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― 第四章・西陸行路 ―
第179話 辟易
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[西陸第八神国]の“王”を筆頭に、神々が上昇していく。
それを、翼や羽を有するサーヴァントらが追いかける。
黒龍の新羅が、
「我らも続こうぞ!」
[GOD SLAYER’S]の“飛行隊”を率いようとするも、
「待て!!」
紫蓮が止めた。
「何故じゃ?!」
いささか不服そうな新羅に、
「“下級”と同じぐらいの数のサーヴァントが挑むつもりみたいだが…、おそらく勝てねぇ。」
「“上級”だけでも苦戦を強いられるだろう。」
「更には“中級”が四体も居やがる。」
「そんな状況で、地上の軍隊と離れるは無謀だ。」
「返り討ちにされたくなかったら今は動くな。」
紫蓮が告げる。
「ふむ。」
新羅が納得しかけていたら、いろんなサーヴァントが次から次に落下してきた。
「おお、読み通りじゃったの。」
空を見上げた新羅の目には、敵味方が粒のように映っている。
また、さまざまなスキルや魔法が放たれているのが、かろうじて分かった。
ともあれ。
墜ちてくるサーヴァントの下敷きになるまいと、兵士や住民が回避していく。
この騒ぎのなか、各マスターが「戻ってこい!」など、自身のサーヴァントに指示を出しているが、遠すぎて聞こえないみたいだ。
半数ほどが神々に倒されたことによって、生き残っているサーヴァントが諦めたかのように降りてきた。
一方、神どもは、なおも上へと昇ってゆく。
もはや、新羅のように人間よりも視力が高い者たちであっても捉えきれないほどに……。
「5分くらいは経ったわね。」
「何を考えているのかしら?」
「あの連中は…。」
赤髪セミロングの【剣士】であるペイニーが呟いたところ、王を中心として周りを囲んで“輪”になっている神どもが急降下してきた。
狙いは[武術マスター]と“護衛隊”である。
どうやら、なかでも“下級の神々”の[クール(リキャスト)タイム]が終わるのを待っていたらしい。
「!!」
利通が気付いたときには、敵の全員が魔法陣の構築を既に済ませていた。
この流れで、上級は直径4Mの、中級らが直径3Mの、下級どもが直径2Mの、【ビーム】を、ほぼ同時に発射したのである。
〝結界は間に合いそうにない〟と判断した武術マスターが、右の手刀を、
「ふんッ!」
左から右へと払ったところ、最大幅1M×長さ5Mで三日月状の【風の刃】が、王めがけて飛んでいった。
それと光線とが、
ズバァアンッ!!
真っ向から当たって、互いに消滅し、突風が巻き起こる。
護衛隊も対応していたものの、多くの者が遅れてしまい、道路に倒れていた。
しかし、すぐさま[恵みの雨]や[ポーション]で傷を癒し、立ち上がっていく。
だが、三割ほどはピクリともしない。
利通の右斜め前から、【戦士】と思しき男性が早口で、
「国主様。」
「亡くなった隊員のなかには、結界を張れる者らも含まれています。」
「その“神官”や“巫女”は残念ながら全滅してしまった模様です。」
このように報告した事によって、
「ぬぅ~ッ。」
武術マスターが眉間にシワを寄せる。
その間に、改めて魔法陣を発動していく神々であった―。
それを、翼や羽を有するサーヴァントらが追いかける。
黒龍の新羅が、
「我らも続こうぞ!」
[GOD SLAYER’S]の“飛行隊”を率いようとするも、
「待て!!」
紫蓮が止めた。
「何故じゃ?!」
いささか不服そうな新羅に、
「“下級”と同じぐらいの数のサーヴァントが挑むつもりみたいだが…、おそらく勝てねぇ。」
「“上級”だけでも苦戦を強いられるだろう。」
「更には“中級”が四体も居やがる。」
「そんな状況で、地上の軍隊と離れるは無謀だ。」
「返り討ちにされたくなかったら今は動くな。」
紫蓮が告げる。
「ふむ。」
新羅が納得しかけていたら、いろんなサーヴァントが次から次に落下してきた。
「おお、読み通りじゃったの。」
空を見上げた新羅の目には、敵味方が粒のように映っている。
また、さまざまなスキルや魔法が放たれているのが、かろうじて分かった。
ともあれ。
墜ちてくるサーヴァントの下敷きになるまいと、兵士や住民が回避していく。
この騒ぎのなか、各マスターが「戻ってこい!」など、自身のサーヴァントに指示を出しているが、遠すぎて聞こえないみたいだ。
半数ほどが神々に倒されたことによって、生き残っているサーヴァントが諦めたかのように降りてきた。
一方、神どもは、なおも上へと昇ってゆく。
もはや、新羅のように人間よりも視力が高い者たちであっても捉えきれないほどに……。
「5分くらいは経ったわね。」
「何を考えているのかしら?」
「あの連中は…。」
赤髪セミロングの【剣士】であるペイニーが呟いたところ、王を中心として周りを囲んで“輪”になっている神どもが急降下してきた。
狙いは[武術マスター]と“護衛隊”である。
どうやら、なかでも“下級の神々”の[クール(リキャスト)タイム]が終わるのを待っていたらしい。
「!!」
利通が気付いたときには、敵の全員が魔法陣の構築を既に済ませていた。
この流れで、上級は直径4Mの、中級らが直径3Mの、下級どもが直径2Mの、【ビーム】を、ほぼ同時に発射したのである。
〝結界は間に合いそうにない〟と判断した武術マスターが、右の手刀を、
「ふんッ!」
左から右へと払ったところ、最大幅1M×長さ5Mで三日月状の【風の刃】が、王めがけて飛んでいった。
それと光線とが、
ズバァアンッ!!
真っ向から当たって、互いに消滅し、突風が巻き起こる。
護衛隊も対応していたものの、多くの者が遅れてしまい、道路に倒れていた。
しかし、すぐさま[恵みの雨]や[ポーション]で傷を癒し、立ち上がっていく。
だが、三割ほどはピクリともしない。
利通の右斜め前から、【戦士】と思しき男性が早口で、
「国主様。」
「亡くなった隊員のなかには、結界を張れる者らも含まれています。」
「その“神官”や“巫女”は残念ながら全滅してしまった模様です。」
このように報告した事によって、
「ぬぅ~ッ。」
武術マスターが眉間にシワを寄せる。
その間に、改めて魔法陣を発動していく神々であった―。
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