定したのは、リーダーの紫蓮だが…。
いずれにせよ。
宙で動きを止めている神どもに、ミーノン軍のスキル&魔法が当たっていく。
「おのれッ……。」
「地上で戦え!!」
王の指示にて、全ての神が“西の大通り”に足を着ける。
乱闘になっていくなかで、下馬した利通が、10歩ほど進んだ。
〝スッ〟と構えた武術マスターに対し、敵の王が剣を抜く。
周囲の喧騒を余所に、両者が静かに睨み合う。
いささか東に離れた位置では、[GOD SLAYER’S]が、“一柱の中級”および“五十柱の下級”とバトルになっていた。
ここへ、黒龍の新羅などのサーヴァント達に、鷹のロボットが、戻ってくる。
さて…。
王が左から右に剣を〝ブォッ!〟と振るった。
身を低くして避けた利通を、敵が反対側から薙ぎ払おうとする。
それをバックステップで躱した武術マスターが、
「ぬ?!」
少しヨロめいたものの、転ばずには済んだ。
「ふぅ――。」
「若い頃のようにはいかんのう。」
苦笑いする利通を、
「寿命の短い下等生物ならではで、哀れよのぉ。」
「我らと違って早々に老いるゆえ。」
王が見下す。
「確かに、そうじゃな。」
肯定した武術マスターが、
「しかし、まぁ、お前を倒すのに、なんら差し支えはないわぃッ。」
あからさまな挑発を行った。
「舐めおって!!」
簡単にブチギレた敵が、かなりの速度で詰めて来る。
「不用意じゃのぉう。」
〝ニィッ〟と口元を緩めた利通が、右足を蹴り上げたところ、最大幅1M×長さ5Mで三日月状の【風の刃】が縦に発射された。
「!」
慌てた王は、向かって左に回避するも、完全には間に合わず、
ズブシャッ!!
左の足から肩に掛けて傷を負い、血を噴きながら、膝を屈したのである。
「ぐぬうぅ~ッ。」
剣を杖代わりにして立とうとする敵めがけて、右の拳に[風の渦]を纏わせた武術マスターが走ってゆく。
王の懐へと飛び込んだ利通が、勢いよくアッパーを放つ。
これによって、最小直径40㎝×最大直径10M×高さ16Mの白い【竜巻】が発生したのだった―。
[西陸第八神国]の王は、幅30㎝×長さ2Mの【光線】を、200本くらい発射してきた。
ほぼ同時に、武術マスターが両の掌を〝ブンッ!!〟と前に押し出したところ、敵のビームと同じ大きさくらいの【風の針】が200発ほど放たれたのである。
光線と風とが衝突して、どれもが消えてゆく。
その間に、他の神々もビームを飛ばしており、ミーノン側は新たに2000数ぐらいが死傷したようだ。
一方、神どものなかには、人間とサーヴァントによる[スキル]や[魔法]がヒットして、流血している連中が見受けられた。
「もう一度、空へ!」
命令した王と共に、神々が昇ろうとする。
おそらく、クール(リキャスト)タイムに再び備えるつもりなのだろう。
だが、炎/氷/水/風/雷/魅了/混乱/毒/光線が頭上より一斉に降り注いで、神どもを阻んだのである。
これらは、[ゴッド・スレイヤーズ]の“飛行隊”によるものであった。
金髪かつ眼鏡の【魔術士】たるタリアノが先読みして、神々に悟られないよう配置させていたのだ。
その作戦を決定したのは、リーダーの紫蓮だが…。
いずれにせよ。
宙で動きを止めている神どもに、ミーノン軍のスキル&魔法が当たっていく。
「おのれッ……。」
「地上で戦え!!」
王の指示にて、全ての神が“西の大通り”に足を着ける。
乱闘になっていくなかで、下馬した利通が、10歩ほど進んだ。
〝スッ〟と構えた武術マスターに対し、敵の王が剣を抜く。
周囲の喧騒を余所に、両者が静かに睨み合う。
いささか東に離れた位置では、[GOD SLAYER’S]が、“一柱の中級”および“五十柱の下級”とバトルになっていた。
ここへ、黒龍の新羅などのサーヴァント達に、鷹のロボットが、戻ってくる。
さて…。
王が左から右に剣を〝ブォッ!〟と振るった。
身を低くして避けた利通を、敵が反対側から薙ぎ払おうとする。
それをバックステップで躱した武術マスターが、
「ぬ?!」
少しヨロめいたものの、転ばずには済んだ。
「ふぅ――。」
「若い頃のようにはいかんのう。」
苦笑いする利通を、
「寿命の短い下等生物ならではで、哀れよのぉ。」
「我らと違って早々に老いるゆえ。」
王が見下す。
「確かに、そうじゃな。」
肯定した武術マスターが、
「しかし、まぁ、お前を倒すのに、なんら差し支えはないわぃッ。」
あからさまな挑発を行った。
「舐めおって!!」
簡単にブチギレた敵が、かなりの速度で詰めて来る。
「不用意じゃのぉう。」
〝ニィッ〟と口元を緩めた利通が、右足を蹴り上げたところ、最大幅1M×長さ5Mで三日月状の【風の刃】が縦に発射された。
「!」
慌てた王は、向かって左に回避するも、完全には間に合わず、
ズブシャッ!!
左の足から肩に掛けて傷を負い、血を噴きながら、膝を屈したのである。
「ぐぬうぅ~ッ。」
剣を杖代わりにして立とうとする敵めがけて、右の拳に[風の渦]を纏わせた武術マスターが走ってゆく。
王の懐へと飛び込んだ利通が、勢いよくアッパーを放つ。
これによって、最小直径40㎝×最大直径10M×高さ16Mの白い【竜巻】が発生したのだった―。
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